第100回箱根駅伝 〜日本体育大学 76回目の挑戦〜
あの日。夢見たシード権は遠い彼方へと離れていった。それでも近づける可能性も大いに感じさせてくれた。いつか必ず獲れるときがくる、それは間違いではない。
箱根駅伝。どの大学・どの選手も注目するのだが気づけば白と青のユニフォーム。桜の校章が入った白襷を追いかけている。
好きという感情はこのことかもしれない。
76年目の戦いが幕を閉じた。
第100回箱根駅伝。今年も日本体育大学との217.1キロを振り返ります。
☆第一印象 戦略
区間エントリー発表前は1区から平島ー大森ー漆畑ー山口ー山崎が既定路線だと思っていた。
特に前回3区10位の漆畑は固定、10月の予選会後に記録会に一切出なかった山崎が故障or山への調整と踏んでいた。後者と願っていたが。
どうせ山崎2区の最大値が区間12位から14位なら他の選手が区間15位で耐えて、山崎を他のアドバンテージ取れる区間に回すのは賭けだが最適解だった。
迎えた12月29日。
個々の適性区間には配置されてるけど何かしらアクシデントがあった感じもする。ただ万全なら往路はいいメンバー。5区のみ当日変更というスタンスだった。
その5区が山崎でないのは違和感だったが、それ以外ならキャプテン漆畑もあるのか…?
1.2区セットで3区から反撃開始する。シード獲るにはこの戦略しかない。序盤からいい位置取って粘るより緩やかでもラインを作る方がいい。
復路は6区富永を除き7区以降は全員当日変更の可能性もある。補欠の分須・田島・住原が交代の軸となる。
8区の浦上がポイントと踏んでいたが走るか否か。復路は昨年のようなビルドアップを軸に区間中位でまとめつつ、分須がどこかで1桁出せるか。29日はこのように考えていた。
☆レース振り返り
そしてレース当日。ここからは10選手ごとの振り返りを行なっていきたい。
1区・平島龍斗(2年・63:36 区間23位)
箱根予選2年続けて後半上げて11月の1万mで28:44をマーク。
彼ならハイペースでもスローペースでも使って弾切れにならない選手として打ってつけ、ラスト伸びるスピードも当大学比では持っているため1区に向いていると自分も判断していた。
ただハイペースについて行けず遅れる展開は想定していた。希望は1.2区で10位から14位あたりにつける、現実は15位から17位あたりで2区の山口廉とセットで10位とのタイム差を抑えよう。しかし、それをも上回る想定外が起きる。
序盤から落ち着かない。センター寄りに位置したと思いきや沿道側に戻ったり。肩の上がり方は彼の走りの特性上、問題視していなかったが息は荒かった。
ハイペースについていけない可能性は十分考慮していたが、ここで区間最下位は想定していなかった。早くも終戦であった。
そもそも日体大は1区で出遅れることは伝統的にない。区間最下位を獲るなんて記憶ない。
昨年の山崎の1区タイム63:09を1つの設定にしていただろうから本人は63:36で走っており実力相応。しかし1区に関しては実力以上のタイムで走れる(ついていける)選手の方が圧倒的に多い。そこで実力相応の走りをしてはもう負けなのだ。
しばらく3大駅伝の出場が箱根のみになっていることも悪い方向に作用している。
1区において、もっとも重要な駆け引きやペースの上げ下げ、位置取りや選手のマーク法。この辺りの勝負観や感覚が養われていないように感じた。
個人的にも1区は平島でずっと考えていたので彼を起用したことに後悔はないが、悔しい結果。まだ2年ある。必ずリベンジしよう。
2区・山口廉(3年・70:54 区間22位)
待ちに待った。彼の箱根出走を。
大牟田高校出身。あの青山学院の3区で59:47の異次元な走りをした太田蒼生とチームメイト。
都大路6区5位の実績を持って入学も怪我に苦しみ一時、部から離れたこともあったそうだ。昨季からチームに復帰。そのときは本当に嬉しかった。名門復活の柱として期待を寄せていたから。
箱根後の学生ハーフはチームトップの64:16。今季は関東インカレハーフ7位・箱根予選19位と長い距離で結果を残してきた。
1人でガンガン押せる彼のスタイルは4区に向いていると考えていたが、初の箱根は花の2区。
初箱根2区は第80回の保科光作(1年次)以来、20年ぶり。
しかし想定外の展開に力を発揮出来ない。フォームのブレは感じられなかったものの、押しても
前は見えない。国士舘の留学生・カマウに日本人では中央・吉居大和、中央学院・吉田礼志、國學院・平林清澄らエンジンのある格上ばかり。
落ちてくる選手を拾うことすらも期待出来ない展開。はっきり言ってお手上げだ。
ゲームチェンジ能力あっての2区ではなく、今季長い距離をイーブンで押せる安定感を買って、1区とセットで考える展開を考えていたチームにとっては、悪くない走りをしてもタイムは伸びず順位も上がらなくなってくる。
単純にハーフは強いだろうが、トラックのスピードが足りてないかな。
参考程度だが2区走るランナーで29:26:96は出走中22番目の10000mのタイム。29分台ランナーの2区出走は日体大では第91回の奥野翔弥(3年・29:15:76)以来。
なんだかんだ2区は28分台ランナーが走っていたから今回・2区に彼が抜擢されたのも驚きだった。
実際、全日本予選3組や11月下旬の日体大記録会で外していたのは気になる。
入り乱れの激しいレースやちょっと引っ張ろうとしたタイミングが早くて配分が狂ってしまったりと展開が苦手なのかも。
28分台で走れる力があるのは既に知っている。
来年度、もう1度勝負出来る土台を作っていこう。彼の力はこんなものではない。4区なら区間8位あたり狙えるはず。
3区・漆畑徳輝(4年・63:45 区間12位タイ)
山崎丞(2年・中越)が大会前のインフルエンザで起用出来ず2年連続、当日変更で3区に。
前年はサプライズ起用だったが、今回は満を持しての登場。もしや5区・漆畑の可能性も…?という期待もあったほどだ。
しかし昨年とは打って変わって単独最下位を走行する、最後の箱根でキャプテンにこんな状況は残念だった。
藤沢のポイントでも区間20位。さすがに昨年の走りは期待出来ないか…
ただ昨年の覚醒は本物の実力だったに違いない。次の定点間を11位・12位でビルドアップ。前回とは異なるスタイル。
何も前が見えない、頼りになるのは自分の感覚しかない。タイムこそ約1分遅いが区間12位タイ。前回以上に強さを感じたレースだった。
今回多くの大学のランナーが後方から襷をもらって力を発揮出来ていない中、悪い流れにハマらず前年同等の走りを披露する。これは余程の力がないと出来ないことだ。
流れを切らずまとめるだけでなく貯金も望める走りにランクアップしていたよね。
今の4年世代持ちタイムドラ1としてのプライドは証明出来た。入学当時、往路3区でこれだけ戦える選手になるとは思いもしなかった。
もっと前で襷貰えてれば… それだけが悔いだ。
4区・大森椋太(4年・64:20 区間20位)
昨年箱根10区で出走すると、その後は丸亀&箱根予選でハーフ62分台を2度マークと高いレベルでの再現性も増した。11月は10000m28分台にも突入してきた。
しかし、なかなか動かなかった。雨に気温の低下で体も温まらなかったのではないか。
ラスト3キロの声かけで玉城監督から「動きは悪くないがもう少し体動かそう、温めよう」とあったほど。
イーブンペースで区間12位から14位で推移していこうという選手には苦しかったよね。
それでも今回、往路を走れるまでに信頼を増した。復路の要として期待していたが大森が往路で耐えられそうな目処が立ったからこそ、山崎5区の可能性も現実味が増した。
実は2区区間賞の青山学院・黒田と同じ玉野光南高校。高校時代から活躍してた黒田と対照的に大森は5000m15分台の選手だった。
そんな選手が往路で戦うまでに力をつける。だから箱根駅伝は面白いのだ。
5区・三好絋生(4年・73:00 区間11位)
最初で最後の3大駅伝エントリー。本命は山崎丞で彼はおそらくリザーブ要員。そのように捉えていた。しかし、その言葉が申し訳ないでは済まされないほどの走りだった。
低重心で腕の振りが横で外に逃げるorストライドが伸びない走りが続いていたが、ここ近年では最も山登りに適した登り斜面と上半身が平行になるフォームを維持出来た走り。
こんなに軽やかに登れるのか…びっくりしたよ。
大平台までは区間18位のペースだったが本格的な登りに入ってからペースアップ。
芦ノ湯で区間13位に、ここ数年ずっとブレーキで定点最下位クラスだったラストの5キロも16分切り。73:00は5区短縮されて以降、大学歴代2位のタイム。
単独最下位を抜け出して2つ順位を上げる区間11位。往路全区間最下位走行という不名誉な記録も回避した。殊勲の走り。
はっきり言って高校時代から輝いていた選手ではない。公立の広島皆実高校出身。
同校から2人目の箱根ランナー誕生となった(初出走は第96回・神奈川大6区の森淳喜)
例え無名でも4年間培った力は箱根路でも通用する。これが日本体育大学の成長度。
三好の力走が、4年生の意地が明日に繋げてくれた。ありがとう。
6区・富永椋太(3年・60:30 区間14位)
今大会2人目の椋太。こちらの椋太は鉾田一高出身と小野木コーチの後輩にあたる。
3年連続6区一斉スタート、重要な出だし。
全日本予選2組で序盤から積極的に前につく走りを見せたのと同じく、最初の登りで突っ込んで入り、前の抜け出した明治・堀、大東文化・佐竹選手、後ろ法大武田・中大・浦田の後ろにつく形。
ただ若干無理してた部分も画面越しには伝わった。事実、次の小涌園前の定点では後ろにいたチームに交わされ、見た目14.15番手を走行することに。それ以降、ズルズル後退…も頭をよぎったがなんとか堪えた。
下りの定点間だけでいえば19位、20位。結果的に序盤に突っ込んだ分の貯金を活かしての区間14位という格好だ。
60:30とタイム上はまとまったものの、この区間は下りが基本得意な人しかいないので差がつきにくい。下りでブレーキになった人がどんどん遅れていくだけなのだ。
目標60分切りで準備してたところを60:30かかってしまった。以前であれば手堅くまとめている方だが、シード争いに加わるには59分半で走れる選手を擁立していきたいところだ。
秋山清仁クラスは厳しくとも6区を絶対に区間1桁で走れる選手がいれば優位に立てる。
7区・田島駿介(2年・63:49 区間9位タイ)
前回、当日変更で外れた7区。各書籍でも希望区間、力を出せる区間に7区と記載されていたのがこの田島。
持ちタイム以上にロードを走れる、暑さに向かい風、追い上げも単独もいかなる展開にも左右されないのが彼のよさ。
それでいて箱根予選では20キロ以降のラスト全選手中2位というラストスパートも光る。
やや伸びを欠いた6区から立て直しを図る。
終始定点間を8位から9位で推移する安定ぶり。最後は離れたもののすぐ前に帝京・小野がいてリズムよく走れたのもあるか。
ハングリー精神が強く淡々とペースを刻めるのはまさに駅伝向き。強豪多き愛知高校駅伝で公立の旭野高校出身ながら2年次に1区区間賞を獲得して一躍、有名に。ロードで+αが出るのは貴重だ。
来年度は高校以来となる5000mの自己ベスト更新がまず目標か。今回と同じ7区はもちろんだが、スピードもつけて4区で今回と同じ8位9位を叩き出せる見込みが出てくると編成が楽になる。
8区・分須尊紀(3年・64:45 区間2位🥈)
今大会のビッグサプライズだった。
昨年の箱根4区、全日本予選2組と主要大会で外しがちだったが、11月下旬の1万mでは29分フラットと調子を上げていた。
今回は復路での出走を期待しており、3000m障害を得意とする彼に遊行寺の坂がある8区は理にかなった起用である。
最初の入りを20:00ちょうどの区間9位で通過。昨年、廣澤が20:27の区間19位と抑えすぎた反省も踏まえてだろう。
しかし、これは決して突っ込んだ走りではなかった。ここからさらなる加速が待っていた。
次の茅ヶ崎から遊行寺までの8.9キロを26:46定点間2位のタイムで駆ける。
中間地点で46:46と昨年より42秒速いペース。ラストも昨年の廣澤とほぼ同じペースで走り切り64:45の区間2位。
腕の振りと反比例してベクトルが下に向いたいつもの走りとは違い、回転が速くラストのストライドもすごく伸びやか。前年の箱根の借りをお釣りが来るまでに返した。
日体大が箱根で区間3位以内を出したのは池田耀平以来(96回1区・97回2区)8区では最後にシード獲った第94回の山口和也以来。
ちなみに第94回大会は7区・住田優範(2位)8区・山口和也(3位)10区・中川翔太(3位)と3区間で区間3位以内をマーク。
1大会の復路でこれだけ区間3位以内を叩き出せるのだから総合4位に入るのも納得である。
元々この世代で最も早く台頭し、1年次から全日本7区・箱根4区とタフな区間を任され、2年次には関東インカレ3000m障害で銀メダル。
この当時、藤本珠輝(現・ロジスティード)とセカンドエースを組むに最も値するのは分須だった。
ようやく彼のポテンシャルと期待値が追いついてきたのではないか。
走り終わった後のガッツポーズ。マネージャーとのハイタッチ。腕に書かれた「日体魂」「克己」ものすごく輝いていた。
〝8区2位〟の分須がいる、それだけで日体大は他校にプレッシャーを与えられる。
前回大会10区間中8区間を区間9位から14位で繋ぎ続けた日体大にとって、もうひとつ欲しかった『絶え間なく攻め続けて区間上位を奪う選手』がとうとう現れた。
9区・田中慎吾(4年・72:04 区間20位)
復路唯一の4年生。3年次に世田谷ハーフ64分半ばで走り前回も同じ9区にエントリーされるも当日変更となった。今回はそのリベンジ。
分須の作った流れに乗って、ここは速めに入って東海に追いついて明治・早稲田と走れる位置に持っていって欲しかったが、逆にブレーキをかけすぎた走り。上半身の動きが重く常時区間20位ペースで推移。
もうひとつ上のポジションで走る経験値をチームに還元して欲しかったところだ。
予選会と同じように最初溜めて後半上げる予定を立てていただろうが、この区間は最初が下りのため最初を抑えるとペースを上げるのか難しい。彼も最初のペースにハマってしまった。
いい位置で襷をもらって差を詰められても、区間15位あたりでまとめる期待をしていたが、前を追うとなると力不足だったのか。1つ順位を落とす悔しい結果になってしまった…
10区・住原聡太(3年・69:57 区間6位)
好きな芸人はオードリー、持ちネタのトゥースで明るくさせるチームの元気印。
高校2年次の愛知県駅伝、1区区間賞が7区を走った田島であり、同じく12位だったのがこの住原。高校5000mベスト14:43:56も1年次から3レース連続で5000m自己ベスト叩き出すなど着実な成長を遂げた。
今季は春先に10000m 28:54:69の自己ベストをいきなりマーク。全日本予選は4組を経験、箱根予選も64:00でフィニッシュ。
1年間積めてきた選手が抜擢された。
最初の入りこそ1キロ3:02のペースで蒲田を通過、区間20位だったものの、昨季の本戦同様のビルドアップが決まる。
一時、テレビで中央・国士舘・日体大で並走しているシーンが映っていた。
実はそのときから住原は少しずつ前に出ていた。並走から抜け出して垂れることなく押せるランナーは近年でもいなかった。
帽子を被った姿も相まってか、昨年まで順天堂の3区を走り続けた伊豫田達弥(現・富士通)に見えた。
蒲田から新八ツ山橋の間を3位の22:22、新八ツ山橋から御成門を4位の14:30、ラスト大手町までも3位の15:07のタイムで走破。優勝した青山学院よりも全定点間で上回っていた。区間順位も9位→7位→6位の推移。
最大値は区間13位を想定していたが、それを上回る区間6位。同大学の10区70分切りは総合2位に躍進した第81回・山田紘之以来のようだ。
住原が押し続けた結果、チームは9区から4つ順位を上げ、気づけば総合16位フィニッシュ。
まとめ役ではなく復路で押し続けられる選手がもう1枚出てきたのは大きな収穫。
ポテンシャルありながら低迷していた3年世代から頼もしい選手が1人登場した。来季も復路の要を任せる。
この走りが第101回大会の反撃の狼煙となる。
☆総括 来年度に向けて
往路5:35:35(21位)
復路5:30:55(11位)
総合11:06:30(16位)
往路4区まで最下位ひとり旅をしていたものの終わってみれば、なぜか総合順位は昨年より1ついい16位という結果。復路は2年続けて11位。
あれだけ低空飛行な状態から立て直して攻め続ける区間を複数作った、ブレーキの区間あっても取り返せる選手がいた。他大学の失速もあったかもしれないが決して力がないと出来ないことだ。巷で言われるほど弱くはない。
昨年の箱根が終わってから藤本が卒業したとはいえ第100回大会の方が戦えるラインが作れると非常に楽しみにしていた。
平島ー山崎ー漆畑ー山口のような。
あの当時から藤本に次ぐ次期エースも山崎丞が継げると見込んでいたが、その山崎丞が起用出来なかったのは残念だった。
その中で踏ん張った方かもしれないが、やはり往路の流れを作れる火力を最も持ってるのは彼だけということに異論はない。
昨年、区間中位でまとめる駅伝が出来て次は稼げる区間の台頭が求められていた中、分須が8区2位、住原が10区6位で走破。
かつて復路で猛威を奮った日体大のカルチャーが帰ってきた。
ずっと失敗していた5区を中位でまとめる走りがとうとう成功した。
予選会で見せたビルドアップ走も決して通用しないわけではない。
課題は序盤の流れを作る・取り返せる選手の台頭。1人は山崎だが、もう1枚2枚往路で戦える選手がいないと今回みたいになったとき困る。
関東インカレハーフ5位入賞した浦上和樹(2年・九州学院)には最も期待がかかる。
昨年度は藤本・山口・漆畑と同じ部屋だった。いわゆる出世コースの豪華部屋。彼の粘りは注目に値するだろう。
次に4区。4区はシード落として以降の5年間全てで区間15位以下に沈んでいる鬼門の区間。
(95回廻谷18位、96回太田18位、97回福住17位、98回分須15位、99回分須20位、100回大森20位)
突っ込んで耐える力が最も求められる区間。個人的には山口廉がここを任せられるようになるのがベスト。今回の復路好走組から1人でもいければそれもいいが、成功した区間での活躍ができた方が編成上はいい。
最も駅伝の出場機会が減り経験値が減っているところが最大の課題だとは思う。特に1区の駆け引きや突っ込んで入る部分は経験を重ねていかないと年々レベルアップしているので、アップデート出来ない部分もあると思う。
ただ以前に比べて少しずつ成功体験を得ている選手は増えているのはいい点。
数年前の何も収穫なく繰り上げしていた頃とは違い、中身のあるレースは出来ている。もう少しで形になるところまでは来ている。
3区の漆畑・5区の三好、8区分須に10区住原。いい意味での誤算な走りだって増えてきた。
☆名門復活へ
今の4年生たちは入学時5000m平均タイム21位の世代だった。選手たちには恐縮だが、これは自分が応援してからワーストだ。
それでも4年間かけて叩き上げで伸ばして往路は3名出走。15分台から、公立高校からの選手だっていた。
就任当初、玉城監督は「13分台や14分1桁で入ってきて結果残すのも凄いが、それよりも15分台の子が14分1桁で走る方がもっと凄い」とおっしゃっていた。まさにこの世代ぴったりの言葉ではないか。
今大会で前政権からのスカウティングで背負った借金もついに精算され、来年度からは玉城体制で集めた選手たちのみの構成となる。
これまではスカウトの悪化で多少我慢の年としてシード獲れなくても仕方ない面はあったが、もうそんな言い訳は出来ない。
来年度は佐久長聖で都大路6区区間賞の吉岡斗真が加わる。低迷する名門を打開するスーパールーキーだろう。兄弟対決も見たいよね。
既に3区吉岡・5区山崎の構想も練っている。決まればシード確率は最も高いオーダーとなる。
初出場から積み重ねること連続76回。毎年プレッシャーがかかる中で記録を継続することは並大抵ではない。このまま自分が生きている限りは連続出場を途切らせないで欲しい。毎年箱根に出ることは当たり前ではない。
日体のいない箱根は箱根ではない。
でも、やっぱりその台詞は寂しいよ。
強い日体大が帰って来てからこそ、本当の意味でその台詞は輝きを増すんだよ。立川の集団走は君たち本来の姿ではないことを知っている。
あと少し。信じてる。古豪復活の狼煙まで。眠れる獅子が目覚めるまで。