その時のためだけの、素敵な服たち
とびきり素敵な水色の半袖ワンピースを買ったのは、6月の下旬、まだ梅雨が始まったばかりの頃のことだった。
色合い・形・ボタンの色が少しずつ全部違うといったこだわりに惹かれ、少し高価だったけど、割と迷わずに注文した。
数日後、段ボールに入って届いたそれはとても丁寧に梱包されていた。そっと開けて身体に当ててみると、予想通りの素敵さだった。着てみると、予想以上に私に良く似合っていた。
あの人と会う時に、絶対に着ていこうと思っていた。
いつ会えるのかな、とカレンダーを見ながら待っていた。
ついに会う約束ができて、その日を心待ちにしていた。毎日の服を選ぶ時、クローゼットに掛けたワンピースが目に入るたびに、早く着て出掛けたいと、ワクワクしていた。いや、どちらかというと、ソワソワ、だったかもしれない。「似合うね」と、あなたは言ってくれるだろうか。
でも、結局会うことができなかった。「ごめんね。また今度ね」というテキストだけが、会うはずだった前の日に送られてきた。
今度、っていつだろう。
来週? 再来週? それとも来月?
「いつにしようか?」というテキストは、待っても待っても送られてこなかった。
今もまだ、送られてきていない。
結局一度もそのワンピースを着て外に出ることなく、夏が終わってしまった。
次にあなたに会う時に着ていけるよう、今度はベージュ色のニットを買った。シルエット、首回りの詰まり具合、前後で身頃の長さが違うデザインがとても気に入った。
注文して次の日に届いたそれは、予想より素敵で、予想以上に私に似合っていた。
あなたに会う準備はできた。
早くこれを着て、あなたに会いに行きたい。
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