<陸自幹部の第1空挺団勤務記録> その8 |カッコ良すぎ!エリート中のエリート隊員たちの自由降下(フリーフォール)に同行してみた!
こんにちは。
元・国防男子/初級・中級幹部サポーターのMr.Kです。
経歴については、
幹部自衛官として13年間勤務し、主な経歴は第1空挺団、米国陸軍留学、陸自最高学府の指揮幕僚課程、在日米陸軍司令部、国連南スーダンミッション軍事司令部等で勤務してきました。
自衛隊を退職後は、民間企業で約4年間勤務し、現在は独立して活動しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
先日、今までの写真を整理していたら、福知山駐屯地の創立記念行事での『自由降下(フリーフォール)』の展示降下の写真を見つけました。
僕はフリーフォールの資格は持っていなかったのですが、フリーフォールを行う空挺隊員たちと同じヘリに搭乗し、隊員たちが飛び出す瞬間を直接見て、写真撮影をすることができました。
中々できない貴重な経験をさせていただきました。
基本的に訓練中はこのような写真は撮影できないため、大変貴重な写真です!!
『自由降下』は空挺団においても誰もが取得できるわけではないため、空挺隊員の憧れであり、空挺団の花形です。
そこで、今回は、空挺団が各駐屯地の創立記念行事で行っていることや空挺団の自由降下についての記事を書いてみました。
この記事が少しでも、空挺団の広報活動に貢献できると幸いです。
⏩ 空挺団の行う降下
空挺団の行う降下には2種類の降下要領(自由降下、紐付き降下)がありますが、今回は「自由降下」についての記事を書きます。
🪂🪂 自由降下(フリーフォール)🪂🪂
高高度、離隔した場所から降下をして隠密に潜入するための『自由降下(フリーフォール)』
(陸上自衛隊第1空挺団公式HPより引用)
フリーフォールで使用する傘は『MC-4』と呼ばれ、操縦性能が高いのが特徴です。
降下高度は一般的に10,000ft以上で、数十キロに及ぶ滑空飛行が可能です。
そのため、敵から離隔した地域や高高度から降下をして、敵に見つかることなく隠密に降下し潜入できるのです。
この特技取得のための教育は、空挺団の空挺教育隊という空挺教育を専門とする機関で行っています。
『自由降下特技』を取得できるのは、空挺団では基本的に偵察部隊、普通科の偵察小隊、通信科の無線・信務(暗号)の隊員のように任務上自由降下が必要な隊員たちです。
その他、特殊作戦を行う特殊作戦群の隊員もこの特技を取得します。
教育の枠に余裕があれば、上記以外の隊員も教育を受けることは可能だ。
ちなみに、『自由降下徽章』は ↓ ↓ ↓
通常の空挺徽章の上に『FF』のマークが付いています。
🪂🪂 紐付き降下 🪂🪂
2つ目の降下要領は、お馴染みの空挺降下。
空挺団の主力を作戦地域から離隔したで降下するため、丸い傘を使用する通称『紐付き降下』と呼ばれるもの。
写真の隊員たちの背負っている落下傘に黄色い紐がくっついているのが見えますが、この黄色い紐を機体の上部にあるワイヤーに引っ掛けて降下します。
隊員が飛び出すと、スルスルと自動的に落下傘が開傘する仕組みになっています。
これは、空挺隊員全員が持っている特技です。
以前の記事でも紹介しましたが、
空挺団に所属するためには空挺団の空挺教育隊が教育する『基本降下課程』を修了しなければなりません。
その基本降下課程で取得する特技がこの『紐付き降下』の特技なのです。
⏩ 各創立記念行事での空挺団の活動
空挺団は、全国の駐屯地で毎年実施される創立記念行事を支援しています。
全国各地の駐屯地創立記念行事は、空挺団にとっては広報活動を行う絶好のチャンス!
空挺団のブースを設けて、広報ビデオを流したり、
落下傘を展示して説明したり、
落下傘の装着体験をしてもらったり、
展示降下終了後、実際に降下した隊員たちを紹介したり、
自由降下の傘『MC-4』を使用した展示をしながら、自由降下についての説明するなど、
空挺団の広報にも力を入れています。
⏩ 各駐屯地の創立記念行事での展示降下
(陸上自衛隊公式HPより引用)
空挺団の広報活動の一環として、そして、隊員たちの降下訓練のため、全国の駐屯地創立記念行事に参加して、降下の訓練展示を行っています。
ほとんどの日本の駐屯地は狭いため、
創立記念行事での展示降下は、ほとんどが『自由降下』です。
誤って民有地に降下をしてしまったら、
『訓練事故』となり大事になってしまいます。
そのため狭い駐屯地では、傘の操縦性能が悪く、風向に大きく影響を受けてしまう『紐付き降下』では降下ができません。
降下規則でも降下場地域の大きさも定められているため、紐付き降下ができるほどの条件を満たす降下場を有する駐屯地は、あまり無いのです。
自由降下をする隊員にとっては、大勢の観客の前に失敗することなく着地しなければならないとても緊張する瞬間です。
その環境が、隊員たちにとって緊張感のある訓練の場となるのです。
⏩ 福知山駐屯地での自由降下記録
空挺団の中隊毎、各駐屯地の創立記念行事の支援を担当します。
僕が所属していた中隊が担当することになった創立記念行事の一つが、福知山駐屯地での創立記念行事でした。
展示降下では、本番前の前日に降下の練習をします。
その時、ヘリに搭乗して自由降下をする隊員たちが降下する様子を間近で見る機会がありました!
初めての機会にとても興奮したことを覚えています。
🔥 間近で見ると、めちゃくちゃかっこいいんです!!
ここから、その時に航空機内で撮影した写真を紹介します。
まず、UHヘリに搭乗します。
自由降下を行う隊員達の装備は写真の通りです。
離陸!
そして、高度10,000ftくらいまで上昇。
ヘリは、どんどん高度を上げていきます。
この時期は秋だったため、
ご覧の通り紅葉がとてもきれいでした。
高度が上がるので、上空は結構寒いんです。
厚く覆われていた雲を抜けました。
が、ここである問題が・・・
雲で降下場地域が確認できなければ降下ができない。
大丈夫か??
機内から降下ポイントを確認する降下長(降下を指揮する隊員)。
機内で、「はい、チーズ!!」
降下直前に、ピースサインって・・・
お茶目な降下長 (^^)
じゃなくて、
降下長の合図。 「降下2分前!!」
そして、これは高度計。
これを見ながら降下し、定められた高度で開傘します。
連続で飛び出したとき、開傘時期がバラバラだと空中で接触するためです。
ヘルメットの脱落防止処置も万全。
降下中にヘルメットが外れて落ちてしまったら大変ですからね。
「降下準備よし!」
うぉー、飛んだ!!!
すげー!!
うぉー、また飛んだ!!!
降下場を目掛けて、次々に飛び出していく・・・
めちゃくちゃ、かっこいい!!!!
そして、無事に着地できました。
⏩ 最後に
多くの観客の前での絶対に失敗できない状況での降下。
だから、展示降下で自由降下する隊員は、練度の高い隊員に限定されています。
自由降下は、空挺団でしっかりと練度管理がされていて、
この練度ランクだと、この駐屯地で降下できる、できない
ということが決められているんです。
つまり、自由特技を持っている隊員の中でも、更に選ばれし隊員が降下しているんです。
自由降下をやっている隊員たちは憧れであり、尊敬します!
この記事を読んで、空挺団に興味をもってくれたら嬉しいです。
そして、この記事が少しでも、空挺団の広報活動に貢献できると幸いです。
次回につづく。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今日も皆様にとって良い一日となりますように!
元国防男子 Mr.K
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