硝子細工の箱
君の唇のような
白い月が凍りついて
なす術もなくただ立ち尽くす
遠い空の向こうがわ
仰ぎながら想いを巡らせる
鳥の声と名も知らぬ花
よろめきながらあてどなく
君の行先は知らないけど
遠くから届いた便り
見上げれば千切れた思い出が
風に吹かれて消えてゆく
夕べの雨が嘘のようで
舞い落ちる木の葉に手を伸ばす
いくつかの約束も問いかけも
答えは風に舞っている
君の行先は知らないけど
遥か遠くから届いた
照りつけてた陽が沈んでく
青く溶けて宵闇の中へ
塗り潰した夜へと駆けてく
君に会えそうな気がして
君のくれた硝子細工の箱は
いつだっけな
今はもう無い
やけっぱちの夜空に放り投げ
星になった
星になってしまった