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においのしない世界
先日、38度台の熱が2日続いて出た。
インフルエンザのような、のどの痛みと咳の症状があり、頭もぼーっとして、結構辛い。
久々に風邪をひいたか、何かのアレルギーかな?と思った。
解熱して2日経っても、咳が良くならないので、病院に薬をもらいにいったら、
「関節痛はありましたか?念の為コロナの検査をしましょう。」
と鼻に綿棒を突っ込まれた。
数分後。コロナ陽性だったことが分かった。
え、まじか、と思う。
「そういえば今朝、KP3っていう新しい変異株のニュースがやっていたな…」
「なーんか味覚がぼやけてるかも?って感じたけど、コロナだったのかー」
と思い返す。
家に帰ってから、元々熱があったので、簡単に感染対策はしていたものの、あと2日自宅待機期間があるため、寝室に籠ることにする。
そういえば、香りを嗅ぐとスースーするハンドクリームがあったな、あれの香り、咳にいいかもしれない。
と、ハンドクリームのキャップをあけ、クンクンしてみると…
結構強い香りのハンドクリームなのに、
においが、全くしない。
え、こんなことってある!?
クンクンクンクンしてみても状況は変わらない。
え、まじかー
コロナ感染で味覚が無くなる、って聞いたことあるけど、嗅覚もなのー!?
検索してみると、感染者の3割?くらいに味覚または嗅覚に症状が出るそう。
しかも、2週間くらいで治るけど、完璧には元に戻らない、とも書いてあって、
「えー、このまま嗅覚が戻らなかったら…
猫のお腹のにおいが嗅げないじゃーん!」
とショックを受け、焦る気持ちがある。
いつも、おひさまに干した毛布のような匂いがする猫のお腹は、完璧に、無臭になってしまった。
でも、いいこともあった。
誰かが入った後のトイレ、数日溜めた生ゴミ入れ、
全く臭わない。
夏場の「うっ」と鼻に来るシチュエーションが、なくなった。
嗅覚って、色々な不快を教えてくれていたんだなーと思う。
一方で、昔読んだ、かがくのとも「あじ」の一節を思い出す。
確か、においが無いと、味は分からない。
りんごと柿を順番に食べても、どっちか分からない、とか、書いてあったな。
嗅覚が完璧に無い、っていうのは、今までなかったし、まぁいずれ戻るんだったら、どういう体験になるのか面白そうだぞ、という気持ちも出てきた。
昼に、夫が作ってくれた焼きそばを食べてみる。
焼きそばのもちもちした食感、塩味、スパイスの辛味、感じられる。美味しい。
夕飯に、オムライスを食べてみる。
トロトロの卵の、優しい甘み、感じられる。
白米をゆっくり噛んでみる。
ご飯の甘み、感じられる。
海苔を噛んでみる。
海苔の旨味が、とっても感じられる。
海苔ってこんなに旨味があるんだな!!!
香りがしなくても、食事って美味しく食べられるんだなー、と発見があった。
ただし、1品だけは別。
それは、コーヒー。
アイスコーヒーを、口に含んでみると、ただの苦い水。がっかり。
コーヒーは、香りを飲んでいるんだなーと思った。
あーコーヒーが美味しく飲めないの残念ー。
この状態いつまで続くのかな〜と思っていたら、
日を追うごとに少しずつ匂いが感じられるようになり、
コーヒーも、口に含んだ時に、鼻腔に微かにコーヒーの香りがするようになった。
猫のお腹の匂いはまだしていないが、(ぼんやりした匂いは感じにくいみたい)そのうちしてくるでしょう。と思う。
ほっとしたのと同時に、
りんごと柿の実験ができなかったのが、少々残念でもある。
(イラストの着色は小4の娘がibisPaintでやってくれました)