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コロナになったら?


外来で「コロナにかかったら肺炎になって死んじゃうんだと思っていました。」という方がおられましたのでそうではないことをまたお伝えします。     ※写真はまったく関係ありません。しおりだと思ってください。※

かかっても症状がない人がかなりいるようです。なので、以下は確定診断がついた人の話です。

80%の方は軽症です。
これは”入院が必要ない”だと思ってください。
症状は千差万別で症状のない方から、インブルエンザと同じような症状が長めに続く(7日ぐらい)という方まで色々あります。辛いことは辛いんです。家でできることを別に書いています。ご参照ください。症状は咳や発熱、頭が痛い体がだるいなどです。

辛い症状をとって(アセトアミノフェンなどの解熱剤など)寝ているしかありません。
水分をたくさんとってください。

この段階で何か特別なことはできません。
コロナとわかっても全く変わりません。
早くにわかって何かすれば重症化を抑えることができるかといえば、そうではありません。

20%前後に肺炎を併発します。
症状が出始めてから数日で起こります。
実はこの段階でも症状は千差万別でCTを撮って初めてわかるような方から、咳がひどくて寝られないといった症状まであります。
実はこの段階もあまり特別なことはできません。
CTで初めてわかったという人などは、入院して安静にして寝ているだけで治っている人もいます。(CTを撮らなかったら気がつかないで、家で寝ているだけで治ったかもしれません。)
酸素吸入が必要になる方もいますし、水分が取りにくい人に点滴をすることもあります。
この段階でもできることは辛い症状をとることが中心となります。

色々な薬が試されていますが、HIVの時に使う薬だったり副作用に注意が必要なインフルエンザの薬だったりするので、誰にでも使えるわけではなくて、感染症の専門家が慎重に使うことになります。

確認された感染者全体の6%が重症化します。
この人たちは生命の危機にさらされることになるといっても過言ではありません。
この時点の症状は”普通じゃない”ので誰も病院にかかるかどうしようか迷うことはないと思います。
強い息苦しさ

がキーワードです。外来に歩いて受診しようかどうしようか迷うレベルではないです。
今回コビッドでは重篤化した方のほとんどの人が発熱しています。(発熱したから重症化するわけではありません。)

とはいっても、致命率は39歳以下で0.2%40歳代で0.4%です。
若い方は治療をなんとか乗り切れる状況です。
重篤な症状はサイトカインストームという免疫の異常が起こり、今回のコロナウイルスは主に肺を攻撃していくのです。単純に肺炎が悪化してという感じではなく、全く違う病気が起こってきたと考えてください。

この局面になったら、もう本当に総力戦です。
ひどくなったら人工心肺(ECMO)を回して、肺をひたすら休めてその回復を待つのです。
この数日が勝負を生死を分けるのです。
専門病院は、ここに力を入れられる環境にして欲しいのです。
専門病院の外来は今、ほとんどが”心配な人”で占められてます。その中で、専門病院での治療が必要な人はごくわずかです。心配な人を安心させるのは本当に大変なのです。時間を取ります。精神的にもとっても疲れます。『正しく恐れてください。』

さて、今回のコビッドは第2種指定感染症ですから、診断されたら入院できるところが、全国で1758床(2019年4月1日現在)あります。3月2日時点でのの日本国内での入院数が192名ですから十分に見えるかもしれません。しかし、現時点では軽症の方でも検査が陽性になるとここに入院することになります。検査精度に限界があるためこの中には何人かコロナウイルスがいないにも関わらず検査が陽性になる人もいます。病床を増やすことも検討されていますが、さっとできるものでもありません。

現時点では、肺炎になった方、それも重症になる可能性が高い方を優先すべきなのがよくわかると思います。

検査をしても治療が大きく変わるわけではありません。(これが大事!軽症ではほとんど変わりません。)検査数を増やすことは、日本の現状では、デメリットが多いのが実情です。
症例数を減らしたいからだ!とおっしゃる方。症例数が減ると致命率が上がってしまいます。元気で陽性な人が多ければ多いほど、その分致命率が下がるので、日本のメリットはないことは明らかではないでしょうか??  だって、日本の医療の質が低いとも取られかねないデータとなってしまうのです。日本の致命率は2%となっていますが、日本では亡くなりやすい状態では決してありません。数字は見方で大きく変わってしまいます。

いちばんの問題は検査対象を増やせば増やすほど、偽陰性(コロナウイルスが感染しているにも関わらず検査が陰性になってしまう人)が多くなります。そうなると感染しているのに検査が陰性が安心だ!と他の人にばら撒いてしまう可能性が高くなります。

このように、今回コビッド(新型コロナウイルス感染症)色々な症状を呈します。
繰り返しますが、少なくとも8割の人が対症療法(辛い症状をとる)ことでだけで回復します。
今大事なのは繰り返し言われていますが、いかに感染者数のピークを遅くして低くするかです。
重症化しやすい人(高齢者・持病のある方)にいかにうつさないかということが大事です。

なので、一般の人にできるのは

人混みを避ける
手洗い・うがい・咳エチケット
症状があったら自宅で安静 (発熱などには市販されているアセトアミノフェンなど服用)

持病の薬は続ける
検査を求めない(追加)

です。


2020年3月3日にFBでシェアした投稿です。投稿当時のデータを参考に書いています。

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