きのホ。3rd Full Album 『都スカイハイ』 感想

※こちらは7/24にリリースされたきのホ。(以下きのポ)のアルバム『都スカイハイ』について、回らない頭と貧弱な語彙で褒めくりまわすnoteです。

みんながKIFの話しかしてない頃にすみません。
ようやくアルバムを通してじっくり聴き込める時間ができたので、今さらですが感想をば殴り書いてみたり。

まず、アルバム全体を通して、なんというかきのポがまたさらに一段上にいったなという印象を受けました。(偉そう、ごめんなさい)
前作『リビングデッド』では剥き出しの感情をぶつけてくるようなヒリヒリした感じがあったのが、今作ではその感情を俯瞰して表現に変えているような感じ…というと語弊があるかな。今までより大人なきのポを感じました。

#1.麗しのタンバリン

アルバムの1曲目って、アルバム全体の雰囲気とか方向性とかをなんとなく掴むものだとおもうけど、イントロの時点で「ほぉ〜〜〜ん……?」と、かっこよすぎて、え、きのポ?これきのポのアルバムで合ってますか?と。ちょっと受け止めきれなかったね。タンバリンでここまでかっこいいんかい、と。確かにこれは麗しいわい、と。

◎特に好きポイント

・ギターリフ?っていうんですか?かっこよすぎて。アイドルのアルバムの1曲目か?これが…

・「分かり始めた衝撃で忘れたよ」
こはるがかっこよすぎる衝撃で記憶を失ったよ。ここの前の歌詞もまたいいですよね。「好きなように生きて行く悩みと 嫌なことに耐え抜く勇気が 交わるとこが同じな気がして」そうかも、そんな気がするかも。

・サビのユニゾンが麗しすぎる。なんでオクターブ上がそんなに綺麗に出るんだ…。聴き終わって冷静に歌詞を眺めたら(で、麗しのタンバリンって何…?)とおもうんだけど、もう一度聴いたらサビで(麗しのタンバリンだ〜〜〜麗しのタンバリンでしかない〜〜〜!!!)となる謎のカタルシスがある。

・パパパン パンパンパパン 
それはもうミコちゃんでしょうそうでしょう


#2.TEA

超好き。ハッピーな曲調に対し、歌詞はなかなか引っ掛かるものがある。いい意味で、受け入れ・受け流し・開き直ってる。しなやかに強く明るく生きる人の歌だなあとおもう。かっこいい。

◎特に好きポイント

・「あなたの怒りを炎だとしたら〜」
ここのらねちゃんパートの歌詞がすき。油言葉なんてしれっとしすぎてる造語もいいし、怒りの炎に対して美しいもの集めておくんだ、いいな、大人だな。あるいはもしかしたらめちゃくちゃ煽りスキルが高いのかもしれない。

・「節操ない合戦の日々で〜」
くるちゃんがすごすぎて、くるちゃんがすごすぎるとしか言えない。
(といいつつ、こういうパートも全員レコーディングはしてるはずで、ほかのメンバーのも聴いてみたくなっちゃうね)

・夜には夜の楽しみがあるよ 
ポジティブな歌詞に小清水さんの声が合う〜

・「この違和感と生きてく そのために全て肯定してく」 
リビングデッドの「私の音」のところといい、ブリ道の「生きてる証が綺麗だとは限らないさ」といい、きのポの中でも特に別方向に生きづらそうな二人がこういうフレーズを歌うのがほんとうに刺さるんだ…。キーが高いことで、絞り出し、ぶつけるように歌うようになってるのがまたいい…。
この歌は「誰かの不幸を願うくらいなら自分の幸せ考えていたい」から始まるんでした。歌詞を見返すと確かに肯定することばに溢れてる。

#3.アンバランス

さすがにミッコミコにされました。
優しく寄り添ってくれるのに湿っぽさが全然ない不思議な曲。こはるの語りがいいって情報を先に聞いてて歌詞も先に見てたから、曲を聴いたときは正直(意外と泣く感じじゃないな?かわいい曲だな)とおもった。数日後ぼーっと聴いてたらボロ泣きした。そんな曲。

◎特に好きポイント

・ミコちゃんのすべて 
すべてなんですよ。
共感されなさそうなことばっかり言ってそろそろ恥ずかしいけど、この曲のミコちゃん、なんか肩乗り妖精さんみたいでほんとうにかわいくて優しくて癒し。

・「あなたにはここにいてほしいかも」
「かも」がかわいすぎるかも、かもではない、かわいすぎる。はっきり言われるより、かもって言われるほうがほんとうらしくてドキッとすることってあるとおもいます。

・こはるの語り
「だめになっちゃった」のこはちゃん、つぶ貝になりたい顔で言ってそうでめちゃくちゃかわいい。こはちゃんって(いまみんなのたあ坊みたいな口してそうだな)ってことないですか、ありますよね、かわいいね。など言うとりますがライブで聴いたらたぶん決壊する。こはるにも…わたしがいるよ…だからなに?…そう……

・「愉快だね 楽しいね 落ち着くよね」
愉快、楽しい、にならんで落ち着くとくるのがなんかいい。どちらかというと感情表現が控えめなミコちゃんの愉快だね、楽しいね、は聴いてて幸せになるね。

#5.都スカイハイ

イントロからもう全部がすき。歌詞もどこを切り取ってもすき。生きているだけで常に過去に謝ったり未来に言い訳したりしてる、身に覚えのありすぎる憧憬とか焦燥とか。
神社の夏祭り、赤いヨーヨーを下げて走っていくこども、雑踏の足元、立ち止まる横顔、揺れるブランコ、夜の高速道路、窓の外を流れていく街灯…。実際に見たような見てないような、いろんな情景が次々浮かんでは消える。過去と未来を行き来する視線が、サビでひとつの今に繋がる感じ。

◎特に好きポイント(全部なんだけど)

・「乾かさずに寝た髪を〜」
気怠げに歌うこはるにしか出せない色気がある。

・「大人に『なりたい』」からのメロディー
ほんとうに、ドラマチックな曲ですよね…。生温い風に撫でられるようなAメロの空気感がここで一気に切り替わる感じ。そこからの疾走感あるBメロが好きすぎる。

・「祭りの後も帰らなくていい」
ポフェスとか爛漫会とか、大きな祭りが終わっても淋しくなる前に次の楽しみを用意してくれるきのポのことだなあ。祭りの後がこわくなくなったのはきのポのおかげ。

・「今ここにある全ての嘘で〜」
先に歌詞を見てこれはらねちゃんの歌詞、とおもったららねちゃんパートで嬉しい。2番の「それを大事にしたいと思わせたいくらい」も、勝手にらねちゃんの気持ちだとおもって聴いてる。ちょっと前まで影も形もなかったようなことも、本当のことに変えてきたもんね。らねちゃんが大事にしてるものをわたしも大事にしたいとおもってるよ…

・「そんなことわかってるさ〜」
小清水さんの切なげ物憂げな表現って美しすぎるとおもう。細かいけど「痛くはないけど」の最初の「い」とかほんとうにいい。

・能天気
どんなディレクションをしたらこの「能天気」がでてくるの…?それともくるちゃんが自分のセンスで出した「能天気」なの…?くるちゃんのを聞いたあとだとそれ以外正解無いだろとおもうけど、聞く前にこれは、というか何も出てこないよなんだよ能天気って…天才すぎる…

#6.夕立雲

これも情景が浮かぶ曲、大好き。
1音目から自転車に乗る制服姿、それも夏休み中の部活なのか補習なのか午前中で学校が終わって帰っているところを当たり前のように浮かべていたけど、改めて歌詞を見たら全部妄想だった。
「あの夏」「あの雲の形」「君の表情」だけ明確に過去な以外は全部現在形だけど、この曲丸ごとが「あの夏」のことでもあるような。
関係ないけど唐突に思い出したので好きな短歌を書いておきます。

「あの夏」と呼べば思い出めいてきてどの夏も襟をただしはじめる /斉藤そよ

なんでもない瞬間にふと、(今この時の空気とか温度とか空とか、数年後にも覚えてるかも)とおもうことがあって、そうおもったことを数年後に思い出したりする。そういう空気感が詰まった曲だなとおもう。
FFさんが恋愛の歌として解釈されているのを見てなるほど…!?になった。脳みそに恋愛が組み込まれていないせいで…言われてみるとそうかも…?なんにしてもこの歌の主人公は遠くない未来この街を出るんだろうなとおもう。

◎特に好きポイント(曲の雰囲気がすきなので全部なのだけど)

・「誰にも言わないことも持っとこう持っとこう」
らねちゃんのストレートな優しい声がノスタルジーを加速させる…。

・「今はもう使われていない階段〜」
ここのパート、『晴天』のミコちゃんが森の中の古い神社でお稲荷さんに喋りかけてるところ思い出すなぁ…とおもったら、晴天にそんな箇所は欠片もなかった。妄想で妄想してた。こわい。
(「誰にも言えないことは この場所で叫び木漏れ日綺麗にゼロにしていく」のところでした。想像する風景に共通するものがあると言いたかった)

・「(くるちゃん)いつもここで曲がるから〜」
この曲のくるちゃんの、あえて抑えめでニュートラルな歌い方をしている感じ、そういう時の細かい声の震えがとても好きです。

・「この願いが誰も傷つけないように 諦めてたこともう一度だけ 咀嚼してあげよう」
優しい歌詞…。宇多田ヒカルは「誰かの願いが叶う頃 あの子が泣いているよ」と身も蓋もないことを言っていたけど、誰も傷付けたくないよね、そうだよね。でも諦めるとも言わず「もう一度だけ咀嚼してあげ」るのが、自分の願いにも誰かにも優しくて、本当に素敵な歌詞だなとおもいました。


#8.グッドサイン

これもすごく好きなんだよな〜〜〜。本当に今回のアルバム、都スカイハイはちょっとひとつ抜けてるかもだけど、あとが決められないくらいすごく好きがいっぱい。決めなくていいね。
そんなに難しい言い回しはしてないのにちょっとずつよく分からないのが、すごくハムケンさんだなぁとおもった、しハムケンさんがセルフカバーしてるのがいちばん想像できる曲(語るほど知らないのですが)。

◎特に好きポイント

・「あの日の答えに薄ら笑い 受け入れるのも悪くないな」
ちょっと斜めな感じで歌うこはちゃんが良い。苦笑いでも呆れ笑いでもなく、これは紛うことなき薄ら笑い。

・「風呂に入ると決めたのになかなか動けない」
ミコちゃんっぽいとおもったらミコちゃんで嬉しい。コネクトのくるちゃんはすぐお風呂に入ってそうなのに…(???)

・「わざわざ手荷物を置いて 作ってくれたグッドサイン」
とにかくここのミコちゃんがすき。わりと賑やかでアップテンポな曲の中で、ここだけ急にミコちゃんと一対一になる。目の前でじっと見つめながら歌ってくれてる感が堪らない。

・「背を向けて前だけ見てよう」
前を見る時どこかに背を向ける状態にはなるけど、それをあえて言うのがなんというかきのポだなぁと。ストレートにポジティブな表現ではなくて、ちょっと引っかかりがある感じ。
「この気持ちにはまだ触れたくない」から「メスを入れて」「耳を傾けて」って前に進んでる感あるのに、急に「背を向けて」ってぶった切るみたいで面白い。「皆」も自分もごちゃごちゃ言うけどもういい!みたいな力強さがある。全然見当違いなこと言ってるかも。

#9.AM2:30

かっこいいとおもってる間に終わって、アレレ?とおもってまた再生したら同じように終わってアレレ…?となるのを5億回やった。
どういうジャンルか分からないけどなんだか昭和の香りがする。こはくるの声が合う。
こはくるがいいのはもちろんだけど、1フレーズだけの美里ちゃんもまたかっこいい。クラベチャウでもおもったけど、美里ちゃんのガナリ(ではないか、語彙がない…)はほんと上手いなぁとおもう。

アンバランスを聴いて泣きたい深夜とAM2:30を聴いて燃えたい深夜がある。
KIFで初披露されたようですが、今後普段のライブでどういうふうにセトリに組み込まれていくのか、あるいは超レア曲になっていくのか、予想できなくて楽しみ。

#11.モーニンググローリー

タイトルだけ見たときにはどんな壮大な曲が来るのかとおもっていたので、いい意味で拍子抜けした。色々言うとりますけども最後はとことん楽しく締めるぞ!という……これぞきのポかも。
曲単体では正直このアルバムの中でそんなに上位の好きというわけではないけど、ライブでは絶対に楽しい、ライブで見たい。振りが面白かわいい。反面教師みたいなライブの定番盛り上げ曲になるかな〜。

◎特に好きポイント

・美里ちゃんのすべて 
これはもう、美里ちゃん曲でしょう…スタートラインのテンキュに続くハイパー美里ちゃんボイス、いーあーるさんすー。都スカイハイで美里ちゃんの物憂げな声が…と書いたけど、反面教師といい、楽しさ全振りなお茶目曲も美里ちゃん強すぎる。

・「敏感肌に塗るのは〜」の掛け合い
ミコちゃんと他メンバーとの掛け合いが面白かわいい。ミコちゃんの淡々とした感じがなんというか、コメディ的な間の良さを感じるし、美里ちゃんの発音の良さがあることでオチるからすごい(オチ?)。

 ・「恐竜って何色だったのか〜」
なんだろうこの歌、ずっとよくわかんないこと歌ってる(褒めてる)。ここのパートで急にアニメーションver.のきのポの画が浮かびました。

・「待てば甘露の日和あり」
甘露ともいうんですね、知らなんだ。あえて海路と言わないところがハムケンさんっぽい(しらんけど)。日和ありの「り」、らねちゃんのRかわいいよね〜〜〜

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各曲の特に好きなところはこんな感じ!でした!
都スカイハイと夕立雲に思い入れの強さが露骨に出てるけど、めちゃくちゃ好きな曲と好きな曲とライブでみたい曲しかない。

音楽って初めて聴いたとか繰り返し聴いてた頃の自分の状況や季節と結びついて記憶されるとおもうけど、個人的に生活が変わって家に閉じこもりがちな今このタイミングでこのアルバムが出たことがとてもありがたいなぁとおもう。
リリース直後に赤ちゃん放置して2人で麗しのタンバリン聞いて顔見合わせたこととか(放置すな)、通院のバスを待ちながらひとりでアンバランス聞いて泣けてきたこととか、赤ちゃんと2人で何していいか分からずモニグロ流しながら手足動かして遊んだこととか、何年経っても思い出すんだろうなぁ。

そんなこんなで、新しい曲が出るたびたくさんの新しい姿を見せてくれ、新しい好きを呼び起こしてくれるきのポが大好きという話でした。
最後の最後に。こんなに新しく懐かしくかっこよくかわいく楽しく沁みる曲を作ってくださるハンサムケンヤさんへの圧倒的感謝を添えて。
〜fin〜

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