去年よりはポジティブかしら ―きのホ。デビュー1周年に寄せて―
※10/3に上げるつもりでワンマン前から少しずつ書いたので、色々統一感がありませんがそのまま載せています。
2021年の夏、まだデビューもしていない、音源もないアイドルに興味を持った。
10月、初めてライブに行った。
(まだハマると決まったわけじゃないし、無料だし、試しに行くだけだし…)と言い聞かせながら行った。
帰り道で、長いお付き合いになることを確信した。
そこから1年。2022年10月3日、初めて大好きになったアイドル、きのポはデビュー1周年を迎え、記念ワンマンライブを行った。
ライブのタイトルは『いちホ。~1年経ったらポジティブですか?~』
質問…。メンバーに向けて、だろう。オタクは?わたしは少しはポジティブになったのかしら。
ワンマンまでの1年間を振り返りながら、自分なりのアンサーを考えたいとおもって書きます。
2021年8月頃
twitterでフォローしていたうすた京介さんのアカウントから、やたらとアイドルのツイートがRTされるようになった。
ちなみにわたしはもともとうすたさんの熱烈なファンというわけでもなく、なんとなくTLで見かけて、(昔ピューと吹くジャガー読んでたな、懐かしい)くらいの気持ちでフォローしていた。
そのうすたさんが関わるアイドルグループ…どういうこと?とおもいながら、TLをスクロールする手を少し緩めるようになった。
毎日目にするうちに、メンバーの小花衣こはるさん…の作るごはんのツイートが気になり始めた。
にんじんしりしりとか、ひじき煮とか、大根のお味噌汁とか。寮母さんみたいなごはんだな、とおもった。
素朴で地に足の着いた、見せるためじゃない、でも手間のかかったごはん。きっとこの子はいい子なんだろうなぁとおもった。
後の推しになるこはちゃんとの出会い。
あの時こはちゃんが映え重視のカフェ飯みたいなごはんを作っていたら、特に目に留まることもなく、(うすたさんアイドルのRTしかしないじゃん)とRTを非表示にして、そのままきのポと出会うこともなく終わっていたかもしれない。
こはちゃん、あの時寮母さんみたいなご飯を作ってくれてありがとう。
……これだけでは「家庭的な女がタイプな俺 一目惚れ」になってしまう。
気になりだしてから、You Tubeで【アイドルデビューへの道】を見た。全員それぞれに、アイドルに賭ける気持ちの重さや抱えているものの片鱗が見える中で、やっぱりこはちゃんに一番惹かれた。Twitterだけ見たときには、正直半分くらいキャラだとおもっていたのが、動画を見て変わった。本当に、暗い部屋の中から出てきた、出てこようとしている子なんだなとおもった。自分だけじゃなく、誰かのためにアイドルになりたいという気持ちが、本音にしか見えなかった。意味がわからないくらい泣いた。
2021年9月
9月5日、1stアルバム「きのうまではポジティブでした」の配信が開始された。
こはちゃんに心を揺さぶられた自分は、この時すでに6人のtwitterをフォローし、You Tubeに上がっている動画を周回し、配信開始を心待ちにしていた。
わたしの中でアイドルといえばアイドルマスターか初期AKB、あとは小学生の時に流行っていたモー娘。くらいのもので、今時?のアイドル楽曲というもののイメージを持っていなかった。
1曲目、emo衛門のイントロが流れた瞬間、衝撃がはしった。純粋にかっこいい。かっこよくて、かわいくて、おしゃれで、ちょっと京都。なんだこれ。
歌詞も、ちょっとひねくれてて、ネガティブでポジティブで、君とか僕とか恋とか愛とかじゃない、普遍的だけど狭い範囲を刺してくる感じ。なんだこれ。
なんだこれ。おもてたんとちがう…。
初めて気になったアイドル、曲もめっちゃよかった。ラッキー。
思えば社会人になってから長らく、新しい音楽を聴くこともなかった。それがまさかのアイドル。
自分がちょっとおもしろくなってきて、酔った勢いでFCに入った。東名阪ライブに行ってみたい気持ちと、ひとりでライブハウスに行くこわさを戦わせているうちに、東京がSOLD OUTした。腹をくくった。酔った勢いで名古屋のライブに申し込んだ。
無料ライブに往復新幹線の費用をかけて、何をやってるんだ自分…と100回くらいおもいかけてねじ伏せた。
もしかしたらこれがすごい出会いになるのかもしれない、と馬鹿みたいにおもった。少しワクワクした。
2021年10月
10月10日、名古屋。いろいろ調べてしまうと怖気づいて行けなくなるとおもい、敢えてアイドルライブのお作法もろくに調べず、ペンライトも買わず、着の身着のままはじめてのアイドルライブ参戦。
twitterやYouTubeで見ていた彼女たちが目の前で歌って踊っている。ほんとにいるんだ…。
ついこの間までアイドルじゃなかった子たちが、一つの場所に集まって、たくさん練習して準備して、アイドルとして立ってくれている。
人ってこんなに輝いて見えるんだ、とおもった。
入場時、迷わず手に取ったピンクのサイリウムはすぐに消えた。そんなことも知らなかった。ペンライトを買わなかったことを後悔した。
せっかくだからと、人生初めてのチェキを撮った。全体チェキと、こはちゃんとの2ショット。ほんとに、ステージに立っていた人たちと目の前で話せるんだ…。あなた達をだいすきで応援している人間はここにいます、と伝えたかった。たぶんアイドル現場が初めてだということ以外ろくに何も話せていない。
今見返すと、暗くて顔もよくわからない大事なチェキ。
帰り道、行ってみてよかったと1000回くらいおもった。いい歳して、ただアイドルのライブに行ったというだけのことが、すごい冒険みたいにおもえて、ふわふわしながら帰った。
31日、ハロウィンのYouTube配信があった。
わたしがあまりに毎日きのポの話ばかりするから気になったのか、交際相手も一緒に見てくれた。まだ儚げで控えめに見えたミコちゃんのことを、しきりに「あの子は大丈夫なの?」と心配していた。
この人、数か月後には立派なミコ推しになります。
2021年11月
ワンマンライブの衝撃が忘れられず、またライブに行ってみたい気持ちが湧き上がってくる。
誤算だったのは、デビューしたての地下アイドルにとってワンマンというのは特別なものだということ。数組対バン形式のライブや、もっと大勢が出るフェスやサーキットイベントというものに出るのがふつうらしい。
アイドル自体に興味がなく、大勢が出るようなライブに行くのを躊躇していたら、会うチャンスをいくつも逃してしまった。
勇気を出して、昭和アイドルアーカイブスというイベントに行くことにした。
こはちゃんが他の人の歌を歌うところなんてなかなか見られないだろうし!とおもって行ったけど、今振り返ってもきのポの中で異色なイベント出演…。
こはくるみりちゃん、歌うだけかとおもったらパフォーマンスとしてめちゃくちゃしっかり仕上げていて驚いた。直前に買ったペンライトを恐る恐る振った。学園天国が楽しすぎた。
はじめてランチェキ(ハロウィン)を買ったり、3人とチェキを撮って学ランみりちゃんにドキドキしたり、初回よりちょっとだけオタクができた。
この時確かモロオカさんが「歌が強いメンバー3人で出た」と言っていてなるほどとおもった。今となっては誰がどんな組み合わせで出ても超安心。
この頃成長ツウが開始され、「何日になったら成長ツウがあるから耐えよう」という乗り越え方を取り入れるようになった。何もない日常の中にも、きのポが当たり前のように組み込まれてきた。
こはくる生誕祭に向けて、Twitterのアカウントを作った。FCLINEには入っていたけど、もっとたくさんすきを伝えたいとおもったので。
そしてできればオタクの人と仲良くできれば…きっとこの先長く推していくことになるから…
怯えながらきのポのファンであることを呟いたら、すぐにフォローがきた。こはちゃんから「見つけた!」とLINEが来た。ヒェッ…こわ…(喜べよ)
2021年12月
こはくるいろはち、3つの生誕祭が集中する月。相変わらずワンマン以外のライブに参戦できないでいた自分にとって、12月は迷うことなくライブに行けるきのポ強化月間だった。
生誕祭は誰のであっても特別。メンバーそれぞれに見せたい自分を考え抜いて、時間をかけて準備して、気持ちを伝えてくれる。生誕を経ると全員さらに大好きが増すので困る。困らない。
生誕祭第1号で圧倒的歌唱を披露するくるちゃん。セーラー服で佇む姿が神聖にすら見えた。特典会で1億倍増しの似顔絵を描いてもらった。多才。
オーディションのときの曲を、動画の印象とは違い笑顔で歌うこはちゃん。大成功のけん玉。緊張しながらの弾き語り。アカペラで鳥肌が立った。
色葉ちゃん。ソロには、彼女が少女と大人の境目の、強くて脆くて特別に感度が高い時期にあることを感じた。ソロと二人曲の3曲で表現の幅を知った。
メンバー誰も、去年の今頃はこんな誕生日を迎えるとはおもっていなかっただろう。後悔なく、嬉しく感じてくれていたらいいな、とおもった。
この月、新曲も発表された。
こはくる生誕祭で初めて披露されたリアル、泣くような曲じゃないはずなのに、初見で圧倒されて気付けば泣いていた。未だに、ライブでリアルをやるときの、タイトルコールの一瞬で空気が張りつめる感じがすき。
スタートラインは衝撃だったな。こんなにかわいくて楽しい曲があるのか、そしてリアルとの振り幅。デビュー3ヶ月でこんなことができていいのか、恐ろしさすら覚えた。そういえばスタートライン初披露時、一緒に踊れる曲だと喜んだのは、体育万年2の踊りたくない芸人にしては異常事態だ。相合傘に調教されたんだろう。
ポトモダチという言葉ができた。むず痒い。自分は楽しいオタクではないから名乗る資格がないように感じた。
自分が行っていないのに印象に残っているライブがある。12/27名古屋のエクストロメ。
つよつよアイドルさんに囲まれ、メンバーの緊張と気合いもいつも以上らしい。
出番が終わる頃、出先でTwitterを見ていると、きのポがぶちかましたと、すごくいいライブだったというツイートが複数流れてきた。
よかった、すごい、誇らしい、頼もしい、よかった。なにかの合格発表でも見たような気持ちになった。そんな気持ちになることが無性に嬉しかった。
クリスマスライブ、年越し、年末の買い出しなんかも配信があった。年末からずっと一緒。メンバーがみんなでごはんを食べているだけで嬉しい。
あの日限定のクリスマスソング、とてもすきだったな。ほんとうにあの一日限りなんだろうか。
実家との関係にわだかまりがあり、帰省中にきのポを持ち込むことに抵抗があった。アイドルオタクの自分を見せたくなかった。
耐えきれず実家でも配信を見たり、節約のためライブ後に帰ったりするようになった。すぐどうでもよくなった。何を言われても、楽しさが上書きされるわけじゃないと分かった。
2022年1月
初詣で、自分と交際相手と、きのポのことを神様に伝えた。お願いごとをするものじゃないと聞くから、「頑張りますのでよろしくお願いします」と挨拶した。勝手に。変なの。
ハンサムケンヤさんとの対バンライブがあった。
初めての対バンライブ参戦…といっても身内なので安心。自由で、余裕で、間が独特で、かっこいい。この人が楽曲担当でよかったと心底おもった。新アルバムが発表され、年明け早々、いい年になることが決定した。
こはくる生誕で初めてポトモダチと話したところから、ここで少し輪が広がった。この時お酒に頼ったことで、未だに飲酒の人だとおもわれている気がする(間違いじゃない)。ためらいがちに、自分もポトモダチを名乗ってもいいのかなとおもい始めた。
特典会で初めてらねちゃんと喋った。12月からメンバー全員1周するぞとおもいつつ、自分が芋すぎるためにおしゃれな人がこわくて、らねちゃんが最後になってしまった。
「はじめまして…じゃないよね?全体チェキ来てくれてるよね?かわいいから覚えてたよ〜!」
ヒェッ…やさしい……しゅき………(SOKU☆OCHI)
この日からしばらく、らねちゃんの笑顔が声が頭から離れなくなっては、こはちゃんへの罪悪感に苛まれ、えっきも…と自分にドン引きし、つまり、恋が…走り出したら…君が…止まらない…
ひとつ歳をとった。親から早く結婚しろとLINEがきた。いつもは平気なのに、なんとなく気持ちがどん底になった。
Twitterでたくさんのポトモダチが優しい言葉をかけてくれた。こはちゃんがブルーハーツの『人にやさしく』を歌っていた。勝手に私信ということにしたら、わたしに歌ったんだよ、と言ってくれた。もちろん一人一人の「わたし」に歌っていることはわかっているけど嬉しかった。
メンバーがコロナにかかり、活動が一時お休みになった。
過去のYouTube動画を繰り返し見たり、そんなときにでもマメに更新してくれるSNSを追っていたりしていたら、(メンバーにとってはきっと長い時間だっただろうけど)あっという間に活動は再開した。
ふと、いつまでこんな近い距離で応援できるのかなと寂しくなった。きのポはすぐにもっと大きなステージに行くだろう。そうすればLINEはおろか、特典会で会いに行くこともすぐにできなくなってしまう。大きくなることは応援したいのに。
わたしはいつも終わりばかり考えてしまって、目の前のことを十分に享受できない。
そんな寂しさを呟いたら、こはちゃんが、「この先きのポが売れて距離が遠くなっても心の距離は変わらないよ」と伝えてくれた。ありふれた言い方かもしれないけど、こはちゃんが言うのだから信じられる、大丈夫だとおもった。
2022年2月
コロナから復帰後、初めてのライブはみりちゃん生誕祭&バレンタイン。
ふつうでも生誕祭準備はとても大変なものだろうに、みりちゃんの不安は如何ばかりだったか。
それでもソロ&3人歌唱あり、コンテンポラリーダンスあり、みりおんゑあありの、情緒がジェットコースターになるほど盛りだくさんを見せてくれた。メンバー全員、ライブができることの喜びに溢れているように見えたのが嬉しかった。
夜のバレンタインライブでは、どぶろっくさんコラボで大きなフタモツを朗々と歌い上げるらねちゃんに持っていかれた。思い切りがいい…しゅき…
特典会のテーマがメイド服だったので、らねちゃんにゴミを見るような目で見てもらった。だいぶキていた。
調子に乗るな。お前はこはちゃんにこそゴミ扱いされろ。(こはちゃんはそんなことしない)
京月観が開催された。
遠征になるけれど、初めてはなんとしても行きたい。対バン相手の予習をして臨んだ。
ライブの前に、ポトモダチとピザモンにご一緒させてもらった。そのまま特典会用にドンキでセーラー服を買った。(さらっと書いたけど、これが普通のことなのかわたしにはもう分からない)
対バン形式のライブは身内のハムケンさんを除いて初参戦だったので、振る舞いがわからず不安だったけど、全部杞憂に終わった。そりゃあすきなグループのすきな運営さんが呼んでるんだから、楽しめないわけがないんだ。
他のグループのオタクの人たちも、ペンラを振ったり振りコピしたりする姿が必死で全力で、なんだかこの場まるごとが尊いなとおもった。
長丁場で疲れたけどとんでもない多幸感だった。メンバーはライブができる喜び、特に京月観にかける特別な思いを全身で表しているように見えた。楽しいのに、楽しすぎて泣いた。
約10年ぶりくらいに夜行バスに乗って帰った。いい歳してライブに行っただけでほんとうに馬鹿みたいだけど、自分もこんな風に遊べるんだ、とおもった。朝、バスの停車場から東京駅までの道がやけに輝いて見えた。まだあの言葉は知らない帰り道。
2022年3月・4月
3月、交際相手と北陸を旅行した。アクスタを連れてお出かけするのに憧れて、自分もいっしょに旅行するぞとおもい注文してみた。
しかし(推しをこんな汚い部屋に置けない…しまうのもかわいそう…)など買うまでにためらいすぎたせいで、旅行に間に合わなかった。おばか。旅行先でも結局きのポの話ばかりして、レンタカーでもきのポを流した。いつでもどこでも。
ミコちゃん生誕月。まさか、指輪と婚姻届とは…。絶対結婚しような。ミコちゃんは本気。オタクも本気。
くぴぽさんの『絶対結婚しような!!!』というアルバムを初めて知った時、正直ちょっと(ぁ、ぅん…)とおもった。結婚イコール恋愛の先にあるもので、ごく一部の超例外を除きアイドルとオタクの間に成り立つ言葉じゃないと額面通り捉えていたので。真面目か。
でも、アイドルやオタクがわりと結婚という言葉を使うのを見ているうちに、必ずしもガチ恋とかそういうことじゃないんだろうなと感じるようになった。
ずっと一緒にいたいほど特別で大切だ、と伝えたいとき、突き詰めると「絶対結婚しような」としか言いようがないことがある。かもしれない。
だいぶ余談でした。生誕祭といえばソロ歌唱が定番?になっていたところ、ミコちゃんは朗読とピアノでミコちゃんを表現した。ミコちゃんは、とても人間なのに同時に神聖というか。清廉とか静謐とか、なんというかそこにいるだけで空気が澄んで背筋が伸びるような感じがある。
ウエディングドレス姿を見て泣き崩れるミコちゃん推しが微笑ましかった。そしてうのちゃんがすきなミコちゃんがすき。
4月後半に資格試験を控えていたため、ミコちゃん生誕からツアーまでライブはお預けのつもりでいた。
のに、らねちゃんからFCの全体LINEで「絶対に来て」とお達しがあった。試験5日前。時間も場所も行ける。もう今さら追い込みも何もないし。一瞬だけ迷ってすぐ申し込んだ。
らねちゃんに報告すると「試験は失敗してほしくないから無理しないでね」とお優しい言葉をもらった。そういうところだよ…
特典会(リアルMVの衣装交換ver.)を楽しみに行ったら、新アルバムの曲、やなやつが初披露された。
リアルを初めて聞いたのもこの場所だった。かっこよさに圧倒されるとともに、らねちゃんの「絶対来て」はこれだったのかと納得。そうやってサプライズを仕込んでくれることが嬉しくて、なんかもう、なんかもう…信頼。
特典会ではこはちゃんもらねちゃんも、言葉とチェキで試験を応援してくれた。お守り。
アルバムの配信が開始された。
配信日が試験当日だったので、聴いたら眠れなくなるけど聴かないと気になって眠れなくなるジレンマに陥った。欲望に負けてその日は桃源京とブリ道だけ聴いた。2曲で眠れなくなった。
6人の、6人による、6人のための歌…
1枚目よりさらに曲も歌い方も幅広く、歌唱力の底上げが半端なく、歌割りはばらけつつもここはその子じゃないと…!というところがぴったりハマっており…。こんなに良すぎていいのか、何にどう感謝すればいいのか、とにかくもう、すきになってよかったの気持ちで溢れかえった。
2022年5月
ツアーがはじまった。全通する人、うすたさんに会いに北海道に行く人、初めて地元で迎えられる人。
自分は名古屋、京都、ファイナルの3箇所参戦。4月にミコちゃんと特典会でお話したとき、「そんなに会えるの!うれしい!」と言ってくれたことで、思い切った遠征ができない後ろめたさが少し和らいだ。とはいえもう一箇所…行っておけばよかったな…少しだけ後悔。
たぶん実際はちがうのだけれど、今年のGWはずっと快晴だったような記憶がある。
名古屋の日が晴れていたからだろうか。実家から在来線を乗り継いで、最後に乗った電車がちょうどブリ道1周分で目的の駅にたどり着いた。緊張を和らげようと、一人路上でカラスに怯えながらビールを飲んだ。ポトモダチの群れに遭遇してとっさに隠れた。どうでもいいことばっかり思い出す。
ハムケンさんのウイングに一発目の泣きを頂かれてしまった。シチロさんの笑顔がすき。きのポが素敵な大人に囲まれていることがうれしい。もちろんポテトさんも!
初めて見る新衣装、初めて生で聴く新曲。Twitterで散々見たのに、毎日繰り返し聴いているのに、目の前にすると良すぎて脳が処理できない…破壊力…。
(初めてだから乗れずに棒立ちかも…)というのは杞憂に終わった。桃源京、コネクト、アメムチ。自然と身体が動いた。ブリリアント帰り道だけは、棒立ち滂沱の涙マンになってしまった。
終わったあとも興奮冷めやらず、帰りたくないと駄々をこねて、ポトモダチ飲みに参加させてもらい、京都まで二人の方と一緒に帰った。今が遅れてきた青春、という話を確かした。
そういえば散々迷った挙げ句、ツアーからペンライトを2色振るようになった。
オタクとしてのしていいことや暗黙の了解が分からず、推し増しだとか二推し(2番じゃなくふたり!)だとかをググりまくったけど、そんなことをうだうだ考えてるほうが大好きな二人に対して不誠実だという結論に至った。
人間には右脳と左脳があり、手足も2本、肺も腎臓も2つあるのだ。2人の人間を同時に同じだけ愛することは、可能。
ツアー京都は京月観。初めて交際相手を連れて行った。
超絶出不精で引きこもりな交際相手を引っ張り出すのは緊張した。もしわたしがいやなおもいをさせて、もうライブには一生行かないと言われたら。相手のミコちゃんを好きな気持ちに水をさしてしまったら。
ライブ後、ずっと棒立ちだった相手に恐る恐る後悔していないか訊いたら、「後悔しようがない」というようなことを言われた。嬉しくて、そのうちわたし抜きでも、ここが安心して出掛けられる場所になればいいなとおもった。
ツアーに行けない間も、TLの賑わいやお散歩配信を見ては行った気持ちになり、毎日がお祭りのように過ぎた。各地で聖地巡りや観光や時にコスプレをするポトモダチを見て、楽しむのが上手ですごいなぁ、それに引き換え自分は…とおもわないでもなかったけれど、純粋にいいな、素敵な人たちだな、というほうがはるかに勝った。
GWはほぼきのポのことしか考えずに終わった。いつもは休みに入る前から休み明けが来るのが憂鬱だけど、今回はまだファイナルがあるというのが支えになった。
2022年6月
中学からの数少ない友人達と、関西にグランピングに行った。ツアーの日程発表より前に予定を入れていたため、1泊2日のグランピング+観光の翌日がファイナルというスケジュールになった。
たぶん一般的には(だから?)という話だけど、楽しい予定を繋げるというのは、自分にとってはけっこう身構えてしまうことだった。
友人達とフルパワー超ではしゃいでしまい、体力温存に若干失敗したまま迎えたツアーファイナル。
まだライブに行くたび、命の危機を感じるほど緊張していたけど、ポトモダチの顔を見た瞬間一気に安心した。いつもの人たち、がどんどん増えるっていいな。
ライブは、楽しいはずなのに序盤から過去一泣き崩れてしまった。
バンドを従え堂々の貫禄で、のびのびとステージをつくっているメンバー達。1ヶ月前から磨きがかかりまくったアルバム曲。すっかり馴染んだ新衣装。
楽しさと尊さと、この場に立ち会えた喜び、こんなに立派になって…の気持ち、だいすきの気持ち…あまりにいいものを前にすると、私の場合は脳が処理しきれず涙ばかり出てしまうんだとおもう。
昼夜そんな調子で感情を動かしすぎて、クタクタになったけど清々しい疲労だった。帰り道、すべてを使いきって抜け殻になる一方で、通りがかるひと全員に、自分がいま観てきたものの素晴らしさを説きたいような、高揚感と多幸感に包まれていた。
昔から、いいことの後にはそれを帳消しにするようないやなことがあって、台無しになるとおもってきた。実際は毎回そうだったわけでもないのに、小さなよくない経験が積み重なって、ふんわりとジンクスみたいになっていた。
でも実際はやっぱり、どれだけ楽しいことがあっても、それが続いても、過ぎたら大きな余韻を伴いながら、ただ日常に戻るだけだった。良くも悪くも。
TIFの出演が発表された。
ツアーが終わっても寂しくなる必要はないと、アツい夏にするとメンバーが言っていたことが、こんな形で実現するなんて。安心と信頼。
ものすごく大きなすごいイベントということしか分からなかったけれど、1年目で目標の一つでもあったイベントに出られることが嬉しかった。らねちゃんの喜びように嗚咽した。
でも、「楽しみ!絶対行く!」と呟きながら、実は(行くの大変そうだな、うまく回れる気がしないな、でも行かざるを得ないしな…)という不安の方が大きかった。
せっかくだし!悪いようにはならないから!と言い聞かせ、負のことばをねじ伏せた。
ツアーファイナルの翌週には京月観に遠征した。今おもうと主に金銭とか、いろんな感覚が麻痺していた…。
土曜日の夜行バスで京都に向かい、ネカフェで仮眠、ぶらぶらしてライブを楽しみ特典会もぎりぎりまで回り、夜遅くに東京に帰って翌朝仕事。若い。自分にもそんなことできたんだ。驚き。
自分の心身に対する信頼は常に大マイナスだけど、意外とどうにかなるものだなと分かった。
2022年7月
きのポの夏が始まった。
スプリットツアー東京。
もともときのポ以外のアイドルにはあまり興味がなかったけど、よく一緒になるグループさんには親しみを持つようになっていた。特にスプリットツアーの2組は、対バンにいたら嬉しいし、フェスでも進んで観たいとおもうくらいになった。ワンマンにしか行けなかった頃に比べれば少し進歩。
初めて行ったduoはパンパンだった。抽選の引きがよくて2列目に入ることができたけど、周りにいつもの顔ぶれがいなくて、心の中でこはちゃんらねちゃんに助けを求めた。トップバッターできのポが出てきた瞬間、というか、過剰な円陣が聞こえた瞬間、一気に大丈夫になった。始まってしまえばもうステージと自分の世界、優しいものしかない。
そういえばツアーの頃から、きのポのライブに行くと実家(概念)のような安心感を覚えるようになった。ライブ前はしぬほど緊張するのに。
2組ともステージもオタクもすごい熱量で、そりゃあこんなのすきになるよね…という説得力しかなかった。一方で、自分にとってきのポが特別で唯一無二なんだということを改めて感じた。
ポトモダチとBBQをした。いいんだ、わたし、そういうの行って。ポトモダチってライブじゃないのに会えるんだ。声をかけてもらった時、二つ返事で飛びついた。フットワーク重重インドアぼっち人間なのに。え~なにそれ絶対楽しいやつじゃ~ん!って、なけなしの陽の部分がいきなり顔を出した。
たぶん大した話はしてなくて、ひたすらだらだら飲んで、寝てるひとや腕の筋肉を晒しているひとや突然水を浴びる人がいて、とてもゆるくてたのしいなとおもいました。またやりたい。
らねちゃんの生誕があった。行けない人がたくさんいる中でコロナ明けの自分が行っていいのか。当日まで迷った末、推しの生誕なんだから行って見届けよう、行けなかった人にちゃんと共有しようという気持ちが勝った。
初めての昼夜二部制。パワポプレゼン、アンケート結果順に組んだセトリ。ひたすら楽しい昼。怪しいマルチ商法動画でふざけたかとおもえば、映像で音で言葉で歌で、内面を曝け出すような夜。
ステージで輝くアイドルであると同時に、悩みもがき戦う人間だから、それも見せようとしてくれるから、こんなにもらねちゃんがすき。
疲れたので翌日は休んで帰省準備でもしようとおもっていたのに、目覚めたらライブに行けそうな時間だったので、コンビニに行くくらいの感覚でライブに行った。朝からアルコール片手に踊って、さすがに疲れた、帰ろうとおもったのに、気付いたら夜のチケットも買っていた。3週間ぶりのライブですっかりハイになっていた。スプリットの時の緊張が嘘みたいに、ふらっとライブに行けることがなんだか嬉しかった。
2022年8月
連日の東京ライブやブ会を尽く帰省で潰した。必ず帰れと言われているわけでもないのに、いつまでも帰らなきゃいけないとおもってしまう。
ブ会や3マン(ROMAN CANDIES)の配信は心からありがたかったけど、3マンは画面越しに見ていることが苦しいくらいもどかしかった。その場にいたとしてもピンクのペンライトを振るくらいしかできないけれど。
泣きそうなこはちゃんを見て、今さら、あまりにありふれた言い方で、この子に笑ってほしいと強くおもった。ぜんぶ大丈夫だから、大好きだから、笑っていてほしいと、あまりに唐突に純粋におもうものだから自分でも驚いた。
わたしが遠くから心配するまでもなく、こはちゃんは優しいメンバーにわちゃわちゃ励まされ、偶然手にした(というと対バン相手さんに悪いけど)リベンジチャンスを物にしていた。よかった、ほんとうによかった、がんばったね。
夏休みの最終日、TIFに行った。
子供の頃から、体育祭で1日外に出ただけで、ろくに何もしていないのに翌日熱を出すくらい貧弱だったから、だいぶ怯えていた。あれだけ巨大なイベント、要領が悪いので、観たいステージを観られる自信もなかった。
せっかくだから、なんとかなるから、を繰り返し念じながら向かったら、ゆりかもめから降りた瞬間ポトモダチに遭遇した。ここから最後まで、この日は一日中いろんな方につきまとい助けられて本当になんとかなった。一人だったら絶対に諦めていたので感謝しかない。
お昼のDREAM STAGE。自分にとっては初めて野外で見るきのポでもあった。
憧れのイベント、たくさんの人、みんな緊張しているだろうか…とおもっていたのに、大きなステージの上のみんなはいつも以上に堂々と、いつも通りのびのびとしていた。
開幕自分宣言だったか、最初の曲がはじまった時点で、(TIFだ…きのポが1年目でTIFにたってる…)と感極まってしまった。出演が決まるまでTIFが何かも知らなかったくせに。ついさっきまで怯えてたくせに。
泣いてる場合じゃないと立ち直り、いつも以上に気合を入れてペンラを振り回すなどしたのに、観月京のサビが、あまりに今のきのポと重なってしまってだめだった。1年前、まだ衣装もなかった頃かな。レッスンで心が折れたりしていただろうか。1年でこんなライブができるようになったんだよね…
お昼でこれなのにSKY STAGEなんて観たら息ができなくなるのでは、とおもっていたら、周りにも似たような状態の方がちらほらいて少し安心した。
夜のSKY STAGEまでの間にも、野生のうすた先生を見かけたり、直接見られなかったけどオモカワ部で伝説の(?)「おすいもの泥棒」「どろぼう院田中」が生まれたり、アイドル専用ジムプロジェクト企画でアイドルの苦労を垣間見たり、これも見られなかったけどらねみりちゃんがトークで爪痕を残していたり…。とにかく盛りだくさんのお祭りだった。
SKY STAGEを前のほうで見たくて、遮るもののない湾岸スタジオの屋上で4時間程待機した。
疲労困憊で、早く出番が来てほしいとおもう一方、出番が来たらこの特別な日が終わってしまう寂しさと緊張感があった。
その夜きのポはなんの予告もなく、夜に溶ける新衣装で登場した。その時の、周囲のざわめき。声出し禁止の中で、思わず漏れてしまった驚きや喜びの溜息や唸り。一言で表すなら、「やってくれたな」という気持ちでいっぱいだった。
大好きな夜の庵を夜のSKYSTAGEで聴けた。15分しかない中で聴けるとおもっていなかったので、夜の庵が夜を背負った曲であることに感謝した。
ブリリアント帰り道。ここでもざわめき。思わず隣のポトモダチと顔を見合わせた(つもりだったけど、わたしがあまりに泣いているので驚かせてしまったと最近知った)。
きのポは物語だなぁとおもう。メンバー自身と活動と楽曲と振り付けと、全部ひっくるめて、この6人でしか表せない物語を感じる。6人だから意味を持つステージ。
この日いろいろなアイドルさんを見た。きっといろんな面できのポよりつよつよのグループもいたけど、誰よりきのポが輝いて見えた。わたしにはこの6人じゃなきゃだめだとおもった。
こはちゃんの気迫。ブリ道を歌うときの、この日一番柔らかい、何かを乗り越えてつきものが落ちたような表情。らねちゃんがステージの広さに喜んでいたこと、絶対にまたここに立つと言っていたこと。
こはちゃんの、らねちゃんのお母さんは配信で見ているだろうか。あなたの娘さんはこんなに立派に歌って踊って、大勢の人を惹きつけて、大勢の人に愛されてるよ。なに目線だというようなことを、心の中で本気で語り掛けた。
ブリリアント帰り道の最後で背中を向けたとき、6人にはどんな景色が見えていたんだろう。
体力と情緒に限界が来て、きのポが終わった瞬間立ち去ったら、次を見るのだろうとおもっていたポトモダチがポテトさんと一緒にぞろぞろと降りてきた。帰り道はすっかり魂が抜けてしまって何も言えなかった。
死んだように眠り、次の日死んだように仕事に行った。念入りに塗った日焼け止めは膝の裏だけ流れ落ち、しばらく変な日焼けが残った。それが少しも嫌じゃなかった。
同じ週の土曜日、台風で中止になったイベントの代わりに急遽ワンマンが開かれた。当日の深夜1時に発表されたにも関わらず、遠方からも次々参戦表明するポトモダチ…。
はじめて他のアイドルさんのライブに行く日で諦めていたけど、西永福から下北沢。近。行かないわけには。ライブ中盤で到着したSHELTERはパンパンだった。フッ軽オタク。最高。
この日は終始ゆるい雰囲気で、身内感が心地よかった。いちばんゆるかったのはポテトさんだけど(かわいい)。
ライブ終わり、気付けばポトモダチと6時間くらい鳥貴族にいた。若返った気がした。
京月観にも行った。しばらく行けなさそうだったので、海デート特典会用にワンピースを買い、実家からくすねた麦わら帽子持参で向かった。交際相手も5月ぶりの参戦。ミコちゃん推しに構ってもらっていてよかった。貸してもらったペンライトを初めて振っているのがほほえましかった。
らねちゃんと海デート、こはちゃんとウニデートをした。らねちゃんに「ワンピースかわいい、今日の優勝!」と言ってもらい、無事に夏を締めることができた。こはちゃんは、とても、オフの、海女で、かわいかった、です。
7月8月と、東京最後の夏はひたすらにきのポの夏だった。こんなに予定がたくさんあった夏はいつぶりだろう。大人になって長いのに、仕事もしてたのに、振り返れば夏休みみたいだ。
2022年9月
夏の間に当社比張り切ったこと、節制の必要に迫られたこと、オタク以外の生活が忙しくなり始めたことで、少しペースを落として応援することになった。
第2回ブ会の配信があった。着物。意味が分からないくらいかわいかった。かわいかった印象ばかりで、いろはちゃんたほいや(という名のサイコパス診断)と、質問コーナー(で推しが二人とも無人島ですぐしぬタイプだったこと)しか今思い出せないけど、とても楽しかったのは確か。交際相手がついにわたし抜きで行けるようになったとおもったら、いきなり際限なくはしゃぎだしたので少しハラハラした。代行チェキをくれた。
ギュウ農フェスに行った。リキッドルームは初めてだけど、とても大きな箱だというイメージはあってドキドキしていた。
とても大きな箱の、初めて最後尾でライブを観た。いくらライブが始まればステージと自分の世界…とはいえ、ふだんは周りの邪魔になっていないか気になってしまうけれど、最後尾はその点気楽。踊り放題。振り回し放題。
この日、あまりにステージが良すぎて、最後尾で見たのも楽しすぎて、こんなのもうワンマンじゃん…とおもった(まったくワンマンではない)。
1周年のduoが埋まったらここが埋まるのもすぐかなぁ、などといつになく妄想した。
ほんとうにあまりによかったから、こんなの売れないわけがないから、純粋にもっと大きくなってほしい、なるべきとおもった。それを寂しいとおもう気持ちは、少なくともこの日は完全になくなっていた。
9月も後半になると、1周年に向けて何かしなければと思い始めた。
絵は描けない、手先も不器用、画像編集、動画作成、できない。踊れない。おもしろいことも言えない。なにもできない。
お祝いだからケーキでも作るか。アイシングクッキー、かわいいな。思い付きで5年以上ぶりにお菓子作りなどしたら、事故の連続で大惨事になった。アイシングクッキーはばかみたいに面倒で、(きのポのお祝いじゃなかったら絶対やらない…)と3000回くらいおもった。おもいつつ、柄にもなく手を動かしている自分がいやではなかった。
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そして10月3日、きのポは1周年を迎えた。
10月10日、自分が初めてライブに行ってから1年が経った。
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1年間、たくさんの不安があり、大抵のことが杞憂に終わった。
去年の夏の自分には、楽しいことも避けたい刺激だった。人と関わると反省会をするのに疲れた。
でも、楽しいことの後に悪いことばかり起こるわけじゃない。起こっても楽しかったことは消えないと分かった。そんなに自分を守ろうとするほど、こわい人やいやなことばかりじゃないし、自分は脆くなかった。
振り返ることが苦手だった。
そもそも2年前も3年前も5年前も、違いがわからなくなっていた。それを思い知りたくなかった。
この1年で、振り返るための目印がいくつもできた。
1年前と今じゃきのポは全然ちがう。わたしはまったく同じかもしれない。でも同じ中にも、きれいな気持ち、すきとか尊いとか誇らしいとか、そんなものが増えた。
ただ、アイドルをすきになっただけ。自分の問題がなにか片付くわけじゃない。わたしは強くもかわいくも、いい人間にもなっていない。そんなことは分かっているのに、こんなに延々と自分語りを続けたりする。それを自分に許すようになった。すきな子が笑っていて、嬉しくて、頑張れるだとか、そんな幼稚な因果関係に甘んじたくなった。
ピンクや紫のものを手に取ることが増えた。山形の文字を見ると、こはちゃんの故郷に思いを馳せた。金木犀が香るたび、らねちゃんの顔が浮かんだ。
日常の中にたくさんのスイッチがある。いつも作動するわけじゃないけれど、存在を感じてる。
1年経ったらポジティブですか?
ほんとはイエスと言いたくて書き始めた。今も結構な頻度で死にたいし、死んだほうがいいとおもう。ポジティブでした、とつけたタイトルは、途中でポジティブかしら、と書き換えた。
わたしはたぶんポジティブな人間にはなれなくて、それはもうどうしようもなくて。
でも小さい幸せがたくさん増えた。ポジティブじゃない時間を乗り越えた先の楽しみが増えた。
2月のホ。フェスの発表の後、「これで2月まで生きられる」と何度か口にしたけど、本当はその先も楽しいことがあることを信じている。今はそれだけで少し、去年よりはポジティブでしたということにしたい。