ティホアナの闘牛とロザリトビーチのトレーラーハウス 1971年
スーザンの家に居候していた時のこと。
まだ仕事が見つからず、毎日ぶらぶらしていた。
母の二回目の旦那が大きなキャンピング・トレーラーハウスを持っていた。
シャワー室からキッチンまで完備の立派なもの。
みんなでトレーラーハウスのある海辺に行くことになった。
六月か七月だった。
家族でメキシコへ行った。
サンジェゴから南へ、国境を越えるとティホアナという小さな町がある。
高校時代ブラスバンドでよく演奏した「国境の南」という曲のメロディが浮かんできた。
ティホアナからもう少し海に沿って走ると、トレーラーハウスのあるロザリトビーチ。
メキシコに一週間滞在する予定で出かけた。
フォルクスワーゲンのカーマンギアーに小さなトレーラーを繋いで、荷物を一週間分詰めた。
パサデナフリーウェーを通り、サンジェゴ経由で国境にさしかかった。
国境は運転手が免許証を見せて通過。
税関の人たちは白人三人と黄色人一人のツアーをどう解釈したのか、ノーチ
ェック。
パスポートすら見てくれない。
出国スタンプを欲しかった。
メキシコ入国は夕方。
トレーラーハウス近くのスーパーマーケットで食料を買い込み、みんな
で夕食をとった。
翌日は初めてのブルファイター、闘牛見物。
六月から夏休みにかけては、本場スペインから闘牛士が来る。
マタドールの出稼ぎ。
ティホアナはアメリカ人の観光客が多いので、いい商売になるようだ。
闘牛場で牛が十五分に一頭ずつ殺されるんだ。
メキシカンとかスパニッシュの残酷な殺戮にはゾッとした。
その後ヨーロッパを旅しスペインに一週間以上いたけれど、闘牛は好きになれず見なかった。ヨーロッパ系肉食人種とアジア系穀物草食人種との違いを意識した。
メキシコのティホアナ感動物語
ティホアナからロザリトビーチへ。
夕日が海に沈むころ。 浜辺をブラブラ散歩していた。
近くの岩場にメキシカンの中年夫婦が抱き合って、太平洋に沈む夕日を見つめ話しをしている。
メキシカン、まあラテン系の情熱的な民族は、年老いてもこうしたことをやるのかと感動した。
海と夕日とシルエット、日本ではあまり見れない光景。
ラテン人の愛情表現は、欧米アングロサクソンを遥かに超えていた。
「ひとりぼっちの地球街道」 出版社:悠飛社