NETFLIX アプリ課金停止前と後のUIの変化の観察
はじめに
たまたまRebuild.fmを聞いていて、NetflixがApple課金やめたことが話題になっていた。
Appleが外部動線を許してくれないんだけど電話番号は書いてあってもOK(超要約)
Rebuild.fm(1:20:00 ~1:23:00)付近
確かに最新バージョンのアプリは電話がかけれるようになっている。
NetflixのUI調査で、スクショをめちゃくちゃ記録していたのを思い出し、現在のUIとどう変わったのか気になって調査することにした。
Netflixのアプリ内課金終了後のUI
最新のアプリを落としてみると、アカウントを作らず遷移できる画面遷移数は7つ。
左から順番に、
○アプリの押しポイントをスライドして紹介する画面が4つ
○ログイン・ログアウト画面
○ログイン・ログアウト画面の右上のボタンを押して遷移できるヘルプ画面
○ヘルプ画面から電話するボタンを押して遷移する電話の画面
アプリ内でアカウントを作ることはできない。電話して、アカウントを作りたいのですがと尋ねてweb上でアカウントを作成する必要がある。ちなみにwebのアカウント作成画面をのぞいてみたところ、下記のアプリ内課金対応時と同じようなUIでアカウントを作成できることがわかった。
Netflixのアプリ内課金対応時のUI
次にNetflixのアプリ内課金対応していた時代のUIを紹介する。
アカウントを作成し、サービスが使えるようになるまで遷移する画面の数は14個。
並べてみると量が多い。
新UIと旧UIの違いについて気がついたこと
●ウォークスルー画面の変化
旧UIではウォークスルー画面は一つだったにもかかわらず、新UIでは4枚に増えている。
また内容についても
旧UI
○出会えば、はじまる。
新UI
○使える端末の数は無制限!
○ダウンロードで外出先でも
○登録も解約も、いつでもどこでも
○Netflixを視聴するには?
と押しの内容が変わっていることがわかる。
ウォークスルー画面とは下記に引用する通り、アプリの第一印象を決める大事な画面である。
「ウォークスルー」は、「アプリでできること」「アプリの特徴」「アプリのコンセプト」などの説明を初回起動時に表示する画面です。アプリを使う前にウォークスルー画面を通るようにできるので、ストアの説明文をよく読んでいないユーザーなどにも改めてアプリの特徴などを説明することができます。
(https://dev.classmethod.jp/smartphone/iphone/sp10-ios-introduce-introduction-library/より引用)
このことからもNetflixが自社のサービスに対して、何が押しポイントなのかと考えているのか、またどんな需要があるのかということが読み取れる。
●文言の「いつでもキャンセルOK」が三枚目に移動した
内容の中身について面白いなと思ったのは、文言の「いつでもキャンセルOK」が三枚目に移動したことである。
旧UIはウォークスルー的な画面が一枚しか無い。この狭いスペースの中であれば、ユーザーに伝えたい情報を厳選する必要がある。
出会えば、はじまる。
映画やドラマをもっと自由に。
いつでもキャンセルOK。
厳選しても「いつでもキャンセルOK」が入るのはそれだけ大事な情報なのだろう・・・・と思って新UIを見てみると、このいつでも「キャンセルできる」という情報は三枚目のウォークスルーに移動している。
アプリ内課金対応中は「いつでもキャンセル出来る」という情報のほうが大事だったが、アプリ内課金終了後は「端末の数無制限」という情報のほうが押されるようになっている。
●キャンセルに関する説明の量が変化した
前の項目では「いつでもキャンセル」できるという情報が、アプリ内課金対応中は強かったのではないかという予想を立てた。
今度は、画面内のキャンセルに触れている説明の数に着目してみる。
新UIでは、キャンセルに関して触れている箇所は1箇所だったが
旧UIでは、サービスを使えるようになるまでに7箇所触れている。
やたらめったらキャンセルのことを説明しているのである。
アプリ内課金に対して心理的なハードルを下げるための施策だろうかと考えた。
英語版のアプリを比較するために、下記サービス内で日本語版でキャンセル表記されてるのと同じ画面をまとめてみた。
英語版は日本語版と比べて、キャンセルの表記が少ないことがわかる。
国民性の違いなのだろうか・・・?
英語版を使っている人は、アプリ内課金という文化に慣れていて心理的なハードルが少ないという文化の違いだろうか・・・・?
海外と日本版のUIの文言や内容が違うのは面白い。
Netflixアプリのスクリーンショット一覧はこちら↓
●アプリ内課金終了後の電話について
試しに電話をしてみた。
会社の先輩いわく
もしかしたら電話は独自実装なのでは・・?という説があったので気になり調査することにした。
●待機時間の案内について
非常に面白いなと思ったのが、後1分でおつなぎしますなど待機時間を教えてくれるところだ。
ちょうどクレカの解約の電話をしたあとにNetflixの調査をしたので気がついたのだが、どれくらい待てばいいのか教えてくれるってかなり良い体験だなと思った。
クレカの解約は待ちすぎて一回切ってしまった程のせっかちな自分でも待てた。電話での案内サービスは永遠に同じ音楽が流れ続けて、まだかな〜って待ってる時間がもったいないなぁと思ってしまう。
Netflixに電話をかけたときは1分後と言われたが、実際にオペレーターさんが電話に出たのは3分15秒後。どうやら正確というわけではないらしい。
それでも、事前にどれくらい待てば良いのかわかっているのでイライラしないなとおもった。
●実際の案内内容について
電話口でやり取りした内容
私< 会員になりたいのですがどうすればいいですか?
オペレーターさん< メールを口頭で教えていただければ、メールでご案内します。
私< メルアドは○○です
(メルアドを口頭で伝えたものの、なぜか届かない・・・・)
オペレーターさん<Gmailだったら、ソーシャルかプロモーションもしくは、迷惑メールに入っているかもしません
もし届かなければ、Safariの検索バーでNetflixと検索してください
手間的には
「メールアドレスを教えてもらって送る」より「Safariの検索バーでNetflixと検索」のほうが楽だと思うのだが、なぜ「メルアドを聞く」のだろう?
会社の先輩と話してみたところ
メールアドレスを手間をかけてでも集めていたほうが、サービスに興味をもっていて課金してくれる可能性が高いお客さんに向けて、メールを送信できるチャンスが増えるからなのではないか
という結論になった。
まとめ
並べて比較してみないと気が付かないことって多い。
こんなにやたらキャンセルに関する文言が並んでいるなんて、実機で動かしたときは気が付かなかった。
しかも、英語版だとキャンセルに関する文言は少ないという違いは、かなり面白い発見だった。
新UIの電話で会員登録のやり方を聞く方法も細かいところにユーザーを取り逃がさない工夫があっていいなと思った。
世の中の電話でお問い合わせしなきゃいけないものは、待機時間を教えてくれたらだいぶ幸せになるのになと思った。
アプリ内課金は確かに、ユーザー体験を高めるかもしれないが、ここまでキャンセルに関する表記が多いとそれって本当なのかな?と思ってしまった。
これから先Netflixがアプリ内課金を廃止して売上がどうなるのか、観察してみたい。
後編は、Apple課金対応していた時代のNETFLIXのUIを観察してみた話です。
参考文献
[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61
こちらを参考にしました。
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