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「らいおんハート」を聴いて思うこと

現在妊娠中のわたしは、子を産み育てることで自分の感じ方や考え方がどのように変化するのかとても気になっている。

好きだったお笑いでいまいち笑えなくなったり、好きな作家さんの小説を読んでも何も感じなくなったり、逆に今まで全然興味のなかったジャンルの映画が観たくなったりするのだろうか。

もちろん今まで何十年と生きてきて、感覚は少しずつ変化してきたと思う。
でも今まではウネウネと少しずつ曲がったり戻ったりしていただけだった線路が、出産というビッグイベントではガタン!と一気に進路転換するようなイメージを持っているのである。大袈裟かな。


最近、感じ方が変わったと気付いた分かりやすい例が1つある。

らいおんハートの2番の出だしの歌詞だ。

いつか もし子供が生まれたら
世界で二番目にスキだと話そう

作詞:野島伸司,作曲:小森田実(2000年)
SMAP「らいおんハート」からの引用

この歌が流行した時まだ小学生だったわたしは、

「もし自分の父に、

『お父さんが世界で一番スキなのはお母さんだから、娘たちのことは世界で二番目にスキだ』

と話されたら、けっこう悲しいしなんか気持ち悪いなあ…」

と想像していた。

幼いながらにこの歌詞に対する違和感が頭に残った記憶がある。

それから十数年後、人並みに色気づいて男の人とデートしたり彼氏を作ったりしている頃に改めて聴くと、

「二番目とか一番目とか表現の仕方は少し幼稚だけど、どんなに大切なものが出来てもこの愛は不変だって一生懸命表現しようとしてくれるのは嬉しいことだよなあ」

と思うようになった。

称賛はしないけど、肯定はできるようになったという感じ。


そしてさらに数年後、お腹のあたりにポコポコと微かな胎動を感じている今となっては、

「こんなことを言ってくるやつと一緒に子育てをするのは苦痛でしかないだろう」

と思っている。

自分の子供を何か(この場合はパートナーへの愛情)を表現するための道具にする最低男だ、と明確な嫌悪感を抱いている。


自分の心が、子どもから女へ、そして親へと変化してきたことをこの歌詞を通じて思い知ったのであった。

でも、こうして時代ごとの感想を書き並べてみて気付いたけど、上記の3つはすべてわたし自身が考え感じたことだ。

感じ方が変化したとは言っても、子どもとしての感想も、誰かの彼女としての感想も、実感として思い出すことができる。

そう考えると、感じ方の変化って、線路が切り替わって景色がガラリと変わるというよりは、窓のサイズが大きくなって、見える景色が広がるような感覚に近いのかもしれない。
視野が広くなるってこと。そうだと良いな。

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