新型コロナウイルスによりビジネスが加速しているスタートアップ
静岡企業×スタートアップによる新規事業・産業創出プロジェクト「TECH BEAT Shizuoka」プロデューサーをしているHEART CATCH 西村真里子 です。当記事では、新型コロナウイルス以降の経営状況変化に対して、コスト削減だけではなく新たな事業創出を生み出すことを武器に立ち向かおうと検討されている経営者の方にスタートアップとの協業の可能性を(改めて)ご検討いただきたい、その思いを伝えていきます。
この記事を書こうと思った背景には、5/1に開催された経済産業省の産業構造審議会の議論ポイントがあります。
以下引用:
日本企業は、状況が悪くなると、「売上原価・製造原価の削減」や「販売管理費の削減」といったコスト削減に走りがちであることから、スタートアップ企業のM&Aなどによる連携促進や、スピンオフを含む事業再編などを行いやすくすることで、日本企業による「事業ポートフォリオの見直し」を促進する必要があるのではないか。
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seicho_senryaku/pdf/003_04_00.pdf
もちろん無駄なコストを見直すのは経営者として大切な視点ですが、コスト削減をするだけではなく、このタイミングをチャンスと捉えてスタートアップと組み、新たな事業を生み出す機会と捉えていただく挑戦者たる企業の方々が増えれば、日本の産業が活性化するのではないかと考えております。
■ビジネスオポチュニティが増えているスタートアップ
新型コロナウイルス以降にビジネスオポチュニティが増えたというスタートアップの状況を耳にします。もしもビジネス状況の悪化をコスト削減だけで対応しようとされている経営者がいらっしゃる場合に、この記事を読みスタートアップとのビジネス検討を(少しでも)視野に入れていただけることを期待したいと思います。
この記事では1)VR空間内でのコラボレーションを加速する株式会社Synamonの VP of Business Development 武井勇樹氏と、2)農業収穫の自動化を促進する収穫ロボットを中心とした農業プラットフォームを作る inaho株式会社 の菱木豊 社長にお時間いただき、コロナ以降どのようなビジネスオポチュニティが増えているのか教えていただきました。
質問内容:
★コロナ騒動後に問合せがビジネスオポチュニティ増えましたか?
★お問合せ内容はどのようなものでしょうか?
★このピンチを、どのようなチャンスと捉えてますか?
■VRを含むXR技術はオンライン化の「さらにその1歩先」をいく。その足場が整ってきた。
まずSynamon武井勇樹氏からの回答です。
★コロナ騒動後に問合せがビジネスオポチュニティ増えましたか?
武井:2月末ころから週次での問い合わせ件数が通常時の1.5~2倍に増えております。5月頭時点でも1.5~2倍の数値をキープしており、VRへの関心が高まってきているの感じております。
★お問合せの内容はどのようなものでしょうか?
武井:当社の「NEUTRANS BIZ」はコミュニケーションを必要とするビジネスシーンであれば、業界を問わずご活用いただけるように設計しているので、特定の業界からの問い合わせが増えているというわけではありません。
具体的には…
・リモートワーク期間中の会議ツールとしてVRを活用したい
・小規模展示会や製品発表会・セミナーをVR空間で開催したい
・ショールームなどリアルな施設をVR上に再現し、営業やプロモーションに活用したい
といったお問い合わせが増えておりまして、コロナ以前に比べると「実験としてやってみたい」というよりは「●月までに開催したい」といった具体的なお話であることが特徴です。
★このピンチを、どのようなチャンスと捉えてますか?
武井:オフラインからオンラインへ移行せざるを得ない状況となりました。VRを含むXR技術は「さらにその1歩先」になるので、やっと足場が整ってきたという感覚です。
この数カ月で多くのみなさんがオンラインミーティングに慣れてきたと思いますが、会って話す場合と比べて物足りなさを感じている人もいるのではないでしょうか。
その理由のひとつに、画面越しだと「情報の共有」はできても「体験の共有」まではできないということがあると考えております。
私たちのプロダクト「NEUTRANS BIZ」の強みはまさにそこで、複数人が同じVR空間で時間をともにするので、体験の共有ができ記憶にも残ります。例えば、進捗報告のための会議は画面越しのオンラインで十分でも、ブレインストーミングなど活発な議論をしたい場合はVRのほうが適していると考えております。
会議だけでなく、研修、商談、イベントなど、様々なビジネスシーンで「体験を共有」は鍵となっていくはずです。アフターコロナでは、目的に応じた最適なコミュニケーション手法の選択肢としてVRなどの技術がしっかりと根づくように、「VRならではの価値」を伝えていきたいと考えております。
■"人の稼働"に依存しているリスクが明白化されロボット化への動きが加速している。
続いて農業ロボット inaho株式会社 の菱木豊 社長からのコメントです:
★コロナ騒動後に問合せがビジネスオポチュニティ増えましたか?
菱木:増えました。コロナウィルスの感染拡大に伴い、地方に根付く農業の人手不足は深刻な状況に陥っています。この人手不足を解決するソリューションとして、自動野菜収穫ロボットに期待する方が増えているのだと考えています。先日も「コロナショックが変える農業の未来とは?」というテーマでメディア出演させていただき、放送後は多くの反響をいただきました。
★お問合せの内容はどのようなものでしょうか?
菱木:ロボットを利用したい全国の農家さんからお問い合わせをいただきます。私たちは2019年9月にアスパラガスに対応した自動収穫ロボットのサービスをRaaS(Robot as a Service)モデルで開始しました。当初、お問い合わせ先はアスパラガス農家さんがメインでしたが、現在はトマトやキュウリ、椎茸、パイナップルなど、さまざまな作物を栽培する農家さんからお問い合わせをいただきます。
★このピンチを、どのようなチャンスと捉えてますか?
菱木:想定外の事態が発生した際に、人の稼働に依存しているリスクが明白化されたことから、ロボット化への動きが加速するチャンスがきています。人手不足でお困りの農家さんにいち早くロボットをお届けできるように事業と開発を進めていきます!そのためには、多くの方のお力添えが必要です。このような状況の中でも私たちは採用を強化中です。ご興味がある方は、是非inahoホームページをご覧ください!!
https://inaho.co/recruit/
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思考停止になっている場合ではない。既にスタートアップと組んで新たなビジネスを組んで動こうとしている企業は確実に増えています。スタートアップは今あるビジネスをディスラプト(破壊)するものではなく、中長期視点で考えるとコスト削減&デジタル化促進剤と捉えることができそうです。
私の耳にイキの良いスタートアップの挑戦、およびその背後に見える挑戦する企業の姿が見えてきたらまたお伝えします。
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