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【インタビュー#02】地域の魅力を発信し続ける!ジャーナリストとしての生き方に迫る【前編】
ライターのわたなべ真理子です。
自主企画インタビューシリーズ第2回は、地域創生ジャーナリストの巻島大樹さんをご紹介します。
巻島さんは、総務省「ふるさとづくり大賞」の受賞者をはじめ、300人以上に取材を行い、地域活性化に深く携わってきた実績をお持ちです。また、アメリカの「CNN」の仕事も手がけた経験があり、グローバルに活躍されています。
巻島さんの地域創生の事例集はこちらから↓
巻島さんは学生時代に映画監督を目指していましたが、就職氷河期の影響で映画業界への道が閉ざされ、テレビCM会社に就職しました。その後、どのようにして地域創生ジャーナリストとしての道を歩むことになったのか、約1時間たっぷりと話を伺いました。
ただ、巻島さんのこれまでの道のりをすべてお伝えしたいと思った結果、かなりボリュームのある記事に。そこで、前編と後編の2部構成に分けてお届けします。
前編では、映画監督を目指していた学生時代から、地域創生ジャーナリストとして活躍する現在までを振り返ります。後編では、地域イベントへの関わりや、これからの目標についてさらに深掘りしていく予定です。
ぜひ、最後までお付き合いください。
インタビューのきっかけ
インタビューのきっかけは、私が参加しているコミュニティ「note運用チャレンジ部」のメンバー森崎遼平さんからのある一言でした。
森崎さんは、私が自主企画でインタビュー協力者を募集しているのを知り、ある日「応募はありましたか?」と気にかけて連絡をくれました。
このとき、「先日僕が知り合った地域創生の活動を取材されているライターさんにインタビューするのはどうでしょうか?」と提案までしてくださったのです…(この瞬間、遼平さんって神?って思いました)。
つまり、巻島さんとのインタビューは遼平さんのおかげで実現しました。
遼平さんは現在、福島応援サポーターとして活躍されているライターさん。地域(地方)活性化を目指して活動している巻島さんは憧れの存在だそうで、先日インタビューを依頼したばかりとのこと。そんな憧れの方を今回ご紹介いただけたことに、とても感激しています。
実際に巻島さんにインタビューさせていただき、地域を元気にしたいという熱い思いと確かなビジョンに触れることができました。これまで知らなかった地域創生ジャーナリストの具体的な取り組みを知ることができ、なにより真摯な人柄に心が動かされました。
遼平さんが憧れる理由がよくわかります!
テレビCM会社が1年で倒産!偶然のご縁でインターネットテレビ局で働くことに
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ーーこの度はインタビューの機会をいただきありがとうございます。まずは、これまでのご経歴についてお聞かせいただけますか?
はい。僕は埼玉で生まれ育ち、かれこれ40年以上地元に住んでいます。学生時代から映画が好きで、映画監督を目指していたんです。当時はYouTubeなどで気軽に作品をつくれる時代ではなく、映画監督になる道は限られていました。
しかも、就職活動をしていた頃はちょうど就職氷河期のさなかだったため、映画会社の採用枠がなくて…。とりあえず、テレビCM会社に入社しました。
当時、音楽のプロモーションビデオ制作会社の出身者が、実績を上げて映画監督になるケースが増えていたので、僕も同じ道を目指したわけです。ところが不景気のあおりを受け、テレビCM会社が1年で倒産してしまいまして…。
その後、映像に関する次の仕事を探す中で、ちょうどインターネットの普及が進み、動画配信や「ビデオジャーナリスト」という職業がアメリカで注目されていることを知りました。
その頃日本でも、動画配信やインターネットテレビの可能性に着目している会社があったんです。それでたまたまご縁があって、様々な企業の出資を受けて立ち上がったばかりの日本初となる「インターネットテレビ局」で働くことになりました。
インターネットテレビ局の取り組みの一つに地方活性化があった
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ーーインターネットテレビ局では、どのような仕事をされていたのでしょうか?
この会社は、社会の問題解決に取り組んでいて、安全保障や社会保障などの課題に関する情報発信をしていました。その中で「地方活性化」も重要なテーマとなっており、僕も地域を訪れて取材を重ねるうちに、地方活性化への関心が深まっていきました。
僕はずっと埼玉で暮らしていたので、地方の実情を深く知る機会は少なかったんですよ。それもあって、さまざまな地域を取材するうちに、「活性化」というテーマに対する関心が高まっていきました。
また、当時は都会から地方へ移住して地域課題の解決に取り組む若者に注目が集まり始めた時期でした。その流れを受けて、2009年に総務省が「地域おこし協力隊」の制度をスタート。2014年には内閣に「地方創生大臣」のポストが新設され、初代大臣に石破さんが任命されました。
このような時代背景もあり、地方活性化の取材にやりがいを感じるようになったんです。
ーー実際に地方の活性化に携わってみてどうでしたか?
最初に感じたのは「面白い!」ということです。
地元の情報は地元の新聞やメディアで取り上げられることが多く、全国に広がることは基本的に少ないんですよ。
東京と地方を行き来しながら取材するというスタイルの人は、なかなか見かけません。大手のテレビ局でも、各地域ごとに担当が分かれていて、例えば東北なら東北のテレビ局、関西なら関西のテレビ局の人が取材・発信しています。
その中で、普段は東京に住み、中央省庁の官僚や国会議員、日本を代表する企業の方々と直接会って話を聞いて、一方では地方の実態についても触れることができる! そこに自分のジャーナリストとしての存在意義を感じます。
ーーそう言えば巻島さんの肩書きは「地域創生ジャーナリスト」となっていましたが「地方創生」と何か違いがあるんですか?
「地方創生」という言葉には、中央に対する「地方」という意味が含まれており、どうしても上から目線に感じてしまいます。中央集権的な視点が強い言葉だと言えます。
僕には東京大学の名誉教授である月尾嘉男先生という恩師がいて、その方から多くのことを学んできました。その先生が、国家主導の「地方創生」よりも地域主導の「地域創生」であるべき、と話していたんですよ。
現在の仕組みでは、中央政府が決めた枠組みと予算内で地方自治体が事業を進めるため、地域の実情に合わないことが多く、無駄な補助金が使われることも多々あります。
江戸時代のように「地域が自ら行政や産業を推進することが重要だ」というのが先生の考えです。
また「地方」という言葉は田舎に限定されがちですが、「地域」は都会も含む広い意味を持ちます。私の活動拠点である港区も東京の一地域であり、そこにも地域課題があり、改善しようとする活動が行われています。だから、都市部も含む広い視点で取り組む僕には「地域創生」の方がしっくりきます。
ーーなるほどです!話は変わりますが、地域創生ジャーナリストとして今、もっとも力を入れている活動は何ですか?
数年前から取り組んでいる「関係人口」を増やすことです。関係人口は、最近注目されている地域創生のキーワードなんですよ。
これまでの地域創生では、観光などで訪れる「交流人口」が経済効果を生む一方で、地域社会の基盤にはなりませんでした。
でも、関係人口は少し違います。関係人口とは、定住ではなく、短期間の滞在を通じて仕事をしたり、地域の人と交流したりする人たちのことを指します。リアルな交流だけでなく、オンラインでのつながりも含まれるんです。
例えば、普段は別の場所に住んでいる人たちが、地域の課題解決に参加することで、その地域に経済的・社会的な影響を与えるという事例が増えてきています。
今、どの県でも「定住人口」を増やすことに力を入れていますが、日本全体の人口減少を考えると、どうしても限界があります。確かに移住に関心を持つ人も増えてきていますが、それだけでは解決できません。
だからこそ、僕は「関係人口」に注目しているんです。
人口減少地域では、小さな力も大きな貢献に繋がる
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ーー現在、富山県氷見市の八代地区にも足を運ばれているとのことですが、そこでどのような活動をされているのでしょうか、具体的に教えてください。
氷見市での取り組みも、僕は「関係人口」に繋がる活動だと考えています。実際に、仕事の取材を通じて地域の方々と交流が深まり、「プライベートでも情報発信してほしい」と頼まれて、ホームページ「地域の番人」を立ち上げました。
できることには限りがありますが、それでもできることを精一杯やろうと決めています。
ーー素晴らしいですね…できることを精一杯やるって大事ですよね。
東京のように人口が1,000万人を超える地域では、一人が何かを始めても影響力は非常に小さいです。対して、氷見市の八代地区のように人口が500人くらいの場所では、一人の活動が地域に影響を与える可能性があります。そこにやりがいを感じています。
少しでも多くの人が地域の活性化に関わってくれたら嬉しいですね。
ーー高齢化が進んでいる地域では、情報発信はほとんどできていない、もしくは発信されたとしても、1度だけで終わることが多いと聞きます!
そうなんです。どんなに素晴らしい活動をしていても、高齢者が多い地域では、情報発信の手段が限られているのが現実です。そのため、せっかくの取り組みが世の中に知られないことが本当に残念だと思います。
そんな思いもあり、ホームページやSNSの運営、YouTubeでの動画配信、講演など、さまざまな形でお手伝いをさせていただいています。
ほとんどがボランティアとして関わっていますが、この活動自体が好きなので、最近では自然とライフワークのようになっていますね。
もちろん、生活をするためには収入が必要なので、ジャーナリスト活動とは別に都内のIT企業でマーケティングの仕事をしています。安定した収入があるおかげで、好きな活動を続けることができているという状況です。
地域ジャーナリストとしての魅力と仕事に対するこだわり
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ーー地域創生ジャーナリストの魅力ってズバリなんですか?
たくさんの人と交流できること、これに尽きますね。ライター業だと、パソコンに向かっていることが多いと思います(取材ライターは別ですが)。
一方、ジャーナリストの仕事は取材がメインです。実際に人と会って話を聞き、それを情報として発信していくのが仕事なわけで…。普段会えない人とも会えますし、それがジャーナリストの醍醐味だと感じています。
ーー地域ジャーナリストとして普段意識していることはありますか?
自分の意見を持つこと、そして自分の視点を大切にすることです。
調べれば書ける記事ではなく、そこに「その人なりの意見」があるから面白い記事になります。
ジャーナリストを名乗る以上、自分の意見がなければ本当の意味でのジャーナリストではないですからね。
ーー私もライターとして活動してから、自分の意見を持つことを意識するようになりました。おっしゃる通り、心に響きます。
以前、アメリカのCNNに日本の情報を提供する仕事をしていたことがありまして…CNNが求めていたのは、単なるニュースではなく独自の意見でした。
その経験からも、ただ事実を伝えるだけではなく、自分の視点や考えを加えることが重要だと常に意識しています。
前編を通じて見えた、巻島さんが抱くジャーナリストとしての信念
事実をそのまま伝えるのではなく、自分の視点を加えて深く掘り下げる。その姿勢こそが、ジャーナリズムの本質であると巻島さんは強く感じています。
地域創生ジャーナリストの魅力について、「たくさんの人と出会えること」と語る巻島さん。その言葉には、20年以上にわたるジャーナリストとしての豊富な経験と、地域への深い思いが込められていました。
「できることには限りがあるけれど、それでもできることを精一杯やろう!」
地域の課題を単なる取材対象としてではなく、自らの使命として捉え、共に解決していこうというその姿勢に共感しました。
次回の後編では、巻島さんが地域創生ジャーナリストとしてどのように活動を展開しているのか、その具体的な取り組みをさらに深く掘り下げていきます。どうぞお楽しみに。
インタビュアーの紹介
改めまして、私はライターとして約4年活動しており、現在はWeb記事や書籍の文章を書いています。
SEOやコラム記事の執筆、編集などのお仕事に加え、インタビュー記事も手掛けており、ご自身の思いをストーリー化するお手伝いをしています。
私の詳しい自己紹介はこちらから↓ もしよろしければぜひ見てくださいね。
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長文、最後まで読んでくださりありがとうございました✨