見出し画像

「あ、昨日が最後だったんだ」

ずっとリビングでゲームをしていた中一の息子が、2階の自分の部屋にパソコンやSwitchを持って行った。昨日のことだ。
学校の友達と一緒に、オンラインプレイをしたいらしい。

「スマホで話しながら遊ぶから、ここだとうるさいでしょ」
運ぶのを手伝ってくれと言うから、今まで寝る時と勉強をする時しか使っていなかった部屋に、パソコン用の小さいテーブルや電源コードなどを設置した。
満足のいく配置になったようで、息子はうれしそうに、自分だけのスペースで遊んだりゴロゴロしたりし始めた。

昨日は休日だったから、さっそく部屋に篭り出した息子に、お昼と夜の2回のタイミングで、「ご飯できたから、下りてきなさい」と階段の下から大きな声で呼ばなくてはいけなくなった。
昨日までは、すぐ近くにいたから、そんなことしなくてよかったのに。

中1にもなったのに、どこか幼いような気がしていた息子だから、ようやく独り立ちに近づいたと思い、安心した。
常にゲーム画面かyoutubeを映していたリビングのテレビは、必要じゃない時は消すことができ、私は好きな時にニュースやワイドショーや録画しておいた推しの映像を見られるようになった。
リビングでの作業も、雑音がなくなって格段にしやすくなった。
自室がない私にとっては、とてもうれしいことだ。
待ち望んでいたことだ。

突然だったな。本当に突然やってきた。

昨日までの、賑やかでうるさくて集中できなくて好きなテレビを滅多に見られなくて掃除機をかける時に障害物が多かったリビングが、急に終わってしまった。

しんとしたリビングは、少しうれしくて、少しさみしい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?