マスク着用義務化時代のコント

 マスク着用ルールが緩和された今日、2年前に作ったあるコントのことを思い出している。

 私はもちろん全くの素人だが、お笑い好きが高じて、THE Wの一次動画審査に応募したことがある。2021年の夏、緊急事態宣言やまん延防止重点措置の適用が繰り返され、マスク生活の終わりなど全くもって見えていなかった頃のことだ。
 
 恥ずかしいけどせっかく作ったし、ここに脚本を載せておく。

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すきです、付き合ってくださ…

え?そんな即答でごめんなさい言わなくても…
(間)

このご時世でマスクもせずに大声出すような女とは付き合えない?
(間)

いや、あの、違うじゃん?これはその〜現実とは別の世界線の話じゃん?
(間)

あ、待って待って待って!え〜どうしよう、え、なんでコントの中のあなたが現実世界の価値観を持ち合わせちゃってるわけ?
(間)

いいから早くマスクしろって言われても。声こもっちゃうし表情も見えなくなっちゃうし…
(間)

うん別にそれで構わないってあなたはそうかもしれないけど、お客さんが困っちゃうから…
(間)

いや振り返ってもらっても、この世界線のあなたの後ろにお客さんがいる訳じゃないんだけど…
(間)

お前どうしちゃったの?ってこっちのセリフだよ
(間)

え?なんで俺が言ったことをそっくりそのまま繰り返すのかって?
不自然だよね〜ピン芸の痛いとこ突いてくるね〜
(間)

はーあ、なんかもういいや、世界感グチャグチャになって告白とかどうでも良くなってきちゃった。じゃ。
(去ろうとする)

ん?え?付き合おう?

あーはっはっは、付き合おうって言ってから、すっごく困った顔しちゃって。不本意でしょ?

でもここは私が支配する世界。私の告白は必ず成功するの。

これからよろしくね!
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以上。

 当時の私は、映画やドラマ、小説の中の人々がマスクをしていないことに強い違和感を覚えていた。2021年の日本という設定のリアリティがまるでない。現実と創作世界の境界が、マスクによってあまりにもくっきりと分けられてしまったと感じていた。
 そんな得も言われぬモヤモヤを表現しようと思い作ったのがこのコントだ。

 2023年の今だって、マスクの有無が現実と創作世界を二分したままだけど。今日のマスク着用ルール緩和を期に、マスクをするのが当たり前の時代が少しずつ変わっていくとしたら、このコントの前提は成り立たなくなる。そう思って、なんとなくこのタイミングでnoteに上げてみた。
 ちなみにマスクに対して賛成や反対の強い思想を持っている訳ではないため、コントの中でもマスクをしないことではなく「マスクをせずに大声を出すこと」を批難するという設定にしている。

 時代背景を投影!細部にも配慮!と自分なりにこだわって作ったこのコントだが、結局、撮影した動画は発声も滑舌も最悪で何を言っているのか自分でもよく分からない仕上がりとなった。納得の一回戦敗退。お疲れ様でした。



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