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三俣山外周〝初心者向け〟の解釈違い2 ―ハコボタ巡礼 7

⬇️前回


三俣山外周メインルート

ドラクエ11のダーハラ湿原のような道

YAMAPを起動する。記録によると10:51登山口出発。
三俣山外周の東側は「九州自然歩道」に指定されているが、「指山さしやま自然観察路」という道と交錯していて初っ端から迷う。この手の看板がどうも素人にはわかりにくい。YAMAPのGPS捕捉地図がなかったらどうなっていたか。

雨は止んでいるが、ネックストラップのついていないミラーレス一眼はリュックへ。

雨ヶ池までは2.4km。この時点では楽勝だと思っていた…
しばらくは穏やかな道が続き、推しの幻覚話ばかりする

雑木林の木漏れ陽を楽しめる道が続く。さすが「九州自然歩道」。ルート紹介でも「ピークには登らず周回」とあったので、こんな感じでダラダラと上っていくものだと思っていた。

カタツムリのマークは九州自然歩道のそれらしいが、我々的にはとあるフォロワーの概念だ
このあたりはまだ標高が低い

発光するように苔むした岩を見て「もののけ姫」みたいだとか言っていたら、徐々に頭上の木々が鬱蒼として、岩とは言わないまでも大きな石の上を歩くようになり、川の跡らしい筋が左右に……。なんかこの景色見覚えがあると思ったら、ドラゴンクエストXIのダーハラ湿原だ。おいおい冒険者とか勇者が越える道やんけ。

怖くて撮影しなかったが、途中何箇所かに小さな石を積み上げたものもあった。
👘⚖️「なんでこんなところで〝賽の河原〟やってんの……」

明らかな人工建造物の跡
舗装された道だ!「えっ、どういうことなの」

タデ原湿原を出て1時間ほど経過したあたりだろうか。ベンチのある休憩所を越えたあたりだったろうか。突然「道」が消えた。腐葉土の上に落ち葉が積もった獣道、木の根、苔むした落石、ありえない角度で設置された踏み板、ロープに結ばれた赤いマークと「土石流注意」の下げ札……。

そういえば、こちら側のルートにも1箇所だけ恐ろしい記述が山岳ガイドにあった。

「大崩壊地」

我々は先ほどビジターセンターで見た川端先生の写真に戦慄した。
👘⚖️「川端先生、スーツだったよね?!」
※今にして思えば、川端先生は多分こちら側は通っていない。

この写真の景色はまだヌルいほう

登れども登れども終わらぬ瓦礫の足場に愕然としながらも、我々は推しの幻覚話を止めなかった。会話を止めたら心が折れそうだった

以下は行きか帰りかもう覚えていないが、幻覚会話の一部だ。


⚖️「写真撮る余裕ゼロっすわ……くっそお〜」
👘「先生の装備どうなってるんですかね」
⚖️「先生はガチ登山しながら資料撮影するんで、ええと、多分あれです。リュックの胸あたりにマウントつけてガチャンてやるタイプ持ってると思います。ぶら下げても危ないし」
👘「なるほど」

⚖️「貴族さんなら冒険者だし、こういうところもあるでしょうけど。ああほら、アスタルニアに行く前の崖とか、ヴンちゃんちから森を突っ切って国に出る道とか。りぜるちゃんは無理です…」
👘「あー、崖ねえ。男2人抱えて降りたとか(公式のジル)どうなってんの。でも城壁よりはまだわかる」
⚖️「えー!」
👘「だってあっちはクッションなしですよ。どんだけ骨強いんだよ」
⚖️「確かに……。りぜるちゃんは先生の見た景色をいつか見たいと思ってるから、聖地巡礼したがる気はするんですよね。筋湯温泉には先生泊まってますし。でもせいぜい湿原までですねえ、こりゃ」
👘「あの過保護が登らせるわけない」
⚖️「雨が降ってるとかそういう問題じゃないですよね、この道。道?道ないよもう!」


そんなこんなゼーハー言いながら喋り続けていたら、上から初老の男性2名のパーティが降りてきた。登山口に入ってから初めて人に遭遇した。
(この時点でヤバさがわかる)

🧓🧓「この天気でよく登るねえ!」
⚖️「(ヒエェ)お、お互いに……。法華院まで行こうと思ったんですがどうでしょうか」
🧓🧓「途中ちょっと川になってるかな」
👘⚖️「坊ガツルで引き返すか?」
🧓🧓「そこまで行ったら(法華院はすぐだから)同じだよ〜」
⚖️「ですよねぇ〜ありがとうございます」
※今にして思えば、この方達は上で一泊して下山中だったのだろう。

手元の地図と突合すると、この看板があったところがまさしく「大崩壊地」だ
フォロワー、これを私たち登ったんだよ?こんなの想定してなかっただけなんだけど

雨ヶ池に到着!しかし突風が……そしてタイムアウト

男性パーティに仰天された我々だが、ここで引き返したら何にもならない。
「せめて雨ヶ池は見よう」と、残りの気力を振り絞ってまた暫し上がると、周辺に小さな小さな葉の低木が現れ、足元にサーモンピンクの花びらが。
👘⚖️「ミヤマキリシマだ……!」

この花を拝むために5月中旬からの1ヶ月は牧ノ戸と長者原の駐車場が満杯になるというが、皆こんな無茶苦茶な(当社比)道なき道を歩けるの?!ていうか、長者原駐車場が500台弱で、1パーティー2人として、1日1,000人もここ歩いてるの?!マ?!

改めて「ハイシーズン」の恐ろしさと、この世に健脚が多いことに仰天していたら、俄かに視界が開けた。

雨ヶ池だ。

瓦礫を上がって突然現れた「雨ヶ池」

「雨ヶ池」はその名が示す通り、雨が降らないと現れない池だ。真の姿を見るためにわざわざ雨天決行する人もいるほどの珍景を我々は拝んだ。

⚖️「先生が……先生が(10月に)見た景色だよぉおおおおっ」(うるさい)

突風に煽られた雨粒が霧になっていてヤバさ倍増だ
溶岩石の隙間を縫うようにさまざまな植生が息づいている
遠目でわからなかったが美しい花が出迎えてくれた

時計を見れば既に13時。遅い。我々遅い。しかも雨が再び降り始め、容赦のない突風が吹き荒れ始めた。
坊ガツルまでさらに2km以上、おそらく天候は回復しない。山は下りの方が危険だ。夏至の翌日とはいえ山の日暮れは早い。命に関わる。

👘⚖️「下山じゃーーー!!」

下山は早かった!

我々が下山を開始するのを待っていたかのように大雨が降ってきた。頭上の木々の葉が雨を遮り切れず、容赦なくレインパーカーを濡らしていく。途中、峰咲さんが足を滑らせたことで私の気は引き締まった。片方でも怪我をしたら下りられないのだ。

一気に豪雨となったことで雨水が山肌を伝っていくようになった。登りは道がわからなかったが、良いのか悪いのか、水が道を示してくれる。崖側には極力寄らず、慎重かつ迅速に下り続ける。こうなってもまだ我々は喋っていた。

👘「あのおじさんたち今どこらへんかね?!」
⚖️「あれからどのくらい経ちましたっけ…1時間?これ食らってますねさすがに」
👘「それにしても休憩所がぜんぜん出てこない……!休みたい、荷物直したい!」
⚖️「せめて賽の河原か、あの謎の人工建造物あたりに出たいよぉ。てか、この大量の雨水って最後どこに行くんだろ

なーんて言っていたらとんでもないスピードで降りたようで、休憩ポイントに気づかずに平場に出てしまった。

行きは気づかなかった水門?を開閉するらしきハンドル
ここを上がって下ればタデ原湿原に戻れる…!
⚖️「先生はアタックかけるのでちゃんとここに届を入れたはずです」

YAMAPの記録によると14:31、登山口帰着。
タデ原湿原の散策路は踝まで浸かるほど水が上がっていた。大量の雨水はここに流れ着いていた。ラスト、泥まみれのトレッキングシューズを遠慮なく浸けながら「プールに入る前に足を洗う消毒槽みたいだ」などと話して、我々の三俣山外周は終わりを告げた。

強風の中、タデ原湿原に戻ってきた。心底ほっとした…

このあとビジターセンターの職員さんに無事の帰着を報告し、隣のヘルスセンターで「天気のせいで相当ぬるいですよ」と言われたマジで低温の日帰り湯に入ってとにかく身支度をした。無いよりマシな風呂代500円也。

(メインは終わったが旅はまだ続く⬇️)

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