「神々の里」
人形遣いをしております、結城まりなです。
糸あやつり人形劇「神々の里 〜やがて神話は、生き標となる〜」の本番がいよいよ近づいてきました。
現在は九州での本番を1週間後に控え、稽古も美術製作も大詰め、といった状況です。
本公演は2月に九州・延岡 / 高千穂にて公演
3月に東京・池袋にて公演いたします。
🔻九州公演
●2025年 2月21日(金)〜23(日)
延岡城・内藤記念博物館 和室棟
●2025年 2月24日(月・振替)
高千穂神社・神楽殿
🔻東京公演
●2025年 3月13日(木)〜16日(日)
池袋 THEATER GREEN BASE THEATER
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「神々の里」に出演させていただくにあたり、ロゴ原案からはじまり、人形デザイン、人形製作、背景美術デザイン・製作に携わらせていただきました。
デザインや製作をしている数ヶ月の間ずっと、どっぷりと日本神話の世界に浸かっていました。
もともと昔から日本神話が好きだったので、この公演のお話をいただいた時は嬉しくて、テンションがハイの状態で人形のデザインにとりかかったのを覚えています。
絵を描いたり人形を作ったりしている最中、「そういえば私はなぜ日本神話が好きなのか」ということをぐるぐる考えていました。
私が日本神話に初めて触れたのは、中学生の時に遊んでいた『大神』というPS2のゲームソフトでした。
▲NintendoSwitchに移植された際のプロモーション映像
古代日本のような世界が舞台のゲームで、主人公はアマテラスという名の白い狼。
プレイヤーはアマテラスとして、妖怪や怪物と戦いながら荒廃した世界を回復させる、というストーリーでした。
その中には、古事記、日本書紀、日本の昔話を題材にしたキャラクターやストーリーも多く、三種の神器についてや、スサノオとヤマタノオロチのお話を知ったのも『大神』が最初でした。
日本画や水墨画の絵の中を、白い狼が駆け抜けていくような、とても美しいゲームでした。
思い返してみれば、その後美術に興味を持って大学で日本画を専攻したのも、このゲームに影響を受けたことが大きな要因の一つかもしれません。
日本画や日本史など、日本的なものに興味を持っていなかったら、江戸時代から続く糸あやつり人形に
出会って人形遣いになることも、もしかしたらなかったのかもしれません。
今回の「神々の里」の公演にあたって日本神話について考えた時、「神様の名前やエピソードは物語として知ってるけれど、自分とは少し縁遠いもの」という印象を抱いていましたが、辿っていくと、今自分がやっている仕事、ものづくり、好きなものの一番根の部分に日本神話や日本の昔話の世界感があるように思います。
縁遠いものというよりはむしろ、自分のルーツのようなものかもしれないなと感じました。
もうひとつ、さらに私を日本神話の世界につからせた作品が、SoundHorizonの『絵馬に願ひを!』という音楽作品でした。
SoundHorizonは音楽によって物語を紡ぐ音楽ユニットで、一枚のCDアルバムを聴き終わると一冊の長編小説を読んだかのような気持ちになる、そんなアーティストです。
『絵馬に願ひを!』はBlu-ray媒体として発売され、映像と音楽によって物語が展開されます。
舞台は現代日本とよく似た、しかし似て非なる世界で、日本神話をモチーフにしたキャラクター群が様々な感情、問題を抱えながら互いに複雑に絡み合います。
▲『絵馬に願ひを!』トレーラー映像
「現代日本風」の世界に生きるキャラクターが描かれるため、イザナミをモデルにした女性は不育症に苦しみ、イワナガヒメをモデルにした女の子は学校でいじめられ容姿コンプレックスに悩み、アメノウズメをモデルにした女の子はアイドルに憧れ地下アイドル活動をしています。
特にイザナミをモデルにしたと思われる女性、「伊咲那美 / 伊坂那美 」(いざきなみ / いざかなみ)が歌う楽曲は、出産と育児にまつわる問題をテーマとしており、聴いていて心苦しくなるような曲もありました。
葦の小舟に 乗せた我が子が
昏い闇の彼方へ 流れて消える夢
愚かな母の... 願いは泡のように...
儚く... 潰(つい)え続けた...
故(ゆえ)に... 一度は灯った...
その火を留(とど)めるように...
灯留子(ひるこ)... 名付けた意味も虚しく...
『絵馬に願ひを!』 夜の因業が見せた夢 より引用
伊咲那美(いざきなみ)が、喪った最初の子である「灯留子」のことを追想するシーンです。
私は今回「神々の里」でイザナミの人形を遣うのですが、この曲が頭の中でリフレインし続けていました。
イザナミが辿る悲劇的な物語と、彼女の想いを人形で表現することができたらいいなと思いながら日々稽古をしています。
糸あやつり人形と俳優陣が織りなす「神々の里」。
時にコミカルに、時にドラマティックに、日本神話の世界を描きます。
日本神話をよく知らないという方にも、日本神話に馴染みの深い方にも楽しんでいただける作品になっています。
明るい雰囲気のお芝居なので、お子さまやご家族連れにも大変おすすめです!
公演の詳細や、チケットご予約は下記のリンクからお願い致します👇
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
糸あやつり人形劇「神々の里 〜やがて神話は、生き標となる〜」
ぜひ劇場にてご覧くださいませ!
結城まりな