楽しいけれどモヤモヤしていたサラリーマン時代
こんにちは、くわばらまりこです。
今回は、約17年のサラリーマン時代について書きたいと思います。社会起業を考え始めるずっと前から、未来を担う子どもたちに関わりたいと思うまでのアレコレです。
楽しいのにモヤモヤな日々
私が社会人生活をスタートさせた2000年。アイスクリームの開発担当として、最初に手がけた商品がコンビニの店頭に並んだときの感動は今でも忘れられません。企画部門の同期と一緒に開発した商品は、本当は上司が相当苦労して「新人がやりたいことを実現するためのルート」を照らしてくださったからこそ出来あがったのだと今は分かります。当時は、まるで自分の力で成し遂げたかのような自信をつけさせてくれた上司には、感謝しかありません。
それから企画部門に移動したり、キャリアアップのために転職したり、新しい価値を生み出す仕事が大好きで楽しかったからこそ、チャレンジを重ねながら試行錯誤を続けてきました。
どんなにキャリアを重ねても自分が担当した商品は愛おしかったし、その商品がたくさんの人の試行錯誤があって存在していることをイメージできる自分が誇らしくもありました。アイデアが浮かばずに苦しくなったり、担当商品にトラブルが起きてパニックなんてこともしばしばでしたが、その都度たくさんの人に支えていただいて成長してこれました。総じて、充実したサラリーマン生活だったと思います。
とはいえ、いつもモヤモヤした気持ちを抱えて過ごしてきたのも事実です。フレームワークを器用にこなし、指示を待つだけの人がなんと多いことか・・・特にそういった上司にぶつかると議論が議論にならず、未来が描けなくなると転職活動をして気持ちを紛らわしていました。さらに「支持待ち族」の従順な社員ほど偉くなっていく組織にもモヤモヤが募っていきました。
会社組織の限界とサラリーマンへの疑問
最初は、ブランド力のあるところで自分の力を試したいといった若さ故の傲慢な理由で、誰もが知る化粧品メーカーの健康食品部門に転職しました。でも「美味しさ」の価値基準の違いに悩み、私の居場所は「食品業界」だと確信して2回目の転職をしました。
3社目は約8年在籍しました。商品開発、マーケティング、商品ブランドマネージャーなど、様々な経験をさせていただいた会社です。他部署の方々に支えられ、たくさんのことを学びました。商品開発やマーケティングの仕事は大好きでした。でも、会社組織の中で感じるモヤモヤが心に残っている状態は、常に私に付きまとっていました。
旧態然とした組織文化にモヤモヤするのは企業の規模が大きいからではないかと考え、4社目は中規模のお菓子メーカーに転職しました。ここからは、怒涛のような日々でした。
そこはワンマン経営の会社で、社長の「パワハラ」の洗礼を受けて心が限界を迎えてしまい、自分を守るために半年足らずで5社目に転職しました。社員総数50名足らずの中小企業です。小さいながら、やりがいを感じて奮闘していたのですが、入社して1年で会社は売却されてしまいます。ワンマン経営の会社が親会社になり、企業文化が大きく変わってしまいました。
ある時気づきました。どの企業でも似たような課題があるのです。「指示待ち族」はどこにでもいるし、究極サラリーマンに求められるのは、マーケターですらそういった組織の歯車になることなのかもしれないという現実です。
組織で物事を進めていく上で、方針に従って行動することは不可欠です。異端児になりたいとも思いません。社内政治の空気を読みながら、いかに上を説得するかがとても大切なスキルであるということも、先輩たちから教えていただきました。
でも、方針を理解して指示に従うことと、何も考えずに「指示を待つ」ことは全然別物なはずです。特に「指示待ち族」が上司だと、上の顔色を伺って方針が二転三転するので、私はモヤモヤするんだと気づきました。
あなたも職場で「指示待ち族」に苦労していませんか?
私は「支持待ち族」で終わってよいのか?と自問した時に、NOという答えしか出てきませんでした。
未来の職業観と「子どもたちに伝えたいこと」
未来の職業の半分は今とは違うものになる――これは、複数の研究から予測されています。
2013年にオックスフォード大学が発表した研究では、アメリカにおける47%の職業が、今後20年以内にAIやロボットによって自動化されるリスクが高いとされました。この予測では、特に反復的で定型的な作業が多い職種が自動化の対象となる可能性が示唆されています。
また、世界経済フォーラムの「未来の職業レポート2020」では、2025年までに世界中で8500万人の雇用が自動化によって失われる一方で、9700万人の新たな職が創出されると予測されています。そしてこの新たな職とは、機械が代替できない創造性、批判的思考、コミュニケーションスキルなどが求められる仕事を意味します。
これからは、今まで企業の中で重宝されてきた「器用な支持待ち族」では生きていけなくなるでしょう。
そして、大人が仕事の在り方を変えなければならないように、これからの子どもたちも新しい世界で生きる力を身につけなければなりません。「問題解決力」「自己管理力」などが重要なスキルになっていくのです。AIや自動化が進むことで「発想力」「共感力」「コミュニケーション力」など、人間ならではのスキルが不可欠になってくるでしょう。そのスキルをサポートすることは、私たち世代の使命だと思いました。
「生きる力」と「マーケティングの本質」の接点
未来を担う子どもたちに求められるのは「自分で考え、価値を生み出す力」。マーケティングも本質的に同じであると気づいた私は、未来を担う子ども達が、相手の立場に立ち、自分の頭で考えた価値を提供できる人を目指せる環境を作りたいと考えるようになりました。では、私に一体何ができるのでしょうか?
「マーケティングは単に物を売るだけでなく、他者との関係を築き、価値を共有すること」だと思っています。実務経験の中で、「問題解決力」「判断力」「発想力」「柔軟性」「共感力」「交渉・調整力」などを少しずつ学んできました。どのように価値を見つけ出し、他者に共有して巻き込んでいくかについて、体験を通して身につけてきたように思います。
そんなことを考え始めたある日、「ちいさな哲学者たち」というフランスのドキュメンタリー映画に出逢いました。3歳から5歳の幼稚園児に哲学対話という営みを取り入れるという、世界初の試みのお話です。
最初はまるで糠に釘という反応だった子供たちが、哲学対話を続けることで自分の頭で考え、それを言葉にすることができるようになっていく姿が丁寧に描かれていました。そして、お友だちの考えが必ずしも自分とは同じではないことを理解し、互いの考えをぶつける議論ができるようになっていく姿に心が震えました。ここに私が求めていた答えがあるように感じ、子どもと一緒にマーケティングをしたらどんなに楽しいだろう?そんな事業を作れないものか・・・そう考えるようになりました。
未来を担う子どもたちへのマーケティング的アプローチに、私の人生の舵を切ろう!
こうして2017年、未来を担う子どもたちの力になるために「脱サラ」して、今の道を歩み始めました。
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