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殺し屋たちをやっぱり愛してしまう | 伊坂幸太郎「777」

 人間や人生の醍醐味を、感嘆して声が出てしまうほど鮮やかに書いてくださるのが伊坂さんなのではないかと思う。(ゴールデンスランバーにおいてそれが顕著かなと思っている)

 殺し屋シリーズの最新刊「777」を書店で目にし、帯の「物騒な奴らは何度でも!」というコピーを読んだとき、またみんなに会えるなんて!と嬉しくてにっこり微笑んでしまった。

 「物騒な奴らが群れをなす」なかで今回特に好きだったのは、ココさん、奏田、マクラとモウフ、乾。
 ココさんの生き様が素敵でチャーミングで、言葉の節々に温かみを感じて励まされた。
 奏田については、起業家だった経歴など傍らに置けるほどの人間的魅力、独自の素直な価値観とユーモアに魅了された。
 「恩知らずは運に見放される」
 前作の檸檬と蜜柑もこのタイプ?で大好き。
 そしてそれぞれが大活躍し、最後には乾が!

 信念というよりは、経験と知識に基づいた自分の哲学をもって、さらにユーモアを忘れずにいれば、いつも堂々と軽やかに生きられるのかもしれない。

 殺しはだめだとしても、魅力的なキャラクターたちが展開する物語によって、「本来人ってどう生きてもいいんだよな」と思わされる。自由に踏み出す勇気をなぜかくれる殺し屋小説、殺し屋たちを心から大好きで何度も会いに帰ってしまう。


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