沖縄三島ツアーのこと1〜準備編〜
発端
このほど、御舟/Miuniと一緒に沖縄三島(本島、石垣島、宮古島)ツアーを終えた。あんまりいろんなことがあって、どこから書いたらいいのかわからないのだけれど、とりあえず発端から書いてみる。
御舟と書いてミウニと読む。宮古島の方言で舟のこと。覚えやすくて語感もいいユニット名だ。メンバーは與那城美和(唄、三線)、川満七重(唄、三線)、池村綾野(ピアノ/キーボード)、池村真理野(サックス)の四人。それぞれが、音楽の活動をする中で出会い親しくなり一緒に演奏を時々するようになって5年くらいたつのだそうだが名前がついたのは最近とのこと。
美和さんも、七重さんも、古典芸能として宮古民謡を学んで演奏活動をしている実力者だけれど、元Black Waxの池村姉妹の奏でるピアノやサックスといった西洋楽器との組み合わせで、歌が一味ちがった味わいになっている。古典芸能や保存会は、型を踏襲してそれを縦に伝えていくというやり方だけれど、Miuniではいろんな音楽の要素を取り入れて横に広がっていくイメージがある。
民謡の音階をベースに環境音楽みたいにファッショナブルにアレンジして聞かせる手もあるのだろうけれど、Miuniの手法はそれとは違う。歌のメロディや言葉をないがしろにせず、歌を歌としてきちんと演奏しようという意思が感じられる。それは歌に寄り添うようなピアノやサックスの響きからもわかる。
初めて聞いて、うわー素敵と思って、誰かに聞かせたいなと思った。例えば島根の人に。なんとかやりくりしてがんばれば呼ぶことはできるだろう。でも、その一回で満足したらあとが続かない。島根に呼ぶのは目標としておいて、その前に彼女たちの地元の人に知ってもらうのが先かも、ってなんとなく思った。わたしもそうだけど、地元の応援があればがんばれるから。
2021年の暮れに、FM山陰「浜田真理子のご機嫌さんで」のお正月特番のための録音で宮古島に行ったとき、まずは沖縄県内ツアーをしようよと誘ってみた。「そういうことやってみたいけどどうすればいいのー?」ともじもじしていたから、「対バンでライブしようよ。ただ『ライブさせて』って頼めばいいんじゃない?」と言った。不安なときはみんなでやろう。わたしのお客さんにも聞いてもらえたら嬉しい。年が明けてコロナが落ち着いたらすぐに動き出した。
桜坂劇場は5年前に行ったきりだったけど、連絡をしてみたら代表の野田さんがすぐに「おもしろそうですね」とOKをくれた。石垣島にはわたしは行ったことがないけど、Black Waxのライブで行ったことがあるとJazz Barすけあくろに真理野が話をつけてくれた。あとは地元宮古。これは自分達で主催しようと場所探しをしてもらった。
決めたのはできたばかりの宮古島未来創造センター、図書館も併設する大きな公民館だ。ホールがあるからそこにしようということになった。ライブハウスも考えたけれど、コロナのこともあるから少し大きめなホールで、密を避けた方がみんなが安心して来れるのではと相談したのだった。まだあんまり使われていない場所のようで、様子はあまりわからなかったけれど、税金で建てたものなんだから使わないと損じゃない?ってことで。
この時点で、多分赤字だろうなと思った。コロナ禍だし、集客もわたしたちの知名度ではそんなに多くないだろうし交通費もかかる。島から島へ、全部飛行機だからだ。(島根は島じゃないけど、移動は飛行機で、陸の孤島と言われる所以笑)チケット収入も最初からわかっている。人数で割ったらもらえるギャランティは減る。仕方がない。でもどれくらい赤字になるかはまだわからないし、赤字もみんなで割れば大したことはないはず笑。得るものはきっと大きいよね。とにかく、案ずるより生むがやすし。大事なのは自分達で企画をするということ。最初の一歩を踏み出さないことには始まらない。(「沖縄ツアーのこと2」につづく。)
一週間に一度くらいの頻度で記事をアップできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。