モモさんとしゅんみんのピョンチ
さくらにスイセン
チューリップ
たんぽぽがゆれて
てんとうむしがおどる
そんな
はるのきのした
くさたちがにぎやかな
したのした
じめんのしたには
ひろがるせかいが
あります
そこはまっくら
ひかりのないせかい
だけど
おやおや?
ポワン
あかりがつきました。
おきにいりのクッション
あきのこないほんたち
ぬいぐるみのクマハチとは
ながいおつきあい
だいすきなかおりで
みちている
ここは
モグラのモモさんの
おへやです
とんとんとん
おやおや?
だれかがきました
カエルのピョンチです
「あらピョンチ
ひさしぶり」
「モモさん
おれ
そろそろ
とうみんをおえて
うえのせかいへいくよ」
「あらそう
はるがきたのねぇ」
「うんでも…」
「うんでも?」
「ほんとうはまだ
つちのなかでねむって
いたいんだ
だけど
はるがきて
しまったから」
ピョンチは
ねむそうにいいました
「ねむいなら
ここで
ねむっていくといいわ
このクッションの
ねごこちは
さいこうよ」
「そういうわけには
いかないよ
はるなのに
そんなのはいけないよ」
「あらどうして?
ねむいなら
ねればいいわ
はるでもなつでも」
モモさんが
かるがるといいました
ピョンチはくちを
ポッカリとあけたあと
ゆっくりととじて
ふふふ、とわらいます
「モモさんにかかると
なんでもシンプルに
なってしまう」
「そう
シンプルなことよ」
モモさんも
ふふふ、とわらいました
「そうだね
では
もうすこし
ねていこう」
ピョンチは
モモさんのすすめる
クッションに
ゴロンとねころがると
ゲコゲコといびきを
かいて
ねむりだしました。
ピョンチのねいきを
きいていると
モモさんも
ねむくなってきました
「はるのいねむりは
さいこうよねぇ」
モモさんはつぶやくと
ゴロンとねころがり
ピョンチのとなりで
いっしょにねむりました
じめんのうえでは
はるのかぜに
さくらのはなびらが
まっています
かぜにのって
ふたりのねいきが
きこえてきそうです
(おしまい)