あわやセンターゴロの背景
7月6日。4年ぶりの東京ドーム主催となったロッテvs西武の試合は延長10回裏、安田尚憲がサヨナラ打を放って幕を閉じた。
このとき西武の中堅・岸潤一郎が必死にセンターゴロを狙ったシーンが取り沙汰された。
この場面… ではなく今回はその前で明暗が分かれ、ラストプレーの背景があったと思っている。
完全に個人的主観であることご了承ください。
☆走らないプレッシャー
この回先頭・角中勝也が凡退→中村奨吾が初球ヒットで出塁して一死一塁の場面、ここでロッテは代走の切り札・和田康士朗を送る。当然、走ってワンヒットサヨナラの状況を作るのがセオリーではある。
ここで簡単に走らなかった。
なぜなら打席はポランコ。冷静に考えて前の打席で本塁打を打っている4番の前で走るのはセオリーではない。こうした緊迫の場面で走って自分の間を崩されるのは外国人野手の苦手な部分。
無理して仕掛けなくてもポランコ・山口航輝の2人で1本長打の可能性だって、この日の状態なら大いにあった。
走るように見せて走らない、プレッシャーを与えて速球主体の配球に絞らせて、そこを引っ張って仕留めにかかる、こんなシチュエーションを想像していた。
ここでランエンドヒット等で「最低限」の二死2塁を作ると山口は敬遠されてしまうため、出来ればそれは回避したかった。
ギリギリまでプレッシャーをかけたその焦りは相手バッテリーに確実に及んでいた。速球系を中心に組立て際どいコースをついていく。3ボール1ストライクとなりポランコ優位になるも5球目を空振りしてフルカウント。和田は必ず走る。
☆代走に関する余談
10回に代走・和田ではなくて小川だったら…
盗塁成功率が低いため同じように走らせずプレッシャーかけていったかもしれないが、バッテリーにかかる神経的負担は軽かったかもしれないし、ポランコはもっと早い段階から仕掛けていくアプローチに変わっていたとも思う。
佐々木が4球目に唯一投じたカットボールとかは空振りしてただろう。
それこそ8回石川慎吾からの代走こそ下位打線のため和田を代走に送って、前の打席で鋭い打球だった佐藤都志也や藤原恭大の前でワンヒット1点の状況を作る、移籍後初ヒットの石川慎吾から作った「流れ」にさらに弾みがついたかもしれない。
8回、和田がホームを踏んでいたら今日訪れた横山のセーブ機会だったかもしれない。
逆にあの場面で和田を差し置いて小川が代走に送られるのは後から言えば本人にとってかなりシビアな采配だ。背水の陣に近いが、ここで決めないと立場はないと暗示しているものだ。
あの日は延長戦にしたくなかったし、早い段階で勝負を決めたかった、流れも出来上がっていたので和田を8回に投入と自分は考えていた。その考えは揺るがないが、結果的に和田が残っていたからこそミスを誘発させたり、あわやミラクルプレーなんてことが起きたのかもしれない。
☆名手たるミス
話をもとにもどす。そしてラストボール。ポランコを斬った佐々木ー古賀バッテリー。これで2アウト。コンタクト出来ずに終わり流れは潰えたかに思えた。
しかし、スタートを切っていた和田に対してここで古賀が悪送球、さらにカバーに入った源田が送球を後ろに逸らし、その間に和田は三塁に進塁した。
この日千葉ロッテの2つの盗塁を阻止した古賀の肩と源田のタッチだったが、最後の最後にミスが出た。古賀の送球もワンバウンドとなってしまったが、名手ならではの、らしからぬプレーが飛び出したように思えた。
源田は捕りながら追いタッチをするのが芸術的な守備を生み出しているのだが、ここでも和田をアウトにしようとした。それゆえに送球を逸らしてしまったように思えた。
ここで無理せずストップを優先で二盗までに留めて山口を申告敬遠→安田勝負だったら…
もう少し力勝負で安田に対して押し込んで、三塁ファウルとか力のないレフトフライに封じることが出来たかも分からない。
もし同じ打球が来ていた場合、満塁止まりで次の打者との勝負に繋がっていたかも(ネクストは小川だったのでおそらく代打・井上や池田が有力で流れに屈したとは思うが…。)
それこそ一塁送球間に和田がホームを陥れてゲームセットなんて可能性は大きいので冒頭の岸潤一郎のあのようなプレーは幻だったのかもしれない。
守の名手・走の名手だからこそ引き起こした繊プレーなのかも分からない。
何度も防がれたが最後の最後に盗塁を許した・好守備連発だったマキノンが最後肝心なときにカバーにいなかった。岸が隙を見せなかったのはもちろんだが、その前に詰めきれなかった隙のなさがウリだった西武に綻びが最後出てしまった部分でロッテの勝利は見えていたかもしれない。