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「今の彼との結婚」より、別れを選んでも、だいじょうぶだよ。【前編】
先週の木曜。夜中に女友達からLINEが届いた。ほかに好きな人ができたから、付き合っていた彼と別れた、と。
「別れるときまで優しくて、いい人で」
「結婚するなら彼だったのかな」
「でも、自分の気持ちに嘘はつけなくて……」
そう言って電話越しに泣く彼女。
痛いほど気持ちがわかって、わたしも泣いた。
* * *
20代後半になると、別れるのにも勇気がいる。
失うものが大きいから。
まわりには結婚している友達も出てきて、自分もいつかは結婚したいし、その相手は “この人” なのかもしれないとも思う。
それに、新しく好きになっちゃった人と、両想いになれる保証なんてない。ましてや結婚なんて。
別れたらもう戻れないよね?
これは一時の感情?
流されないほうがいいの?
そんな感情で苦しんでいる女の子たちと、当時のわたしに、声を大にして言いたい。
別れても、きっとだいじょうぶ。
好きかわからないまま結婚したら、後悔するよ。
もちろん、別れたら完全な元の関係には戻れない。
そんなの当然のことだ。
でも……
でも、
もやもやしたまま付き合っていたら
そのまま結婚したら
ぜったいいつか、そのほころびは大きくなる。
置き去りにしていた感情が
なにかの拍子にひょっこり顔を出して
「あのとき、別の彼を選んでいたら」
って後悔する。
結婚相手とうまくいかないことがあるたび
「100%好きで結婚したわけじゃないし」
って逃げ道をつくってしまう。
ほかに好きな人ができてしまったのなら、なおさら。
* * *
わたしも、今でこそ主人(Tくん)が大好きだけど、付き合い始めからずーっと好きだった、とは言えない。
付き合って2年目の夏。
好きかわからなくなって、別れた。
そして、自分の気持ちに素直に向き合ったから、今がある。心からそう思う。
5月26日で、結婚式から一年。
主人と出会えたことに感謝して、綴ります…
(これは長くなりそうな予感)
出会って、恋に落ちた? わけではなかった
わたしと主人(Tくん)が出会ったのは、内定者のとき。
同じ会社の同期で、会うたびに明るく話しかけてくれて、なぜだか知らないけど頻繁にLINEが来るようになって、気づけば仲良くなって、わたしも「なんかいいかも」と思って、付き合った。
正直なところ、
「この人のこと、ものすごく好き!!」
な状態ではなかった。
当時のわたしは、数ヶ月前に別れた元カレのことを、すごくすごくすごーーーく引きずっていて、もう一生恋愛できないとさえ思ってた。
そんなわたしを、好きと言ってくれる、
ちょっといい感じの男の子。
明るく朗らかで、健康的。
背は……まあ、理想よりは低いけど、わたしより高い。
ほどよく爽やかで、コミュ力高いけど浮気はしなそう。
学歴も高い。家柄もいい。
タバコも吸わないし、ピアスもしてない。
これなら親も認めてくれそう。
何より、わたしのこと好きって言ってくれてる。
もうそれで充分なんじゃないかと。
この人といっしょに過ごしたら、
きっと毎日が楽しいだろう。
前向きになれるだろう。
そう思って、付き合い始めた。
遠距離恋愛スタート
初期配属の勤務地は、わたしが名古屋で、Tくんが大阪。
近鉄で2時間だから、遠距離ってほどでもないけれど、気持ちの面では遠距離だった。
なにしろ、休みが合わない。
わたしは店舗勤務だったから、土日はフル稼働。
一方、営業のTくんは土日休み。
やがて、職場のやさしい先輩たちが、わたしに “大阪の彼氏” がいることを知って「この土曜は早番にして、日・月を休みにしたら?」と、シフトを調整してくれるようになった。
会えるのは、1、2ヶ月に一度。
Tくんは、ときどき土日にも仕事が入ったので、いっしょに食事する時間しか取れないときもあった。
それでも、会えるとうれしい。
週末が近づくと、わたしはおかずを何種類か作って冷凍し、重い保冷バッグを持って近鉄に乗った。
会えなかったクリスマス
そんな遠距離恋愛を続けて、冬になった。
付き合ってもうすぐ一年。
「12月25日くらいから休めそう」とTくんから聞いていたわたしは、先輩たちに頼んでいつもより長めの休みを取り(2泊3日!)、大阪に滞在する計画を立てていた。
なにしろ、付き合って初めてのクリスマス。
すごく楽しみにしていた。
なのに……
「ごめん、仕事が入った」
そっか、わかった。
大丈夫だよ!
仕事がんばってね!!(フレフレの絵文字)
そうLINEで返信してから、
お茶でも飲もうと冷蔵庫を開けて、ため息をついた。
よろこぶ顔が見たくて
クリスマスディナー特集を見ながら買い込んだ食材。
こんなの一人じゃ食べきれない。
センチメンタルな気分に浸るのもいやだったので、メインは(練習のために)作って一人で食べてしまい、勤務先のアルバイトさんたちを家に呼んでクリスマスパーティーをした。
(あの夜は、すごく楽しかった! さみしいOLに付き合ってくれてみんな本当にありがとう)
忙しいと、きもちがわからなくなる
年明け、追い打ちをかけるように耳に入ってきたのは
「大阪で浮気してる」情報。
クリスマスの日に、飲み会で仲良くなった女性と、
その後も会っているんだってよ。
後から本人に聞いた話によると、上司が面白がって大げさに話しただけで、実際は何もなかったらしい。
わたしも、別に真に受けているわけではなかった。
営業の仕事で普段から飲み会が多いのは知っていたし、そこに女性がいても不思議じゃない。部署の特性上、茶化して噂するのも想像できる。
クリスマスもきっと、本当に仕事が忙しかったんだと思う。
男の人は、ひとつのことしかできない。
複数のことを同時にできる人がいても、そこには必ず「優先順位」が存在するものだ。社会人1年目、いちばん仕事が忙しい時期に、彼女と連絡を取っているだけ、Tくんは立派だった。
ぜんぶわかってる。
わかってる。
でも……
当時のわたしは、ショックを受けた。
事実かどうかはどうでもいい。
大事なのは、Tくんの気持ちである。
会えなかったとして、誠意を見せてくれた?
落ち着いたら電話くれた?
そもそも、Tくんはわたしのどこを好きになったの?
本人に聞いてみても
「ぜんぶだよ♪」と適当な返事が来るだけ。
(わたしが思い詰めてるとも知らずに)
もしかして、わたしの魅力が落ちたのかも。
最近、慣れてきちゃったし、
女の子らしく甘えたりもしてなかったし、
終電後に走って新幹線乗ってたし。
そう思って、髪型を変えてみたり、マッチングアプリに登録してどれだけメッセージが届くのかをほかの女の子と比べて、自分の市場価値を測ってみたりもした。
今考えると、ちょっとやばい。
でも、迷子だった。
彼の気持ちがわからなくなった(と思った)わたしは、自分の気持ちもわからなくなってしまった。
わたし、ちゃんとこの人のこと好きなんだろうか?
異動で、Tくんとの将来を考えた
夏が近づいてきた。
会えなかったクリスマスから半年。
少し仕事が落ち着いたTくんは旅行に行こうと誘ってくれた。その旅行が楽しかったわたしは、小さなもやもやを抱えながらも、「きっと彼のことを好きに違いない」そう思いながら過ごしていた。
そんななか決まった、
名古屋→東京への異動。
わたしは、異動するにあたって、
キャリアだけでなく、
自分のこれからの人生を考えることになる。
つまり、Tくんと今後どうなりたいか?
ってこと。
「27歳までに結婚したい」
子どもが好きで、
結婚して家庭をもちたいというのが
わたしの理想の将来像だった。
子どもは3人くらいほしい。
だから20代のうちに1人目を授かりたい。
そのためには27歳までに結婚したい。
だから、わたしと結婚したければ
まにあうようにプロポーズしてね。
そう、Tくんにも伝えてあった。
その当時、まだ24歳。
結婚のためにずっと付き合う必要はない。
それに、わたしには、
名古屋で仲良くなった男の子がいた。
彼氏にしたいかどうかは別として、なんでも話せて、信頼できて、いっしょにいて楽しい人。
もしかして、わたしは、
女の子扱いされたいだけなのかな?
だれかと付き合っていれば、いいのかな?
“相手がTくんである理由”
を完全に見失ってしまったのだ。
東京に引っ越しをして、新しい生活に慣れるモードだったわたしは、一度冷静になりたいと思った。
Tくんだけがすべてじゃない。
今なら、仕事もある。
同じタイミングで東京へ異動になった同期が2人いて、話し相手なら彼らもいるから、さみしくないと思った。
* * *
そして、6月29日。
調布のダンダダン酒場で餃子をたらふく食べた帰り、
わたしはTくんに別れを告げることを決めた。
(後編に続きます)
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