西阿知の サンサンカフェから 講演の 依頼を受けて 孫になる |2024.立冬・地始凍
地始凍(ちはじめてこおる)
ここ最近の週末は、ちょっとずつ時間を見つけては森の芸術祭2024へと足繁く通っている。
同じ岡山県内で開催されているとは言えども、どこも車で1時間以上かかるスポットばかり。それから、県北中いたるところにアートスポットがあってそれが一つひとつ地味に離れているので、なかなか回り切れない。
でも、倉敷から県北に行く機会ってなかなかないので、この機会にあちこち回っては県北の魅力を教えてもらってとても楽しい。
倉敷で暮らしていると、瀬戸内海の穏やかさや倉敷美観地区の情緒ある町並みばかりに目が行きがちだけれども、県北は牧歌的な土地柄だからか空気がきれいで、盆地で山々に囲まれていて、ちょっと落ち着く。
わたしの生まれ育った東北も、街の真ん中に大きな川が流れていて、ふと顔をあげると大きな山がある。週の中日の全休にふらりとスキーをしに行ったりキツネ村でキツネと戯れたり。
それが普通の生活だったので、岡山県に住んでいるとそのどれもを県内で完結させられるので、ついつい休日も外に出てはアクティビティに勤しみがち。
そういえば、我が家のお米は小さい頃から一貫して「あきたこまち」なのだけれども。岡山にきてびっくりしたことのひとつに【岡山県産】の「あきたこまち」があること。
スーパーに行くと【岡山県産】の様々な品種のお米が揃っていて、県外産のお米を滅多に見ない。逆に、県外のスーパーでは【岡山県産】のお米は滅多に見ない。
どうやら岡山県のお米は県民のために作られていて、文字通り地産地消されているらしく。ありがたいな~と思いながらいただく日々。
今まで「ここは合わないな」と思った移住先はどこも「食べたいときに食べたいものが食べられない」ことがストレスだったのだけれども、今のところ倉敷ではあきたこまちも食べられるし、普段食べているお醤油も手に入ることになったし(これは、そろそろ倉敷とことこで記事にする予定)、お味噌も合わせ味噌が主流なので平気。
あとは、セリさえ手に入れば大満足なんだけどな。2025年のお正月は倉敷で迎える予定なので、お雑煮にセリを入れたいのです。どなたか、倉敷でセリを扱っているお店をご存知の方、教えてください!
「サンサンカフェ」で講演をしてきました
春先に、社会福祉協議会の生活支援コーディネーターさんから一通のメールが届いた。
倉敷市地域おこし協力隊として、倉敷市からは
・移住検討者向けのWebを通じた情報発信
・移住関連イベントへの協力
が求められているけれども、そもそも地域おこし協力隊として「地域に受け入れてもらうこと」が大前提。
地域のかたから直接、わたしが普段使っているコミュニケーション手段や地域おこし協力隊としての活動を聞きたいと言ってもらえるだなんて、そんなありがたいことはない。
倉敷市役所にも引き受けたい旨をお伝えして、生活支援コーディネーターさんにサロンの方と繋いでもらった。
30人近くの参加者を前に
会場の南連合コミュニティーハウスに到着すると、中がとても賑やか。なんと、30人以上の参加者が7人ほどの島を5つ作って仲良さげに談笑していた。
ろう学校の二学年合同体育の授業並みの人数。例え方がマニアックなんだけれども、30人に対して45分の講演って、本当に教員時代に経験していた一コマと同じボリュームで。
少なすぎると深堀してお話ししないといけなくなるし、多すぎると全員の顔が見えないので、30人はちょうどよい。特に緊張することもなく、いつも通りのわたしでお話しできそうでほっと安心。
講演の内容は「倉敷市地域おこし協力隊の活動内容」と「高石真梨子の聴覚障がいについて」の二本立て
わたしの暮らす倉敷市は、人口が70万人近くいる中核市。新幹線も通っているし、百貨店もあるし、公共交通機関もある。岡山県内では県庁所在地の岡山市に次ぐ大きな自治体。
一方、地域おこし協力隊って過疎地域で草刈りをしたり民泊や空き家でカフェなんかを開業するようなイメージで。この一年間、たくさんの人に「倉敷にも地域おこし協力隊がいるの?」とびっくりされ続けてきた。
まぁ、わたしだって募集要項が友人から送られてきたときには同じように「倉敷で、地域おこし……?」と目が点になったもの。
それなので、わたしの活動が他の地域からの移住を検討する人たちに対する情報発信だとお話しすると「確かに外の人目線で見る倉敷って、私たちじゃ発信できないもの」と呟く参加者に、ほかの方もうんうんと頷いてくれる。
それから、わたしの聴覚障がいについてのお話では
・高石真梨子はどんな風に周りのお話を理解しているのか
・コミュニケーション手段
・普段の生活でどんなことに困っているのか
の三本柱でお話を。
どれも、わたしのnote【高石真梨子のお耳のトリセツ】で詳しくお話ししているので、気になる方はぜひどうぞ。
サンサンカフェ参加者の孫になった気分で
講演が終わった後は、みなさんが春から練習されていたという手話歌「ふるさと」を披露していただき
サンサンカフェ(この月に一度の集まりの名前らしい)のみなさんとあたたかい紅茶を飲みながら談笑タイム。
ろう学校勤務時代も、キコエル小学校に交流学習に行くと手話歌を披露してもらうことがあったけれども、うれしいなーと思う。
わたしの暮らす世界を知りたいと思ってくれている人がこんなにいると思うだけで強くなれるような気がする。
サンサンカフェのメンバーは、西阿知地区に住む人たちの町内会のようなもの。わたしと同じテーブルには95歳のおばあちゃまも。みなさんわたしの祖父母と同年代で、祖父母と同居で育ったわたしにはとっても懐かしい空気感。
父方の祖母は介護施設に入所して、母方の祖母と曾祖母はもうなくなってしまったのだけれども、彼女たちが元気なころはしょっちゅう町内の集まりに連れていかれては、町内のおああちゃま方に蝶よ花よとかわいがってもらい。今も、仙台に帰省するとその頃からかわいがってくれていたおばあちゃまたちの元へ遊びに行く。
そのおばあちゃまたちと同年代の方々に、この倉敷でも「かわいいかわいい」と言ってもらい、普段の活動のことや趣味で続けている茶道の話でひとしきり盛り上がると解散の時間。
「またおいでね」と言ってもらえる場所がまた一つ
帰りがけ、皆さんを玄関でお見送りさせていただくと、笑顔で、時にはハグを交えながら「またいらっしゃいね」と声を掛けてくれて。
人口70万人の中核市、倉敷市の中心部で活動していると、管理費を支払えば町内会への入会義務もなければそもそも隣の家にどんな人が住んでいるのかもわからない都市的な生活が続いていて。
東京から移住して生きたわたしにとって、日常はそれぐらいの距離感のほうが心地よいと思っていたけれども。ふとした瞬間に「また行きたいな」と思えるコミュニティがあるというのはなんて贅沢なんだろうと思う。
山も川も海も盆地もふらりと行ける距離感にあって、都市的な暮らしも、また行きたいと思えるコミュニティもある岡山。まだまだ見えていないこの地の側面がいっぱいありそうで、わくわくする。
サンサンカフェでいただいた、一問一答
サンサンカフェの参加者さんたち、みなさんとてもお元気で。
たくさん質問をいただいたのでここでご紹介しようと思う。
A. わりと人気!
先日東京で開催された「岡山県移住セミナー」に参加してきましたが、倉敷のブースは開会直後から閉会直前まで絶えず相談者がいらしてて。
ここ数年のデータを見ても、三大都市圏に限らず隣県から倉敷への移住者は増加傾向なんだとか。
A.倉敷駅周辺のような地域では都市的な生活ができるし、少し郊外へ行くと田舎暮らしもできる。だから、いろんなニーズの移住希望者に刺さるポイントが多いんだろうな。
あと、総合病院も新幹線の駅もあるから、都会へもピュイっと帰れて、バランスが良いと思う。
A. 視覚情報が必要!
聴覚障がいも程度によるけれども、視覚情報さえあれば理解できることが多い。
陶芸ならば、手順やコツなどをあらかじめ絵カードや写真で用意しておいて、紙芝居のようにめくったり、順序どおりにホワイトボードに貼ったりするとわかりやすいと思う。
A. その感覚が素敵!
実は、「特別支援教育は教育の原点」とも言われているんですよ。聴覚障がい者に向けて作った資料は、キコエル人に対しても使えるはず。
大事な資産になると思うので、使い回せるような教材になりますように!
A. とても深い質問!
世の中、聴覚障がいのことを理解しようとしてくれる人もいればそうでない人もいるのは事実。でも、支援って「その人が好きだから」やるものではないし「 その人が嫌いだから」やらなくても良いものではない。
個人の私情は置いておいて、同じ情報を得るために、同じ体験をするために、対話の場を持とうとすることが支援。
好きだから、嫌いだから、でその場によって態度を変える人は「同情」でやってるんだろうなと思います。そういう「情」で言うと、何かしようとするきっかけに「かわいそうだから」を理由にする人はあまり信じられないかも。
わたしたち当事者はいろんな人たちに出会ってきているので、今目の前にいる人が「対話を重ねる支援」をしようとしているのか、そのときの気分や私情で動いているのかは敏感かも。
A. 市民のみなさんに応援してもらえることが何よりもの励みです。
逆に、地元の方だからこそ知っている倉敷の魅力もたくさんあると思うので今後ともいろいろと教えてくださいね!
【ここからは、有料】今回の講演会で使用したPPT資料を共有します◎
一応今回のサンサンカフェは、参加者の皆さんから会費を徴収しての講演会だったので使用したPPT資料は有料で共有させていただきます。
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