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かもめ食堂への憧れ
先日、あっちゃんと娘と「くにす食堂」を訪れた。
その時に話したこと、あっちゃんが話してくれたことが、自分にとってとても大切にしたい内容だったので書き残しておく。
あっちゃんは私の友人だ。
あっちゃんについて紹介した記事はこちら。
くにす食堂について
くにす食堂は、奈良県吉野町にある古民家カフェ。
店内にはゆるやかな空気感が漂っており、店の奥側には庭もある。
暑くもなく寒くもなく心地の良い日に、縁側の席へ通してもらった。
庭を眺めながら、私はプリン、あっちゃんはチーズケーキ、ふたりともリンゴジュースをいただいた。
私はここのプリンが大好きで、時々無性に食べたくなる時がある。
かもめ食堂
庭の木漏れ日を眺めながら、ぽつりぽつりと話していた。
私たちふたりの共通点として「映画・かもめ食堂が好き」というものがある。
映画の中のかもめ食堂は、まちの食堂なのだが、おしゃれ感を全面に押し出すことはしない。
日常に寄り添うような存在で、お客さんの年齢層も幅広く、来るもの拒まず去るもの追わずな空気感がある。
くにす食堂と少し似ているところがある。
「かもめ食堂を見ていると、店員さんが醸し出す"余裕のある感じ"がとても良いなと思う」
と、あっちゃんが言う。
商売をするぞ、というガツガツした感じがなく、自然に来店を受け入れてくれる店員さんが登場する。
その日の気分で、シナモンロールを焼いたり、地の食材を使ったおにぎりを握ったりする。
客寄せの意味もあるが、このシーンの店員さんたちが楽しそうだし、なんというか、接客も調理もお店で過ごしている姿が自然体なのだ。
そこが魅力的!!!
「姿に余裕があるよね」
「お金を稼ごうとしてない感じ」
「そう、お金に縛られてない。そこからしか生まれない空気感があるよね」
「わかる」
そこから私たちの会話は加速していく。
私たちの憧れ
あっちゃんが「まりちゃんが、この間、くるくる出店していた時にブースの奥で座っていた姿。とても良かった。ブースの空気感も」と言ってくれた。
くるくるはお金のやりとりが発生しない。
いらなくなった子ども服を寄付してもらい、必要な人に無償譲渡するものだ。
いつもはフリーマーケットを出店しているが、今回は販売したいものが特に無く、くるくるのみの出店をした。
店番しながら考えていたことは、
「次はどのブースに買いに行こうかな」
「今日は良い天気で良かったな」
など、他愛もないことばかりだった。
金銭のやりとりが発生すると、人が来てくれなかったら焦るし多少必死になる。
緊張する。
それがごっそり無かったなと、あっちゃんの話で気付いた。
あっちゃんは、cafe.kiitosという屋号でイベントへの出店をしている。
パンやスイーツをつくることが好きで、それを人に食べてもらって喜ばれるのが好き。
でも、それで生計を立てていきたいとは思っていないため、値段設定などは普通より安い。
「それでいいの?もっと価格上げたらいいのに」
本当に美味しいので、多くの人からそう言われていると思う。私も言った。
あっちゃんは、お金を稼ぎたいわけじゃ無い。
「みんなの喜ぶ顔が見たい。人が集まっている空間に自分のパンやスイーツが存在して、そこに流れる時間の中に身を置くことが好き」
と、あっちゃんは話す。
cafe.kiitosから漂う空気感は、いつも柔らかくて優しい。
「私たちカフェが好きで、大学時代にいつかやってみたいねと話していたけれど、稼ぎたいわけじゃないのよね」
「確実に商売は向いてないよね」
「かもめ食堂みたいな空間がつくりたいし、そこに身を置きたいだけやね」
そこで話は終着した。
核心と今後
「やっぱり最後は"人"なんだなと思う」
あっちゃんは話す。
かもめ食堂の登場人物は、自然体で、立ち姿が美しい。
余裕のある空気感と、くるもの拒まずさるもの追わずな寛大な雰囲気。
日常の中に存在する「ちょっと立ち寄ろうかな」と思える居心地のいい空間。
その空間は、そこにいる人が作り出す。
あっちゃんは、そんなことを考えながらcafe.kiitosとしてパンを捏ねたりケーキを焼く。
私は、いつかそんな空間の中に身を置きたいなとぼんやり考えながら、またくるくる出店をしようと考える。
こんなことを話す時間は、とても楽しい。
同じイメージを共有できるあっちゃんの存在が、私にとって、とっても貴重でありがたい。
「また、かもめ食堂を見よう」
と言い合って、解散した。
実は、かもめ食堂を好きな友人が、もうひとりいる。
私もあっちゃんもその友人のことが大好きで、いつか3人で、どこかでカフェ出店をしてみたいと考えている。まずは1日限定で。
「私たちならかもめ食堂の空気感をつくれる」
あっちゃんが断言してくれる。
私も同意する。
この自信はどこからくるのかと言われてしまいそうだが、こんなことを考えながら日々を過ごしていくことがたまらなく楽しくて、幸せだ。