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小暑

 小暑は、夏の始まりで大暑の前にある。梅雨に入って土砂降りと晴天の繰り返し。わたしは晴れ女で、旅先でもほとんど雨にあわないのだが、ニュースでは各地で線状降水帯が発生して浸水被害や土砂崩れなどが起こっているようだ。もはやこれは雨季。「気をつけて」と言うけれど、実際どう気をつければいいのか。

 全県ツアーは先月の浜松39県目で小休止。40県目は7月20日の群馬県前橋市のライブまでお待ちくださいませ。しかし、群馬、埼玉、栃木など特に暑い地域を残して7月8月を迎えることになろうとは・・・。できるだけ、暑い時期にはツアーをしたくなかったんだけどなあ。なんでそうなるの!(ぴょーん!)お願いだから40度とかになりませんように(祈祈祈)。

スタッフ作の看板

 さて、6月22日は久しぶりに松江でライブだった。グッドラックヘイワのツアー「二人大名」のライブに地元ゲストで出演。会場は松江市の玉造温泉のゆーゆコンベンションホールにて。先月は宮古島のライブハウスグッドラックで、「グッドラックコンベンション」というイベントに参加したばかり。なんだかグッドラックとか、コンベンションとか、つながってておもしろい(し、ややこしい)。

 この日山陰地方は梅雨入り。満月の日だったから、晴れたら月見ができると期待したけどしっかり降った。グッドラックヘイワの伊藤大地くんもかなりな晴れ男なので、もしやと思ったけれど梅雨入りの雨にはかないませんでした。晴れ女のわたしの力も及ばずでござった。

ゆーゆは地元の人には知られた温浴施設だ。昨年だったか、営業をやめる云々というニュースが出て地元がざわついたけれど、どうやら違ったみたい。「やめるんじゃなかったの?」と聞いたら「やめないですよー、誤解ですー」と施設の人も言っていた。コロナ禍の赤字をニュースが先走りしたのだそうだ。今は黒字に回復しているとのこと。よかった。お話を聞いたその方はずっと前に(2009年)にわたしが市立病院でロビーコンサートをした時に病院で働いていたそうだ。うわ、もう15年も前なんだな。ご縁は巡るものですね。

 それはそうと、ここに立派なホールがあるのを知らない人は多い。わたしはといえば、前に大塚まさじさんや中川イサトさんのライブを見に来て以来な気がする。30代だったのでは。あまり昔すぎて記憶がおぼろだ。200人くらいは楽に入れるので、イベント会場を探している方はぜひ。

リハーサル風景。窓の外には湯煙
熱気むんむん

 さて、グッドラックヘイワ。キーボードの野村卓史さんとドラムの伊藤大地さんのインストゥルメンタルバンドだ。舞台のセッティングはドラムとキーボードがかなり鋭角なV字型に向かい合うようにしてセットされていた。この日、わたしも大地くんと1曲一緒に演奏することになっていて、こんなに向かい合って歌うのは恥ずかしいので、リハーサルで少しキーボードを斜めに動かしてもらった笑。


2018年夏Lounge Roses のレコーディング時

 伊藤大地くんと出会ったのは久保田麻琴さんの紹介で。アルバムやライブにたくさん参加していただいている。口笛も上手だし、歌うように叩くドラムも素晴らしい。前回松江の興雲閣に彼らがライブに来たのが2018年。それ以来のグッドラックヘイワのライブ。すごくよかったなー。曲自体はシンプルなんだけどある時はエモーショナルに、ある時はクールに演奏してかっこいい。卓史さんのペンタトニックなスケール感は独特だなあ。大人も子供も体を揺らして楽しんでいる様子が見えた。

野村卓史さんと

 わたしはオープニングで40分ほど演奏させてもらった。いつものお客層と違うので選曲かなり迷った。グットラックヘイワなのだし、翌23日は沖縄慰霊の日だったのでこの日は「教訓1」を歌った。いつの間にか反戦歌のレパートリーがものすごく増えてしまった。残念だ。歌わざるを得ない状況が続いているから。子供を殺して何が国か、何が未来か。

ソロパート1
ソロパート2

 大地くんにも入ってもらって一緒に演奏したのは「忘れ音」。口笛でイントロや間奏を吹いてもらっていい心持ちだった。1曲だけのセッションのつもりだったけど楽しくなって「わたしたちのうた」にもおつきあいいただく。近くで演奏すると一緒に歌っているような気持ちになるね。というか、大地くんが一緒に歌ってくれているのがわかる。「またやりたいね」と言ったら「まりちゃん大ちゃんでやりますか」と笑ってた。MCでは鉄道の話で盛り上がる。二人ともまだ新型やくも乗れてませんー。

まりちゃん大ちゃんセッションタイム

 主催はカウアンドマウス。随分前に、神戸でのイベントにもお誘いいただいたイベンターさんで、久しぶりの再会嬉しかった。この日出店をしたり物販の手伝いをしていたりする若者たちが、みなグッドラックヘイワのTシャツを着て楽しそうに働いているのがとても印象的だった。かわゆす。

スタッフのみんなを撮る大地くんを撮る
湯煙もくもく
打ち上げ@たかしま食堂

 ライブは土日なので平日はラジオの収録に行ったり、コラムの原稿を書いたり、母と買い物に行ったり、病院に薬をもらいに行ったり、娘とお茶したり、美容院に行ったりちょこちょこバタバタしている。それから敷物をかえたり、エアコンのそうじもしたりして喉がちょっと腫れた。そのわりには本も読んでいる、というか、忙しいと本が読みたくなる不思議。全県ツアーやこの先の仕事のことを考えるといっぱいいっぱいで息ができなくなりそうなのでね。あんまり難しい本は読まないで、探偵ものとか、捕物帳みたいなのを読んで気持ちを落ち着かせている。今読んでいるのは「鯖猫長屋ふしぎ草紙」ちょこっと幽霊が出たり、猫が事件を解決したりの人情江戸話。

猫の絵につられて買った

 山形県鶴岡市には初めて行った。全県ツアーでは既に山形市には来ているが、今回のライブは4年前にオファーをいただいていたもの。コロナで中止になりそのままになっていたがそろそろいいかもと再びお誘いを受けたのだった。場所は曹洞宗のお寺、玉川寺。

庄内平野

 鶴岡へは、出雲→羽田→庄内の二段跳びでマリノとはるばる出かけて行った。迎えに来てくれたご住職の斎藤広海さんの車に乗って庄内空港から庄内平野を通って町へ。平野が広くて山がきれい。鳥海山とか、月山とかがぐるりと遠くに見える。夏スキーができると言われたが、ちょっと意味がわからなかった。「あ、草の上で?」とか聞いてしまった。ははは、無知。冬には雪が多すぎでスキーができないので、ほどよく雪がとけた夏がちょうどいいのだとか。ぇー。やっぱり意味がわからない。マリノは、終始ぽかんとしていた。平野の写真を撮ってみたが、広さがおさまりきらず変な感じに。夜、ご住職夫妻と会食。初めてお会いした奥様は幸(こう)さんというお名前。明るくて素敵な方で同世代。お話盛り上がる。

 ライブの朝はすっきり晴れて、一瞬梅雨明けかなってくらい気持ちのいい青空だった。蛍は少し湿度がある方がよいと聞いたが、今夜はお出ましあるかな。午前中のうちに加茂水族館、通称カモスイに行く。ここは経営難だったのを、クラゲの聖地にして持ち直したという有名な水族館だ。クラネタリウムというネーミング笑。土曜日だったせいか家族連れが多く混んでいた。88種類のクラゲや、魚や人もたくさん見た。クラゲって海にいたら刺されるから嫌だけど水槽の中にいるのを眺めるのはいいね。淡く光るもの、ふわふわしたものってなんでこんなに癒されるんだろう。

クラゲを撮るマリノ
クラゲとわたし
クラゲとわたしたち
たら
たらの幼魚

 お昼は「麦切り」を食べる。どうみても細うどんだが、「麦切り」という山形名物。つるつるっとそしてコシがあって美味しかった。地元の人も観光客もひっきりなしに訪れる名店だった。

麦切り

 それにしても玉川寺、大きなお寺でたまげた。お寺でライブをすることはたくさんあるので、それ自体は驚かないけれどここは広い。何度も迷子になる。庭も広大である。ここでは毎年一回蛍が飛び交う季節に合わせて「蛍を見る会」コンサートを開催している。コロナ禍でしばらくお休みだったから、久しぶりの開催でみんな楽しみにしているそうだ。

向こうに見えるのが門
ライブ会場
お庭
緑がまぶしい
庭に立つ緑の化身
日が暮れてそろそろ蛍

 たくさんのお集まりで楽しく嬉しく歌わせてもらった。檀家の方、ご近所の方、それから前に山形のライブに来てくださった方など、いろんな再会もあった。山形市の文翔館やノイジーダック、酒田市の希望ホールなど、思えば山形何度も行ってますね。リクエストにも応えつつ、お寺ライブらしく瀬戸内寂聴さんの映画「あちらにいる鬼」で使われた「恋ごころ」や、30代の時いろいろ辛くて写経ばかりしていた頃に書いた歌「流転」などを歌った。

 蛍が飛び始めたら演奏をやめることになっていた。それは8時ごろと聞いていた。開催の挨拶で「このライブのために庭を掃除して、草を刈ったからもしかしたら蛍もいなくなったかも」と不穏な話をご住職がされたので、飛ばなかったらどうしようと歌いながら気が気でなかった。真顔で冗談を飛ばすご住職なんである。昼間晴れすぎていたしなあ。けど、ライブが終わる頃にはちらほら、ぽつぽつと小さな灯りが見えていた(ようだ)。

渡邉せんさん、だがやさん

 終演後は物販コーナーでCDを買ったり、蛍を眺めたり、お客さんも思い思いにのんびり過ごしていた。わたしも片付けの手を止めて見に行った。蛍なんて見るの何年ぶりだろう?だがやさんが「何十年ぶりに見た」と言っているのを笑ったけど、そういえばわたしも何十年ぶりかもなあ。

写真一応トライしてみた

 写真にはうまく撮れなかったので、心のカメラで撮りました。蛍ってあんなに光るんだなー。携帯の光くらい遠くからでもちゃんとわかる。高いところにもいたのは、星と間違えた。あとで聞いたらオスが高く飛んで、低いところに飛んでいるメスをめがけて急降下するらしい。すごーい。ここの蛍はゲンジボタルだそうです。いろいろ勉強になりました。

 打ち上げは、スタッフの皆さんと寺のカフェ「水月庵」で。山形大学の大学生さんたちが1日がんばって働いていたのでCDをプレゼントしようとしたらプレイヤーを持っていないと言う。苦笑。そういう時代ね。でもここ水月庵ではレコード『Mariko』を聞いて過ごしたよ。君たち、大学の先輩の遠藤ミチロウさんを知っているかな。

ご住職夫妻とスタッフの皆さんと

 帰り道星がきらきら瞬いていた。朝からクラゲや蛍や星や、光るものばかりを見た1日だった。

「日本の猫」カレンダー

 と、素敵に締めて終わろうと思ったが、大事なことを忘れていた。そうそう、ここには主がいた。猫のテコちゃん。カレンダーの表紙を飾ったりして有名猫らしい。打ち上げが始まるとのっそりと出てきて、わたしとマリノの間に座っていた。読んでいる本の中から鯖猫長屋の猫・サバが出てきたのかと思った。「大将、なんか事件ですか?」

テコちゃん
猫語で話す

 いよいよ週末は極上ライブ。七夕の夜はPolaris tokyoで会いましょう。さよなら、さよなら。

極上参上!

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hamadamariko
一週間に一度くらいの頻度で記事をアップできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。