【シナモン】女性のカラダと365日のハーブ
2023年の冬至は明日12月22日となります。冬至とは1年で最も昼が短く、夜が長い日です。この時期には、温かい飲み物や料理が恋しくなります。そんな冬至にぴったりのスパイス、シナモンの魅力を掘り下げてみましょう。
冬至は、寒さが増し、体が冷えやすい時期です。シナモンは体を温める効果があり、冬の寒さに対抗するのに最適なスパイスです。また、冬の季節特有の悩み、例えば乾燥肌や風邪予防にも役立ちます。
基本情報
● 学名:Cinnamomum verum
● 原産地:スリランカ、インド、バングラデシュ
● 形態:常緑樹
● 使用部位:樹皮
● 収穫時期:年間を通して
歴史
紀元前2000年頃にエジプトにもたらされたシナモンは、ミイラ作りの防腐剤として使用されていました。当時、非常に高価なシナモンは神々への捧げものや、統治者への贈り物として重宝されていました。
また、中世ヨーロッパでは、シナモンの生産国や詳細が秘匿されており、商人たちによってその秘密が守られていました。十字軍とともにエジプトへ向かったジャン・ド・ジョアンヴィルは、「シナモンはナイル川の向こうで網を使ってすくい上げられる」と記録しています。さらに、シナモン鳥が未知の世界からシナモンスティックを拾い集め、アラブの地に巣を作るという話も伝えられています。
名前の由来
シナモンの名前の由来は、その歴史的なルートをたどることで明らかになります。英語の「cinnamon」は、ギリシャ語の「κιννάμωμον(kinnámōmon)」から来ており、このギリシャ語はフェニキア語から借用された言葉です。このフェニキア語は、ヘブライ語の「קינמון(qinnamon)」と類似しているとされています。また、英語で初めて記録された「カシア(cassia)」という名称は、ラテン語からの借用であり、その語源は「樹皮を剥ぐ」という意味のヘブライ語の動詞「qātsaʿ」の一形態である「q'tsīʿāh」に由来します。
さらに、英語の「cinnamon」がギリシャ語の「kinnamon」が語源になっており、この「kinnamon」はヘブライ語の「qinnamon」が語源になっていることが示されています。地中海を舞台に海洋交易で栄えたフェニキア人経由で伝わったと言われています。属名の「cinnamomum」は古代ギリシャ語で「シナモン」を意味する「κιννάμωμοン(kinnámōmon)」を由来としています。
これらの情報から、シナモンという名前は古代地中海地域の言語から派生し、交易と文化的交流を通じて現代の言語に取り入れられてきたことが分かります。フェニキア人がこの交易に大きな役割を果たし、その結果、シナモンは世界中で知られるようになったのです。
シナモンの別名や品種
シナモンにはいくつかの別名があります。これらの別名は、シナモンの生物学的種類や地理的起源に基づいています。
肉桂(にっけい、にっき):日本でシナモンとして一般的に知られる名称です。ニッキ飴などの和菓子で使用されることが多いです。
セイロンシナモン(錫蘭肉桂):スリランカや南インドなど熱帯地方原産のシナモンで、学名はCinnamomum verumやCinnamomum zeylanicumとされています。
カシア(支那肉桂):中国やインドシナ原産のシナモンで、学名はCinnamomum cassiaやCinnamomum aromaticumとされます。北アメリカで最も多く流通しているタイプのシナモンです。
ニッキ:日本産の肉桂(Cinnamomum sieboldii)を指します。
これらの名称は、それぞれシナモンの異なる種類や起源に対応しており、地域や用途によって使い分けられています。
日本のシナモン
ニッキ(肉桂)の名前の由来に関しては、江戸時代にシナニッケイの樹木が日本に伝来し、国内で栽培が始まったことから、「ニッキ」という名前が流通するようになったとされています。ニッキは、日本産の肉桂を指し、伝統的な和菓子であるニッキ飴や八つ橋に使用されています。収穫量が少ないため、シナモンよりも高価であるとも言われています。
シナモンの栽培方法
育成条件:
日当たり:日なたが望ましい。
土壌酸度:中性の土が適しています。
植えつけ:鉢植えが良く、冬場に10度を下回る環境では厳しいため、越冬して長期栽培が必要です。
株選びと植え付け:
大きく育つ植物なので、幹が太くしっかりした株を選びます。
葉脈や光沢のある葉が豊富な株を選ぶとよいです。
寒さに弱いので、冬の間の管理が良好なものを選ぶことが重要です。
植え替え:
鉢植え栽培の場合は、植え替えを考慮して鉢を選びます。
暖かくなった4月~5月に植え替えを行うと良いです。
一回り大きな鉢に植え替えることで大きく成長します。
土作り:
肥沃な土を好むため、観葉植物用の土が適しています。
自前でブレンドする場合は、赤玉土6と腐葉土4の割合で混ぜたものが良いです。
水はけが良い土壌を好みます。
温度管理と水やり:
温かい国が原産地なので、寒さに弱く、生育に適した温度は20度程度です。
冬場は10度以下になると厳しいため、室内での栽培が適しています。
春から秋にかけては水切れに注意し、冬場は水のやり過ぎに注意が必要です。
日光と成長管理:
日当たりを好むため、屋外に出して日に当てることが重要です。
屋内栽培の場合は日光不足に注意し、日中は窓際で十分に日当たりを与えます。
鉢植えでの生育管理を行い、これ以上大きくしたくない場合は枝を切り詰めて成長をコントロールします。
特徴的な成分
シンナムアルデヒド:シナモンの主成分であり、桂皮アルデヒドとも呼ばれています。40℃前後で最も香りを発散する成分です。
オイゲノール:シナモンに含まれる芳香成分の一つです。
サフロール:シナモンの香りに寄与する成分の一つです。
これらの成分は、シナモンが「スパイスの王様」と呼ばれる理由の一つで、香り高い特徴をもたらしています。
風味
風味:シナモンは甘くて濃厚な香りが特徴です。この香りはシナモンに含まれる成分オイゲノールによるものです。風味は穏やかであり、はちみつと一緒にトーストにかけて食べたり、風味が抜けたコーヒーなどと一緒に飲んでもおいしくいただけます。
香り:シナモンの香りは甘く、やさしくほのかな甘い香りがします。この香りはシナモン特有のもので、カシアなど他の似た種類とは異なります。カシアの香りはより強く、芳しさに欠ける場合があります。
味:シナモンは甘い香りがしますが、味に甘味はありません。また、かすかな辛みも持っており、古代ローマやギリシャの時代から、その香りを活かした料理やワインの風味づけに使われてきました。
シナモンのこれらの特徴は、多くの料理や飲み物において香りや風味のアクセントとして使用されています。甘い香りとマイルドな風味は、シナモンをスパイスとして非常に人気のあるものにしています。
毒性
シナモンに含まれるクマリンには毒性があり、摂取量が多すぎると肝臓や腎臓の損傷をもたらす可能性があるため、ヨーロッパでは最大上限摂取量が設けられています。この成分は抗酸化作用を持ち、健康効果がありますが、肝毒性もあるため、多量に摂取すると肝臓障害を患う可能性があります。
シナモンの効能
シナモンは体を温め、血行を促進する効果があります。これは冬の寒い時期に特に有効で、風邪予防や免疫力の向上に役立ちます。また、消化を助け、リラックス効果もあるため、ストレスや疲れが溜まりやすいこの季節に適しています。
シナモンの活用法
シナモンはホットドリンクやデザートに加えることで、冬の食卓を豊かにします。例えば、シナモンティーやアップルパイに少し加えるだけで、香り高い風味が楽しめます。また、お風呂に入れてアロマ効果を得るのもおすすめです。
シナモンの注意点
シナモンに含まれるクマリンは過剰摂取に注意が必要です。特に妊娠中や授乳中の女性は、摂取量を控えめにすることをお勧めします。
まとめ
シナモンは、冬至の寒い時期に体を温め、心を癒すスパイスです。この冬、シナモンを上手に活用して、冬の美味しさと暖かさを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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