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熊は「立てこもり」ではなく「居座り」であった事件

秋田県の秋田市に土崎という港のエリアがある。
そこで先日、地元でよく知られるチェーンのスーパーに熊がやってきて、従業員の男性を襲い、そのまま店内で棚の肉を全て食べ、篭城していたというニュースがあった。

幸い、50時間を超える立てこもりの末、熊は檻に捕獲されて軽トラの荷台に積まれてスーパーから出ていったようなのだが、このニュースが秋田のローカルニュースで報道されたものがYouTubeで公開されており、それをみて驚いた。

なんと、秋田県には

「クマダス」

というサイトがあるらしい。

生まれてから12年も秋田市で育ち、親族のほとんどが秋田県民である私だが、秋田を離れて久しく、クマダスなんてアメダスのもじりのようなものができていたとは全く知らなかった。さらに秋田県民からしてみれば、「んだすな」が標準語で「そうですね」の意味、「んだ」が同意の「そうだ」の意味、つまり「○○だす」というのは丁寧表現の語尾として非常に違和感のないものであり、「クマダス」は「熊ダス」つまり「熊です」「熊でございます」みたいな脳内変換され得るものであるのだが、リアルにニュースで「クマダスによれば、」云々カンヌンというアナウンサーの喋りを聞いている県民としてはどんな感じに聞こえているのだろうか。

しかしそんな冗談を言っている場合ではない。
ぜひご興味があれば一度、クマダスをご覧いただきたい。


土崎のイトクというスーパーに熊が立てこもった事件以外に、というか件の熊が籠城している間にもその近くで熊が目撃されているのである。
つまり熊は1頭ではないし、秋田市の車通りが多い場所にいたとしても、遭遇する確率は高いかもしれないということが、クマダスを見ていると想像される。

私が小さい頃、秋田県といえども、熊は山に入らないとなかなか遭遇しない生き物だった。それが今や、こんなにも日常との距離が近いものになっている。
人間が増えすぎて、動物たちの居場所を奪っているのだろうか。
熊たちは今、どんな気持ちなんだろうか。

それにしても、時々見かける、人間が凶器を持って建物内に人質を盾にして何時間も滞在しているのは「立て篭もり事件」であるが、熊は立てこもりではなく「居座り」なのだなというのも、なんだか興味を持つ表現であった。
まあ、熊が身代金を要求しているわけでもなく、むしろすでに身代金的なものとしては棚に陳列されていた肉が全て食べ尽くされていたようだし、武器は持たずに丸腰であったわけで(しかしその丸腰で充分強いから厄介なのだけれども)熊の場合は「立て篭もり」ではなく「居座り」とするというニュースの暗黙のルールでもあるのであろうか、と少々悩んだ。

最後に、熊との対面で怪我をされた方は、命に別状はないという話ではあったが、もちろん軽症ではないのだろうと想像する。1日も早い回復をお祈りします。

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MariKusu
温かいサポートに感謝いたします。身近な人に「一般的な考えではない」と言われても自分の心を信じられるようになりたくて書き続けている気がします。文章がお互いの前進する勇気になれば嬉しいです。