自治体ホームページに求めすぎない利用者を目指して
【ONE to ONE】マーケティング
最近よく耳にする言葉ですが、近年は自治体でも【ONE to ONE】がより求められる時代となりました。広報DXという言葉もよく耳にするとは思いますが、
1.そもそも【ONE to ONE】マーケティングとは
消費者一人ひとりへアプローチするマーケティング方法のことを
【ONE to ONE】マーケティングと呼んでいます。
消費者である個人の【趣味・趣向】にニーズを置き、最適な製品を必要な時に提供することで、お客様の満足度を高め、長期に渡りリピーターとして継続的に自社の製品を利用してもらうことを目的としています。
この方法は、顧客にメリットが存在するだけではなく、製品を開発している企業にもメリットが存在します。
より一人一人の顧客の詳細な情報が得られるため、
製品を顧客ごと特定したターゲットにアプローチすることができ、スムーズな交渉が可能になります。
顧客の過去の購入履歴や購買行動履歴をデータベースにまとめられ、
蓄積されたデータから、顧客の購買や行動の傾向を読めるようになり、
次に売るべきものやとるべき戦略も見えてきます。
このように、【ONE to ONE】マーケティングは顧客にも企業にもメリットのあるマーケティング方法と言えます。
2.では、自治体に求められる【ONE to ONE】マーケティングとは
必要な情報を最適かつスムーズに利用者に伝えることです。
市町村のリアルタイムな情報を利用者のニーズに合わせて配信していくこと、住んでいる場所、年齢、環境等、利用者の詳細な情報に合わせ精査された情報だけを提供していく必要があります。
これは即今、自治体ホームページの在り方に大きく影響を与えています。
そもそも、地方自治体の利用者とは【その地域に住んでいる全ての人】が対象となります。何千人という個人をターゲットにそれぞれに必要な情報を提供するということは、個人情報を含む多くの情報の収集と調査が必要となってきます。
また、個人を尊重するということは、
より個人的な意見をどう受け入れ、どう妥協し改善していくかという問題も発生してきます。
上記を考えた場合、自治体において【ONE to ONE】マーケティングを行うということは、膨大な時間と労働力が必要になってくると想定できます。
最近、地方自治体の公式ホームページで新たな試みを行っている市があります。
市原市(https://www.city.ichihara.chiba.jp/)と
浦添市(https://www.city.urasoe.lg.jp/home)です。
二つの市では、より市に住む利用者のニーズや知りたい情報を理解するため、サイト内に【マイページ】と【VOICE まちのみんなの今の声をお伝えします】を設置しています。
今までにない、リアルタイムで利用者の市やホームページに対する意見を求められるような機能とし、自治体を顧客としている企業の中では話題となりました。
新しい試みとして、とてもいい取り組みだという意見もたくさんありました。
ですが、どうでしょう。
実際に、利用者から送られた情報はどんなものがあるのか少し見てみたいと思います。
▼サイトについて
【ワクチン接種状況も遅いが、市のHPは更に表示が遅い!市職員は何も感じないのか!?感じないなら仕事辞めた方がいいと思います】
【いい加減HPの酷さについての説明なりが欲しい、なぜ変更する必要があったのか?説明する気もないなら以前」のHPに戻してほし…】
▼市の取り組みについて
【子供病院がなく、小児科も少ない市原市!心配過ぎて学校には行かせられません。どうか休校を!】
【市内でワクチン打てなくて東京まで行きます。交通費かけてまでバカらしい。】
確かに、リアルな利用者の意見がたくさん寄せられていました。
でも、これがちゃんとニーズに合わせた情報の収集になるのでしょうか?
私がこれを見た時正直に思ったことは、利用者の品のなさや自分勝手さです。見る側のモチベーションも下がる一方です。
意見をいただけることはとても素晴らしいことです。問題点も改善策も見つけられるかもしれません。ですが、こうも表立って意見が見えてしまうと、
その市町村の品格やマイナスな面が多く見えてくる印象を持ちました。
機能自体は素晴らしいのに、利用者への使い方や配慮の無さ、
本当に表立ってこの情報がSNSのように見える必要があったのかなど、
機能の使い方がこれで正しいのかと疑問に思ってしまいました。
利用者にも同様、言葉の選び方、記載の仕方の配慮はできないのだろうかと感じました。利用する立場もいれば、このサイトを機能を一生懸命考えた開発者もいること。一生懸命働いている市役所の方、コロナウィルス関連で働いている方もいる。
表舞台に立つ人もいれば、裏方に回る人もいる。
【ONE to ONE】マーケティングにおいて
私は、利用者を甘やかすようなマーケティングになってしまうことに不快さを感じています。