フラメンコはものすごく「人間くさい」ダンスだった
フラメンコは、一言で言えば「人間くさい」ダンスだった。
激しい足音と手拍子、そして生のギターとパーカッションと歌、その全てが各々の情熱をぶつけ合って、ひとつにまとまっている。
かっこいいとかオシャレとか技術的に優れているとかそういうの関係なく、情熱をそのまま身体に宿して踊るダンスは、ごまかしの効かない人間の内面を垂れ流しているようなもので、そういういう意味で、アナ雪なんかよりずっと「ありのまま」なのだ。
国民性と、その国の伝統的な踊りは密接に紐付いているとは思っていたけれど、スペインは特に強くそう感じた。
例えば南国でよくあるファイヤーダンスとか、ハワイのフラダンスとかはね、自然への畏敬の念とか崇める気持ちとかを感じたりするんです。でもフラメンコはどこまでもベクトルが人間の内面に向いてる。
目の前にいる人たちと、今この時を楽しむ。そういうところがもう本当に人間くさいのだ。
情熱の国スペインを、ダイレクトに感じられるショーでした。観に行ってよかった。
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すごく特徴的なのは、ショーとして完成したパッケージを見せているのではないこと。
リーズナブルな劇場だったからということもあるのかもしれないけど、いい意味で「生もの」感が強くて、かつ演者のエネルギーが観客じゃなくて舞台上のお互いに向いているんです。
まずは自分たちが楽しむ。誰かのためじゃなくて自分たちのためにフラメンコを踊る。
そうやって、感情と身体をできるだけ近づけて爆発させるイメージ。その空気感でその場所を満たすことで、結果として観客も楽しむ。
実際にどこまで決まっててどこから即興なのかは、わからないんですけどね。
だから観客も、ただ作品を見ているというよりは、巻き込まれて参加したくなる。
「同じアホなら踊らにゃ損ソン」といった感じで、そちらの輪に入りたくなるのだ。
ああ、やっぱりダンスって参加するのが一番楽しいエンターテイメントなんだなぁ、と改めて感じるショーでした。
誰かのために踊るのもいいけど、自分のために踊るのも大事なんだろうな。
▼見に行った場所
ロス・タラントス
http://i.4travel.jp/shisetsu/10387292/map?dmos=os
地下鉄のリセウ駅の近く。
45分くらいのショーが15€で飲み物や食べ物は無し(飲み物は頼むこともできるみたい)
ランブラス通りを一本入ったレイアール広場の右手にあって、私たちが行った時は受付の女性が日本人の方でした!
観に行く日が決まっているなら、ウェブ予約で安くなるみたいです。
安さと手軽さといい意味での洗練されてなさは良かったけど、次にスペインに来る時は、食事付きのショーでもうちょっと長く楽しみたいな、なんて思いました。