ゆっくり歩むと風景に豊かになる
「もうね、25年になるらしいの。でもね、毎日が新しいわよ」
女神山ライフセンターでの5泊6日を終え、
別所温泉駅まで送ってくれた、
ライフセンターの食事をすべて切りもりする、けいこさんとの会話。
‘毎日が新しい‘
この言葉を聞いたとき、
女神山ライフセンターから毎日眺めた、お山の景色が浮かんできた。
5日間、毎日、同じ場所からお山を眺めたけれど、
確かに、ひとつとして同じ景色はなかった。
それは、毎日撮り続けた写真を今見ても、確かに‘毎日が新しい’。
「新しい事をしないと、どんどん前へ進まないと、新しい景色が見えない」
それは私の思い込みなんだな、と帰路に着く電車の中で、
働き始めてからのスピード感、
進んできた距離、見えていた風景をぼんやりと思い返してみる。
そのスピード感は、幼い頃の自分とはまるで別人級のモウレツさ。
もともとは、何をやるのも鈍くさくて、ノロノロしていて……。
いつも最後尾にいた感じは残っているし、
今でも、山登りに行けば、周りの誰よりもノロノロしている。
山道で急かされると辛くなるし、申し訳ない気持ちでいっぱいになるし、
何より、そんな山登りの後にやってくる疲労感が大嫌いで、
結局、誰かと一緒に登ることって、自分から好んではしない。
そんなことを考えていたら、
もしかしたら、今の暮らし方、働き方のリズムが合っていないのかも?
今、私が感じている苦しさは「進まなきゃ行けない、できるだけ早く」
という、自分が作り出した信念によるものかもしれない。
ゆっくり歩いてみたい。
同じ森の、同じ場所にいても、その風景は一瞬たりとも同じじゃない。
むしろ、そこにいるからこそ、
感じられる、見えてくる、聴こえてくるものがあることを実感した5日間。
前に進めば景色は変わるし、いつも新鮮なこともある。
だけれども、その風景はどこか平面的で直線的な感じは否めない。
同じ場所をずっと感じ続ければ、
その風景には、日々変わる音も温度も色もにおいも出てきて豊かそうだ。
働き始めてから、いや、中学生ぐらいから続いている、
「進まなきゃ行けない、できるだけ早く」をやめてみるのかもしれない。
これまでの私には出来なかった、
ゆっくり歩んでみる、
ただ、そこにいつづける、
同じ場所での鮮度をあげていく……
そんな感じで来年を過ごしたいな、と。
いいんだよ、ゆっくりで。
いいんだよ、ずっとそこにいて。
そんなことを感じながら、2018年の年末を迎えています。
今回5泊6日で行った、インタビューのWSについては、
また気が向いたら書いてみようと思う。
これも、自分で自分を急かさずに、書きたいときに……ね。
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