お惣菜屋さん「七煮屋」や古民家など 卒論リサーチ4日目
東京中野の戦後間もなく建てられた古民家を借りて、DIYでコツコツリノベした秘密基地を、みんなの秘密基地にしたい!
そんなことを在学中(2022年現在4年生)のBBT大学の卒業論文でも研究中です。様々な取り組みを知るために、6月末に関西へ旅してきました。
4日目は、京都から岐阜へ移動。
葬儀屋さんが営むお惣菜屋さんが、地域の小さなコミュニティになっているという話を聞いて見学に行ってきました。
この関西の旅は6月で、計画中は雨を心配していました。ところが、あっという間に梅雨明けし、この4日間は猛暑。体がまだ夏仕様になっていない中を歩き回り、そういう意味ではハードな旅。そして岐阜駅に降り立ったら、むわーと熱気を感じて、これが噂の岐阜の暑さかぁと。
中野で地域活動をともにしていた藤井さんが岐阜にお引越し。お惣菜屋さんのお話も藤井さんから教えていただきました。今回はありがたいことに駅にお迎えに来ていただき、まずは古い街並みが残る川原町へ。
近年、岐阜市の長良川プロムナード計画で街並みが整備されて、空き家を改修したお洒落なお店が増えているそうです。
ランチは明治時代の材木問屋を改装したお店にご招待いただきました。
オーナーはもともと写真家志望だったが、料理人に転身。
「観光客も地元の人も、誰もが自然と繋がれる場所でありたい」という想いでお店を経営していて、近隣のお店のパンフレットなどが入口にたくさん置いてありました。
今回の旅でも、日常でも「つながり」は多くの場所でテーマになっています。以前は自然とあったものが、言葉にする必要があるほどに失われつつあるのかもしれない、あるいは、カタチが変化しているということでしょうか。これからの時代の新しい「つながり」方があるような気がしつつ、旅を続けます。
美味しいご飯をいただいたあとは、今回の目的地、お惣菜屋さんの「七煮屋」へ。
オーナーの丹羽仁美さんは、地元の岐阜を出たり様々な経歴を経たのち、地元の葬儀会社に就職。しかし勤めていた葬儀屋が大手企業に買収されてしまう。その時、もともとつながりのあったお客さんから、買収後の会社の葬儀料金やシステムについて、高すぎて払えない、丹羽さんに面倒をみて欲しかったのに、など個人的に相談があったそうです。
そして丹羽さんはそんな困っているお客さんのために、独立して自分で葬儀屋を立ち上げることに。送り出す人たちに寄り添った心のこもった葬儀を、丁寧な対応で提供しはじめました。
しかし、コロナがはじまり、人ととのつながりが大事だった商売にも影響が。少し考えて、みんなが気軽に立ち寄っていけるお惣菜屋さんを作ってしまおう!と、決断してからたったの1週間ではじめてしまったと。ものすごい行動力です。
この券はお店で買い物するともらえて、次回来た時にお惣菜1品と引き換えできるという大盤振る舞い。この日も、私の滞在時間中にも、常連のお客さんたちがチケットをバンバン使っていました。
私がお邪魔したのは夕方前の2時間くらい。その間に、子どもからお年寄り、たくさんの人たちが来て、お惣菜を買いながらおしゃべりしたり、冗談を言い合ったりしていました。
常連のおじいさんは、車でお友だちと山に行っていた話を楽しそうにしていました。そんな会話をしながらも、おれに何かあったら、よろしく頼む、と笑いながら話していて、肩肘を張らない関係性の延長でお仕事にもつながっている感じが素晴らしいなと思いました。
こんな感じでお仕事ができるっていいなぁ。
七煮屋さんの訪問で、今回の卒論リサーチ関西の旅は終わり。
帰り道におまけで、古民家を改装した山用品のお店へ立ち寄っていただきました。
岐阜には素晴らしい古民家がたくさん残っていて、若い人たちがそれらを活用してお店を出しています。元々、問屋だったりするため、非常に大きなスペースでゆったり。
古民家の心地よさってなんだろう?といつも思うのですが、人間の肌感覚にとても馴染むことや、木の温もり、時間の経過が与える物理的な経年劣化だけでなく場所に醸成された空気感。古いものを大切に丁寧に使っていこう、という心持ち。
そんなことにほっとするのかなぁ。
関西の旅では、人のつながり、場所を作っている人たちのお話を聞くだけでなく、エネルギーをたくさんもらってきました。
どこの場所も共通することは、箱があるから人が集まるのではなく、そこに人が集まるための要素、ご飯を共にする、芸術をする、語り合う、つながりあう、共に時間を過ごしたくなる、それが自然とできている。
その結果、その場所が生きてくる。人が場所を作る。
もちろん居心地のよい空間作りも大事だけど。
あらためて、そんなことを思いました。