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養ってください、と言われた【一】


ある冬の日の真昼間に男から唐突に言われた。養ってください、と。

当然弱っているのだろうし、私に甘えたいのは分かる。しかし若造でもない男が、どう考えてもお金の余裕のない女にそんなことを言うその本心がみえない。全く見えてこない。
そして言われた私はというと、頭ではこいつイカれてる、と呆れながらもときめいてしまったのだった。心の奥の方がじーんと痺れたようだった。
人間とは、自分とは、歳を重ねるとさらに面白いみたいだ。

私が働いて稼いで、誰かを養う。養われるのはきもち悪くてからだに合わなかったけれど逆はいいのかもしれない?
自分以外にごはん作ってくれる人が居るのはいいよなあ、あと毎日話聞いてくれる大人の存在はでかい。なんでもない日々のことをだらだら話したい。そして少しでいいから褒めてほしい…とここまで考えて、あれこれって嫁が欲しい男の思考回路ではと気づく。ありかもしれん。いやきわめて危険だ。

私はもう結婚する気はない女だ。
でもセックスは、したい。
これって淫らですか。

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