コロナうつにならないために、リーダーが最低限知っておきたいメンタルヘルスの基礎知識
アメリカの調査によれば、今回の新型コロナウィルスにまつわる外出自粛や環境変化によって、成人の45%が感染拡大で精神的な影響を受けたと回答。うち19%が「大きな影響」と答えています。日本でも、cotreeのオンラインカウンセリングの利用者数は2月から3月で30%増、3月から4月も増加傾向。コロナ関連の相談も増えていますし、メンタルヘルスに関連する問題が顕在化しつつあるのを感じていますが、ここからさらに拡大することが予想されます。
メンタルヘルスのリスクがかつてないほどに高まる今、改めて最低限知っておきたいメンタルヘルスの基礎知識についてのリーダー向けの勉強会を開催しました。多くの人の参考にもなると思うので、基本資料を共有します。
今はランナーズハイのように元気でも、ストレスがかかり続けると数ヶ月経ったところでメンタル不調が起こるリスクが高まります。その可能性に意識を向けて、自分の変化に気づけるようにしておきましょう。
最低限知っておきたい、メンタルヘルスの基礎知識
メンタルヘルスについて、全員が最低限知っておきたいことは、この3ステップ。
ひとつひとつ説明していきます。
①気づく
ストレスは、「心理面」「身体面」「行動面」の変化として現れます。「今までと違うな?」と感じることがあれば、ストレスのサインかもしれないと気づけるようにしておきましょう。
②原因を知る
「ストレスがあるな」と気づいたら、次は「なんでかな?」と気づくこと。コロナにまつわるストレス・メンタルヘルス悪化要因はこれだけあります。生活リズムの変化、家族関係の変化、コミュニケーションの変化、労働環境の変化、逃げ場がなくなる。将来の不透明さ、経済的不安。
自分あるいは周りの人がどの要因によってストレスを抱えているのだろう?と特定してみましょう。ストレスを感じやすいポイントは人によって違いますし、複合要因のこともあります。
また、同じストレス要因がかかっても、それに反応しやすい人もいればそうでない人もいます。「自分は大丈夫だから」と安心するのではなく「もしかしたら周囲の人はストレスを抱えているかも?」という視点でやさしい眼差しを向けてみてください。
③対処する
ストレスへの対処には様々な種類があります。
①自分で解決(コントロール)できること→問題焦点型(解決する)
②自分で解決(コントロール)できないこと→認知再評価型(見方を変える)
が主な対処かなと思いますが、コントロールできない中でも
a)感情的負担が大きい→感情焦点型:悲しみや怒りや不安を表出し、付き合い方を模索する
b)時間が解決する→問題回避型・気晴らし型・リラクゼーション型
といった対処を合わせて活用するのがいいと思います。
ただ、外出自粛によって今までできていたストレス解消ができなくなっていることも多いと思います。そんな時は、新しい環境に適応した、気晴らしやリラクゼーションを探してみましょう。
その他、リーダーが知っておくべきこと
①メンバーの不安を煽らない
不安を煽ることで前向きになれる人と、ストレスが過剰になってしまう人がいます。「わからない」が不安の元になるので、「何がわからないか」「何がわかっているか」を整理して、「一人一人がやるべきことを明確にする」「不安を受け止めてあげる」ことを意識しましょう。
②目的を明確にする
環境変化が大きい時に、「目標」で管理しようとすると、未達になってしまうことで不安が増大して、拠り所を失って自己効力感を下げてしまうことも。目標の先にある「目的」についてしっかりコミュニケーションをとることで、メンバーが安心して前に進める状態を作ってあげましょう。
③オンラインコミュニケーションに、ストレスを感じる人とそうでない人がいる
リーダーは意外とオンラインコミュニケーションに適応できる人が多いのですが、普段から人の空気や感情を察知しながら仕事をしている人や、人との繋がりを大切にする人、発信を遠慮しがちな人にとっては、大きなストレスになることも。雑談をすること、小さな声に気づく姿勢、一人一人の状態への配慮を忘れないようにしましょう。
④身体の変化に気づく
身体と心はつながっています。心が不調の時には、身体にも出やすいもの。1日1分でもいいので、落ち着いて座って、深呼吸をしながら「自分の気持ちはどうかな、頭、肩、背中、足、どんな感じがするかな」と意識を向ける時間を持ちましょう。ボディスキャニングとも言いますが、こうすることで自分自身のちょっとした変化に気づけるようになります。
⑤今は苦しくて当たり前。自分を責めない。
「自分だけが苦しい」と考えると、自分のことを責めてしまってより苦しくなってしまいます。自分を責めるのではなく、こんなに環境が変化しているのだから、「仕方ない」と考える諦めも大切です。
⑥コントロールできることに集中する
苦しい時には、漠然と悩んでループに入ってしまうこともあります。そんな時は「コントロールできること・できないこと」を明確にして、コントロールできることに集中し、できないことは諦めてしまいましょう。できないことについては「違う捉え方はできないかな?」などと認知再評価型のコーピングをしてあげることも大切です。
⑦チームのためにも、自分を大切に
責任感のある人ほど、自分を犠牲にしたり自分を責めたりして、自分の不調に気づくのが遅れてしまいます。リーダーの健康は、チームの健康に大きな影響を与えます。チームのためにも自分が元気であれるよう、自分が苦しい時にはしっかりとケアしてあげましょう。ストレスが溜まって倒れてしまっては、元も子もありません。チームのためにも自分を大事に!自分のためにできることを考えてみましょう。
⑧困ったら、助けを求める
苦しい時には、視野が狭くなってしまうもの。視野を広げて、フラットな課題解決や向き合い方につなげていくためにも、困ったら誰かに助けを求めてみましょう。
新型コロナは長期的に社会全体の仕組みやライフスタイルを変えてしまうとも言われています。「変化」はそれ自体が大きなストレスです。変化に適応できないと、人は苦しみを抱えてしまいます。今までの思考の枠組みだと乗り越えられないこともあるかと思いますので、今の自分の棚卸し、そして新たな環境に適応するために何が必要なのか、一人一人が向き合って、支え合っていきましょう。「人は変化することで新しい環境に適応できる」というのは希望でもあります。
そしてこれは提案なのですが、もしよかったら、このnoteを参考に「自分のストレス要因はこれだな〜」とか「こんな症状あるかも」とか、チームのメンバーで言い合ってみては。「落ち込むことってあるよね」とか「落ち込んだらお互い頼ろうね」という空気が作れるチームは強い。「お互い、しんどいことを共有していいんだ」という心理的な安全や、何かあったときにも頼りやすい雰囲気につながるきっかけになると良いと思います😊
まずは身近な人に不安や課題を共有してみる。それが難しい時には、こんな時だからこそ「人に頼る」ことを恐れず、気軽に専門家に頼ってみてください。
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