この世界に、僕は独りぼっちだ

ハロルドの最後の台詞をもう使わなければいけない時が来るとは思わなかった。

「ずっと今が良い」は叶わなかった。

父は、「逞しくなったね」と言い残して私を置いて行ってしまった。

「あなたが居るから、私は逞しく生きられるんだよ」
そう思っていたのに。
眠る様に、父は逝ってしまった。
「75では早すぎる」
そうだ。
父は74だった。
早すぎるじゃないか。

父に何かあったら、元母が弟の面倒を見に来ると言うので
案の定私は顔を合わせて早々に倒れた。
それくらい私たちは噛み合わないし
それを知っているのは多分私だけなのだ。
だから脳みその構造が全く違う人とは折り合わない、と
平気な顔をして接しているのに
それが裏目に出て、
「私を散々攻撃してけろっとしている人」
と思われている。
私も同じことを思っているが
お互いに傷ついているので労ろうという事を考えないのだ。
自分だけが被害者だと思っているし
私の事も「被害者ヅラしてる加害者」だと思っている。
厄介過ぎる。
だから我慢していたのに限界を突破した。

そんな私を見て、弟も
「みんなわからない中手さぐりでやっているのだから、その程度でパニックを起こされても困る」
と放り投げた。
弟はマザコンだから「お母さんのせいだ」とは言えない。
実家では孤立しているのだ、私は。
「お前の頑張りは、俺が認めているから」
と言ってくれた人はもう居ない。

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