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「情報量」がつくるフィクションのふかふか
照二朗です。ネオロマンス30周年でアンジェリークの記事が盛り上がってるよ。更新したいよ〜
体の調子は毎日つらいのよ〜レベルではなくなってきてたいへんうれしいが、まだ集中してパソコンの前に座れる状態ではないので、えっちらおっちら仕事に行く以外は寝転がって「フェイトグランドオーダー」と、あと新しく「リヴリーアイランド」を遊んでいる。
プレイしている人がいたらぜひおフレンド様になってほしい。いまお水あげる機会ともげる木の実、アイテム交換相手を血眼で探しているので。IDは hf3cmn9g 、プレイヤー名はマリモです。アイランドは湖底島。阿寒湖。
最近リヴリーアイランドをプレイしていて、作品のテーマとかじゃない部分なんだけどなんか気づいた知見があったのでリヴリー知らない人向けの紹介を含めてメモることにする。『水星の魔女』の話もしている。タイトルのとおり、「情報量」がフィクションに与える「ふかふか感」の話だ。
なんのこっちゃ?
ちなみに、先程のアンジェリークのサクリア読解記事のように、ぼくが本ブログのほうで読解しているようなゲームやアニメは総じて「ふかふかしている」とおもう。
リヴリーアイランドとは
ゲーム「リヴリーアイランド」を知らない人向けに軽く説明すると。
![](https://assets.st-note.com/img/1727834780-N0wEKgm1IRjToy2M9WQF8eOA.png?width=1200)
「リヴリーアイランド」は現在スマートフォン向けアプリゲームだ。「リヴリー」と総称されるいろいろな種類のカワユイ生物(画面中央のオオカミなどさまざまな種がいる)にごはんを食べさせ、お世話をするデジタルペットが中心だが、小さ〜いリヴリーのお世話をするためのプレイヤーの分身小人「ホム」(画面中央左方)や箱庭スペースをガチャアイテムで着せ替えるコーディネートゲームでもある。ストーリー攻略とかは無い。
「現在」スマートフォン向けアプリゲームだと含みのある言い方をしたのは、リヴリーアイランドはかつてはFlashを使ったブラウザゲーであり、今作はそれを現代向けのゲーム性にリブートしてわりと成功しているものだからだ。18年くらい前にこども照二朗もそのクラシック版を楽しくプレイしていたことがあるが、そこまで長続きはせずやめてしまった。今回は2005年からの出戻りだ。
長続きしなかったのは、やっぱりストーリー攻略とかがないからだ。ストーリーらしいストーリーのないゲームが悪い訳では全然ない。照二朗はゲームではストーリーの栄養をもっとも吸収するタイプのフレンズなので、たとえば母上はコーデゲーが好きでよく勧めてくるのだができたことがないのだった。でも相変わらずストーリー攻略がないはずの今のリヴリーアイランドはめちゃくちゃ楽しんでいる……それはなぜか?
リヴリーアイランドの世界観
リヴリーアイランドには、クラシック版のころから背景となる世界観がけっこうちゃんと存在する。
中世ヨーロッパにて錬金術師たちは、
秘かに不思議な生き物を生み出しました。
貴族や王族達のペットとなったその生き物たちは、
彼らの強欲さや繰り返される戦争により
一度は絶滅しました。
現代になって、独学生物学者のミュラー博士により、
その不思議な生き物たちは復活を果たし、
「リヴリー」と名付けられました。
中世の錬金術による人造生命体である。みんな大好き錬金術。ファンタジーと現実の時代ものの結節点。ここまではクラシック版の世界と同じ。その後リヴリーの研究は諸般の事情で打ち切られることとなり、ミュラー研究所は閉鎖(クラシック版のサ終をこのように表現しているのだろう)。そして現アプリ版でのリブートに際しこの設定が続いた。
それからリヴリーの研究は、ミュラー博士の
姪孫の独学化学者アキラ・ミュラーへ引き継がれ、
リヴリーの更なる普及と研究の拡大を目指し、
新たに世の人々へ配布中です。
プレイヤーはこの世界観のもと、「リヴリー研究の個人協力者」としてリヴリーを引き取ってともに暮らすことに志願したという設定で扱われる。ユーザーインターフェースもあくまで「研究所からのニュースレター(お知らせ)」「研究協力の報酬(ミッション)」「リヴリー箱庭アイテムショップのレシート(ガチャ結果)」というテイを徹底しており、リヴリー世界とスマホの前の現実が小粋に地続きにされているわけだ。
リヴリーとおさんぽできる世界も、クラシック版からすでに広大でさまざまな探索要素やギミックがあり、本当に知らないうららかな秘密の庭園を散歩しているような、あるいはゼロ年代の個人サイトの隠しページ探しのような、いちいちワクワクする仕掛けがある。
フレーバーテキスト世界
現アプリ版では、もともとのリヴリー世界観と秘密の庭探検的な手触りに加えて、さらに「ガチャテーマの世界観」も付与されてくる。
![](https://assets.st-note.com/img/1727519165-kPTKRlQnSy4ezuGObA5rgo8Z.png?width=1200)
このスクショ、ぼくの趣味でちょっと鬱蒼大盛り茂茂にしてあるが、古いデスクトップパソコンにコケや多肉植物が巣食っているのがわかるとおもう。パソコンのアイテムに多肉植物アイテムをぼくが勝手に組み合わせたのではない。こういうテーマのデザインなのだ。
ガチャには毎回「ストーリー」がついている。
20年前、とあるリヴリー研究員のコンピュータが故障した。研究データを管理・保管する為に大切に使っていた相棒を捨 てることができなかった研究員は、コンピュータを密かに物置部屋に保管した。月日が過ぎコンピュータの劣化は進み、共にしまわれていた多肉植物と内部の電子回路が融合し始めた。そして故障したと思われていたコンピュータはいつの間にか再び起動し、ずっと何かの演算を続けているようだ・・・
![](https://assets.st-note.com/img/1727519960-nXpeuMcvThsULSZzONl1o5ry.png?width=1200)
エモ……。 すべてのアイテムについて万事この調子(これはちょっと廃墟エモ系だけど明るいのもあるよ)だ。
つまりフレーバーテキストが丁寧に豊かに整えられているのだ。
ふかふかのフィクション
このフレーバーテキスト情報の豊かさによって、ぼくはリヴリー世界に楽しく滞在を続けられているのだと気付いた。
なぜなら、『ドラクエ11』『ドラクエ8』『ジルオール』『風花雪月』やペルソナシリーズ、ネオロマンスシリーズなどの好きなゲームたちは、平均より背後の情報量が分厚いタイプのものだからだ。
『水星の魔女』の有機性
話は変わるようだが、自前の読解文を「作中情報と現実の歴史文化を有機的につないでいる」的にほめてもらうことがけっこうある。有機的、すきな言葉である。
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