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高齢者の褥瘡ができやすい部位のチェックポイント

褥瘡(じょくそう)は、寝たきりの高齢者や長時間同じ姿勢で過ごす方に特に注意が必要な問題です。皮膚の圧迫が続くことで血流が滞り、組織が壊死してしまうことが原因です。早期に気づき、適切なケアを行うことで、褥瘡を予防し悪化を防ぐことができます。

今回は、褥瘡ができやすい部位とそのチェックポイントについて詳しくご紹介します。日頃のケアに役立てていただければ幸いです。



褥瘡ができやすい部位とは?
褥瘡は、皮膚が長時間圧迫される部位に発生しやすいです。以下のような体の部分が特にリスクが高いとされています。
1. 仰向けの場合
仰向けで寝ている方は、以下の部位が褥瘡のリスクが高まります。

  • 仙骨(お尻の中央の骨)
    体重が集中しやすく、圧迫が長時間続くため非常にリスクが高い部位です。

  • 踵(かかと)
    仰向けで寝ていると布団やマットレスに接触し続けるため、血流が滞りやすい部位です。

  • 肩甲骨
    肩甲骨部分も体重がかかりやすく、特にやせ型の方はリスクが高まります。

2. 横向きの場合
横向きで寝ている場合は、以下の部位を注意深く観察しましょう。

  • 大転子(太ももの外側の骨)
    横向きでは体重がこの部分に集中しやすく、褥瘡のリスクが高まります。


  • 長時間横向きの姿勢でいると、肘が圧迫され続けることがあります。


  • 横向きでは耳が枕やベッドに押し付けられるため、褥瘡のリスクがあります。

3. 車椅子使用の場合
車椅子を長時間使用する方は、以下の部位に注意が必要です。

  • 坐骨結節(座った際に体重がかかる骨)
    長時間座っていると、坐骨結節部分が圧迫され褥瘡ができやすくなります。

  • 尾骨
    座る姿勢が続くと尾骨部分にも負担がかかります。

  • 肘や前腕
    車椅子のアームレストに肘を置き続けることで、圧迫が生じやすくなります。



褥瘡予防のためのチェックポイント
1. 定期的な皮膚の観察を行う
褥瘡は早期発見が重要です。日々のケアの中で皮膚の状態をチェックし、次のポイントに注意してください。

  • 赤みや腫れがないか
    圧迫が続いた部分に赤みがある場合、褥瘡の初期段階かもしれません。早めの対応が必要です。

  • 硬さや熱感
    皮膚が硬くなっていたり、熱を持っている場合も注意が必要です。

  • 痛みや違和感
    利用者が「痛い」「違和感がある」と訴えた場合、その部分を丁寧に観察します。

2. 定期的な体位変換を実施する
体位変換は褥瘡予防の基本です。2時間ごとを目安に体位を変えることで、同じ部位への圧迫を避けられます。

  • 横向きと仰向けを交互に
    負担がかかる部位を分散させるために、体位を交互に変えるよう心掛けましょう。

  • クッションやマットを活用する
    専用の体位変換クッションやマットレスを使うことで、利用者も快適に体位変換を行えます。

3. 保湿と清潔を保つ
皮膚が乾燥していると傷つきやすく、褥瘡のリスクが高まります。

  • 保湿クリームの活用
    圧迫がかかりやすい部位には、保湿クリームを使って肌を柔らかく保ちましょう。

  • 汗や汚れの除去
    汗や排泄物が皮膚に残っていると、感染のリスクが高まります。清潔な状態を維持することが大切です。

4. 栄養と水分補給
褥瘡予防には、体の内側からのケアも重要です。

  • バランスの取れた食事
    タンパク質やビタミンC、亜鉛などの栄養素は皮膚の再生に役立ちます。

  • 十分な水分摂取
    皮膚の乾燥を防ぐためにも、適切な水分補給を心掛けましょう。



60歳から介護職を選ばれた方々へ
60歳から介護職を始められた皆さんにとって、褥瘡ケアは少し専門的に感じるかもしれません。しかし、基本的な知識を身に付け、日常のケアで意識することで、褥瘡を予防し利用者の快適さを守ることができます。
皮膚の観察や体位変換を行う際に、「何か気になることはありませんか?」と優しく声を掛けるだけでも、利用者との信頼関係を深めるきっかけになります。また、自分一人で解決できないと感じた場合は、チームメンバーや医療スタッフに相談することも大切です。



まとめ
高齢者の褥瘡予防には、次のポイントを意識しましょう。

  • 褥瘡ができやすい部位を把握し、定期的に皮膚の状態をチェックする。

  • 体位変換や保湿、清潔を保つことで、圧迫や乾燥から皮膚を守る。

  • 栄養や水分補給にも配慮し、皮膚の健康を内側からサポートする。

褥瘡予防は、利用者の健康を守るだけでなく、快適な生活を支える大切なケアです。日々の観察と細やかな対応を通じて、利用者が安心して過ごせる環境を作り上げていきましょう!


介護職員が高齢者の足元に体圧分散クッションを調整しながら「これで楽になりますよ」と声をかける場面

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