6月に見た映画①
新型コロナウィルスの影響によって延期していた新作映画が続々公開され、少しずつ日常が戻ってくる兆しが見えたような見えないような…そんな6月に見た映画の感想をまとめて書いていきたいと思います。本当は見た映画1本1本にレビュー記事を書きたいところなんですがなかなか時間がないのが悩ましい…でも時間があれば改めて単体でレビュー記事を書くかもしれません。
ちなみに何度か見ている映画については触れません。初鑑賞の映画のみを取り上げます。そしてネタバレも気にせず書いているのでご注意ください。
デッド・ドント・ダイ
山なし、オチなし、意味はちょっと有り?な感じで進む全編ユルユルでオフビートなゾンビ映画。そのテンションの低さや低体温な感じはもはやゾンビである。ジム・ジャームッシュは「パターソン」しか見たことがないのだが、今作もまたリズム感が独特でなんともクセになる。そして物質主義的な社会に対する皮肉にも「ま、自分も逃れられないけどね」と軽いノリで達観した境地を語るのがまたニクい。そしてメタなギャグや突拍子のないティルダ・スウィントンの宇宙人ギャグなどくだらな過ぎて大爆笑だった。あとビル・マーレイ、アダム・ドライヴァー、クロエ・セヴィニーのメガネ姿はメガネフェチ的にも最高だった。
ルース・エドガー
「ルース・エドガー」の感想はこちらの記事に書いてます。
ポップスター
誰が言っていたのか忘れたけど「ポップスターとは民衆の悲劇や原罪を背負ってボロボロになりながらも輝く存在であり、民衆はポップスターに物語を求めている」と言っていた。確かに今作の主人公のように銃撃事件から生き延びて、歌手としてスターになっていくがボロボロになって行く流れを見ると的を得ているなと感じる。そんなポップスターを野心的な演出で描き出そうとしているのだけど、結局何を語りたかったのか定まってないので全く心が動かない。せっかく盛り上がるライブシーンも途中でウィレム・デフォーのナレーションを被せてしまうし、Siaの曲もそんなに惹かれなかったのも痛かった。ただ話の話題がコロコロ変わる情緒不安定なナタリー・ポートマンの演技は素晴らしかった。
13th 憲法修正第13条
Black Lives Matter運動が再び高まったので鑑賞してみたのだが、知ってるようで知らなかった黒人達の歴史と理不尽な境遇を分かりやすく知る事が出来た。今なお続く黒人達の過酷な状況は憲法に記された一つの抜け穴から始まっているという所から始まり、不安を煽る政治家達の悪法と印象操作、利権塗れの民間刑務所ビジネスなどアメリカらしい過剰な肥大化によって黒人は未だに差別され、搾取され続けている事を明らかにする。その結果、未だに警察官の過剰な暴力は後を絶たないし、刑務所は黒人で溢れかえっている。だからこそ力強く声を上げる必要があるし、法の抜け穴を作らないようにしっかり議論をしていくべきだと改めて感じた。
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」の感想はこちらの記事に書いています。
グッド・ボーイズ
女の子にモテたい、クールになりたい…そんな思春期真っ只中の悪ガキ3人組がキスゲームのために各方面に大迷惑をかけながら大冒険!勇者の7つ道具のように大人のオモチヤを使って難局を乗り越えていく悪ガキに大爆笑。でもずっと一緒に馬鹿騒ぎ出来るわけじゃない、みんなそれぞれの道を行く時が来る…そんな青春の終わりも感じさせる。製作陣が同じなのもあるけど要は少年版「スーパー・バッド 童貞ウォーズ」である。大学生達に対する当たりの強さや下ネタは確かに面白かったが、青春映画的なビターさやドラマはやはり「スーパー・バッド 童貞ウォーズ」には敵わない。それにきっとこの子達、まだしばらくは馬鹿騒ぎして過ごしていくと思うのだ。まだまだ切実に感じるときじゃない。あとハイウェイでの大クラッシュは流石にやり過ぎだと思う。
ハリエット
奴隷の身分から逃げ出し、南部の黒人達を北部へ逃す秘密結社のメンバーとして数々の伝説を残したハリエット・タブマンの功績を描く伝記映画と聞くとなんだか重そうに感じるかもしれない。しかし常人離れした彼女の力強さや秘密結社の活躍、魅力的なキャラクター達をテンポよくヒロイックに描き出しているのでなんだかアメコミヒーローの映画を見ているような感覚になる。シンシア・エリヴォもかっこいいし、彼女が歌う「Stand Up」もとても力強い。ただハリエットを過剰にスピリチュアルに飾り立てる描き方にはあまり賛同しない。信仰心が重要な要素なのは分かるが流石にやり過ぎだと思う。また黒人奴隷達の過酷な状況はハリエットに対して愛憎を滲ませる白人男性の描き込みは「それでも夜は明ける」なんかと比べると見劣りする。
ANNA/アナ
いつものリュック・ベッソン、だがそれがいい。男に虐げられてきた女は自由のために暗殺者になるが、結局はCIAやKGBの操り人形に過ぎない。そんな超綺麗な女暗殺者がCIAとKGBの男達を手玉にとってミステリアスかつスタイリッシュにアクションを決める…どこからどう見てもリュック・ベッソンの趣味全開な内容だし、時系列をシャッフルさせながら半ば強引に話を進めるなど雑な部分も相変わらずである。それでも気軽にフラッとそこそこかっこいいアクションを見せてくれるのですごく安心感がある。また最終的にサッシャ・ルスとヘレン・ミレンが男達を差し置いて事態を掌握してお互いの望みを叶えるという展開も昨今の強い女性像に図らずもマッチしているかもしれない。
ブラッドショット
ヴィン・ディーゼルといえば「ワイルド・スピード」や「トリプルX」のような冷静沈着で男気溢れる頼れるリーダーのイメージが強いのだけど、今作だと怒りが全面に出た演技が多くて新鮮だった。そして相変わらずガイ・ピアーズは怪しい悪役がよく似合う。よくあるSFアクションだけどアクロバティックなアクションやガジェットが沢山出てくるので見ていて普通に楽しいし、実は記憶を操作されて殺人マシーンとして使われていたという真相が明らかになっていく展開も面白かった。ただ小麦粉まみれになったトンネルで銃火器使っているのを見ると粉塵爆発の概念はどこ行ったのか?とツッコミ入れたくなった。まぁかっこいいからいいけど。あともっとグロくてもよかったかも。
本数が多いので今回はここまでです。続きも近いうちに投稿したいと思います。
7/8追記:続き投稿しました!
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