見えなくなったものを見るために＊そのスキで世界を救えるか＊xuさんの世界
xuさんの”そのスキで世界を救えるか。”、PONOショートショート。
ここは、スキが通貨になった世界。
ただでさえ、数字に振り回される人たちが、紙の資源が高騰化したことにより起きたこの負の産物に、更に血眼になってしまった。
ひとりの老婆が古いスマホを持ったまま立ちすくんでいた。
画面にはある若者の投稿があった。
【見えなくなったものを、見るために。】
老婆はじぶんが目から涙がこぼれていることも、気が付かないようだったが、しっかりとした足取りで歩き出した。
老婆はもう目がよく見えないようだが、狭い畑の前でじっと作物を眺めていた。荒れ果てた畑。
カラダがよく動かないことを言い訳にして、放り出してしまった野菜たち。
むかしは青々と育った畑に野菜や果物を収穫し、売らなくてもどんな人にも分けあって、お金はなくても豊かに暮らしていた。その記憶がこころの奥から蘇ってきた。
もう老婆には時間があまりない。
しかし見えなくても、それを見るために何もしてこなかったことに気付かされたのだ。
困っている人がたくさんいるならこの土地を有効活用してもらえばいい。
少しの収穫でも分け合えるならそれでいいじゃないか。
畑の写真を撮り、だれかここを使ってくれないかと投稿した。
見たこともないスキがダッシュボードに溢れた。
しかし老婆は気が付かない。
老婆は【見えなくなったものを、見るために。】古いスマホの、その若者の投稿にたくさんのスキをした。
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xuさん、ありがとうございました！
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