🐇#1 お稽古初日編【大和なでしこ修行覚書】
皆様、こんにちは。
ごきげんいかがですか。
大和なでしこプロデューサーのマリナです。
一人でも多くの女性を、自信と誇りを持った大和なでしこに育てるプロデュースをしています。
今はこんな活動をしている私ですが、もともとは着物すら着られませんでした。
そんな日本の伝統文化にさっぱり縁のなかった私が、なぜ【大和なでしこ】になったのか。
それについては、コチラの記事をご覧いただくとして、
大和なでしこになるために学んだ修行について書き留めます。
今回はお稽古初日のお話です。
大和なでしこ修行スタート
2011年5月某日の都内某所。
立派な和風の引き戸の前で、私はぼんやりと突っ立っていました。
(私、なんでここにいるんだろう……)
引き戸の横にかかっている木の看板には、「●●流日本舞踊稽古場」と達筆な字が書いてあります。
(日本舞踊、興味ないんだけどなあ……)
ふうっとため息を一つ。
興味がないのに、なぜここに来たのかというと、日本舞踊の先生に弟子入りしてしまったからです。
社会人になり、自由に使える時間とお金を手に入れた私は、10代から抱いていた「大和なでしこになりたい!」という職業でもなんでもない褒め言葉を目指すことを決意。
しかし、そんな漠然とした存在になる方法は、どこを探してもありません。
おまけに、私が育った家は日本の伝統文化とは一切関わりのない平凡な家でした。
今では恐れ多いことに「マリナさんは、お育ちが良さそうですね。名家のご出身なんですか?」と言っていただけますけど、
すみません! 私、庶民です!!
200年前の暴れん坊将軍の時代から埼玉に住む庶民なんですー!!
父方の実家の位牌を調べたら、一番古いもので、徳川吉宗の時代の元号が書いてありました。
ずーっと武蔵国に住んでいる生粋の埼玉県人です。
しかも、私以外の親類縁者全員、伝統文化とご縁なしの興味なし!
祖母が昔、着物を着てたぐらい。
そんな日本の伝統に縁もゆかりもない私が、無い知恵を振り絞って、
「【着付け+茶道=大和なでしこ】なんじゃない?」
と思いついたものの、納得できる教室を見つけられませんでした。
そんなとき、凛とした雰囲気までもが息をのむほどに美しい超一流の着物美人と出会い、恐れ多くも初対面で身の程知らずの質問をしたのです。
私「私、大和なでしこになりたいのですが、大和なでしこになるにはどうしたらいいですか!?」
先生「着付け・茶道・日本舞踊の3つを学べば鬼に金棒よ。着付けは着物、茶道は和室の扱いや丁寧な所作は学べるけど、日本舞踊でないと美しい立ち居振る舞いは学べないのよ。日本舞踊家の私に弟子入りしたら、日本舞踊のほかに、着付けも教えてあげられるけど」
私「やります!」
3つそろえば鬼に金棒のところ、2つも教えていただけるなんて最高じゃないか!
そう思った私は、よく考えもせず、日本舞踊家への弟子入りを即決してしまったのでした。
そして迎えたお稽古初日。
私は極度の緊張で、早くも弟子入りを後悔しそうになっていました。
(帰りたい!! いやいや、駄目だ。勇気出せ、マリナ! ずっと夢だった大和なでしこになれるチャンスなんだから! いざ! 参る!)
どうにか自分を励まして、戸を開けました。
戸を開けると、狭い廊下の突き当りで、障子が閉まっていました。
この奥がおそらくお稽古場。
中に入るには、障子を開けなければいけません。
(ちょっと待って。これ、どうやって開けるのが正解?)
障子の正しい開け方なんて教わったことがありません。
なんということでしょう。早くも壁にぶつかりました。
大和なでしこへの道は、遥か彼方です。
序盤も序盤で
つまづくなんて、前途多難すぎます。
なにか言ってから開けるべきなんでしょうけど……
「お邪魔します」
「失礼します」
「開けます」
(どれ!?)
障子の向こうから、先生とお弟子さんの楽しそうな話し声が聞こえてきます。
(え? どのタイミングで?)
会話をさえぎっては失礼。
でも、無言で開けるのもどうなんだろう。
開けるのは右手? 左手? それとも両手?
混乱した私は、障子の前で正座したまま、固まってしまいました。
こんなつまらないことに悩んでないで、さっさと開けて入ってしまえばいいのに。
初心者なんだから、どんな開け方でも大目に見てくれるよ。
そうは思うものの、体が動きません。
もともと私は人見知りで内向的な性格。
初めての場所で元気に明るく振舞えません。
借りてきたネコならぬ、足ガクガクの小鹿状態。
(どうしよう。どうしたら……)
何も出来ないまま、時間だけが過ぎていきます。
先生「そろそろ時間だけど、新しい子来ないわね」
お弟子さん「先程、戸が開く音が聞こえましたから、建物の中には入っていると思いますが……」
先生「もしかして、障子の前にいるのかしら?」
はい。おっしゃるとおりです。
障子の前におります。
固まっております。
私「はい。あの……おります」
先生「どうしたの? 入っていらっしゃい」
(よかったああああ!! 気づいてもらえたあああ!!)
先生に入室するタイミングを作っていただき、「失礼します」と声を出し、おそるおそる障子を開けて(確か右手だけで開けたような?)ぺこりとお辞儀。
私「よろしくお願いします」
顔をあげて驚きました。
てっきり、畳のしかれた和室だと思っていたのですが、畳は一部だけで、お稽古場は板敷きで壁いっぱいに大きな鏡がはってあって、和風ダンススタジオのようでした。
いや、実際に和風ダンススタジオなんだけど。
日本舞踊は色んな流派や踊りの種類がありますが、歌舞伎に近い踊りだと足を踏み鳴らす動きがあります。
畳では音が響かないので、歌舞伎の舞台も板なんです。
続きます
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