
「恥ずかしい」とか「はしたない」が吹っ飛んだとき💃
ドイツで受けたヨニマッサージ師養成講座の第2モジュールのテーマは
官能、プレジャーだった。
4日間の合宿の2日目の午後
私たち10人の女性たちは
サロングと呼ばれる布だけ羽織って一人ずつマットレスに座わり
潤滑ローションと
ディルドやバイブなどセルフプレジャーのための玩具を用意して
「自分を愛でる儀式」に臨んだ。
私はと言えば
そもそもセルフプレジャーなるものを知ったのが
すでに出産してからという超おくて。
12歳の時のちょっとした性被害により
少女から女性になることを無意識におそれ
性的なことは自分には関係ないというスタンスで思春期を過ごしていた。
そんな私がシュタイナー学校の教師を辞めることになった時に
思いがけず降りてきたテーマが
セクシャリティ、女性性、この世に生まれ持った使命
という3点セット。
離婚を選択して
新しいパートナーとの関係において女性として目覚め
セクシャリティを心とからだを満たすコミュニケーションとして生きることができるようになり
性被害のトラウマも癒せた矢先だった。
降りてきた3点セットにどう取り組んだものかと
インターネットで検索し
見つけた女性性のワークショップをスイスまで受けに行ったことに始まり
そのワークショップから次のワークショップへ
と次々と道標に従っていった結果
1年後に女性が女性に施術するヨニマッサージなるものがあることを知り
これだ!と養成講座を受け始めたのだった。
ファシリテーターのナンガがシャーマンの太鼓を叩きながら東西南北の風のスピリットのサポートを招き
「自分を愛でる儀式」が始まった。
ゆるやかでソフトな音楽がかかり
私たちはゆっくりと自分のからだに触れ始めた。
私はマットレスに横たわって目を閉じ
手の趣くままにまず胸の中心からやさしく愛撫していった。
手が円や曲線を描きながらお腹の方へと降りていき
太ももの内側から膣の方へと滑らかに動いていく。
そのあたりで潤滑ローションを指につけ
陰唇をそっと撫で始めた。
いつの間にか音楽がダイナミックで情熱的なものへと展開していく中
ナンガが力強い声で
「さあ、みんな!声も出していくのよ!」
と促し
部屋中に仲間の女性たちのあえぎうめく声がひびきわたる。
氣づいたら私も手とからだが動くにまかせて声を発していた。
ナンガがさらにたたみかけるように
「時には目を開けて部屋中を見渡してもいいのよ!」
と呼びかけ
それまですっかり自分の感覚に没頭していた私は
ふっと我に返り
「え?みんなを見る?」
という発想に多少戸惑いながらも
遠慮がちに目を開け
まず自分の両隣に目をやり
そこから思い切って円形に10枚のマットレスが並んでいる部屋を一望した。
その私の目に映ったのは
それぞれのマットレスの上で横になったり膝立ちになって髪を振り乱し
あえぎながら踊るように裸体をくねらせている女性たちだった。
それはなまなましくなまめかしいいのちの祭典
生命力の発露そのもの。
そのとき目が釘づけになる私のからだを地中から立ち上がるエネルギーがつらぬき
私の中で何かがガーンと吹き飛んだ。
吹き飛んだのは
たぶん「恥ずかしい」とか「はしたない」というような概念。
セクシャリティが新しい命をも生み出すとてつもない創造力を秘めていること
それがあってこそ私たち一人一人が生まれてきているということ
その力をからだに目覚めさせることは限りなく甘美であると同時に
時には荒々しいほどに激しいということを目の当たりにしつつ
ただただ目を見張り
その場のエネルギーに身を委ねる自分がいた。
あれから11年。
何人もの女性のヨニをマッサージし
時には激しく
時には甘美な
その人ならではの息づきを感じさせる
生命力の発現に立ち会わせてもらっている。