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ノルマントンロードで買い出しを(Japanese culture day-1)

所属しているボランティア団体は、難民や亡命者への語学支援のほか、住まいの支援、各種ビザなど手続きのサポート、健康相談や教育プログラムの提供なども行っている。今日はそのひとつ、女性と子どもだけを対象としたプログラムを一コマ持たせていただいた。参加者に向けて、日本を紹介して欲しいとのこと。

ボランティア団体には、ケータリングコーディネーターとしてもともと日本でmomoyo curryというカレー屋さんをやっていた女性が働いている。

彼女の号令で、いざ40人前の日本料理を50ポンド(およそ10000円)で作ることになった。

これだ!

•献立

まず、献立を考える。日本らしく、尚且つ予算があまりかからないもの。主食の米は流石に我々がドネーションしないとそこらへんのスーパーでは手に入らないので予算から外す。イスラム教の方も多いので豚肉や牛肉はNG。ということで考えた献立がこちら。

コーンむすび
•いくらむすび
•唐揚げ
•卵焼き
•マカロニサラダ
•酢かぶ
•ベジコロッケ
•アンコケーキ

これを50ポンドで収める工程がクリエイティブで楽しかったので記録していく。

•買い出しはノルマントンロード

今回はハラルの食材が必要なので、なるべくノルマントンロードで買おう。ということになった。このノルマントンロードは、移民が多く集まるエリア。この町で1番運転が荒く、アル中っぽい人にニーハオチャイニーズ!と言われたこともある。

わたしは日本人なので話しかけられてない体裁で無視するけれど、馬鹿にされたように「コンニチハジャパニーズ!」とか言われたら嫌な気持ちになるだろうなぁと思うので。いつかチャイニーズのフリして何か言い返してやりたいなと思うのだがあんまりこういうことは起こらないのでいつも忘れてしまう。

ちなみにノルマントンロードに通うきっかけはmomoyo curryさん。おすすめの魚屋さんがないかと相談したら、ノルマントンロードに一角のお魚屋さんを紹介してくれた。

後日いい魚屋だったよ!と伝えたら「え?!まさか本当に行くとは。駐在妻でノルマントンロードで買い物してる人初めてだ、、、行くなって言われてたりするよ。」
と言われた。あんたが勧めたんや!と思ったが安くてフレッシュ。いろんな食材が揃う魅力には叶わない。他民族が住むエリアというのは衝突も起こりやすいが、食文化が豊かなのだ。

momoyo curryおすすめ、アジア食材やスパイスの品揃えが豊富なSharif and Sons Supermarket

まずはSharif and Sons Supermarket(通称シャリフ)で野菜などの買い出し。ここでマカロニサラダ用のターキーハム(ハラル)も購入。

そして同じくここの一角の肉屋でハラルミートの鳥もも肉を購入。ここは新鮮なお肉を好みの大きさにカットしてくれるのが嬉しい。お肉を買う間の雑談に花が咲く。momoyo curryはウルドゥー語を話せるので、おじさんはウルドゥー語で話しかけてくる。知的がすごい。私がニヤニヤしていると、おじさんは今度スペイン語で話し出した。スペインにも住んでいたことがあるという。

ウルドゥー語のやり取りを呆然と見るわたし

バングラディッシュ、パキスタン、いろんな国の人が働いている。こいつはアフガニスタンからきた「ほら、タリバン!タリバン!バーン」と言いながら銃を打つポーズをする。絶対に笑えないけれど、逆に笑うしかないのかもしれないなぁなんて思いながら苦笑い。辛かった過去は笑うしかないということもある。

なんかよくわからないけど日本人だというと盛り上がるので、日本の印象を良くしてくださった海外に出た先人の皆様ありがとう!

•私たちのリドル

私の大好きなスーパーリドルにも寄った。このスーパーリドルはドイツのスーパーなのだけど、ドイツに住んでいる同期からすると本国のリドルは至って普通の格安スーパーなのだという。しかし、私の最寄りのスーパーリドルは、非常に良い。店員さんが楽しそうに働いている。自分のレジに目印になるように自分のぬいぐるみを飾ったり。クリスマスには店員がレシートの裏で個人的なアンケートをとっていたり。息子によく話しかけてくれるおじさんもいる。店員がロボットでない感じが好ましいのだ。そんなわけでわたしはこのスーパーのロゴ入りのグッズが出るたびに買っている。

このロゴを見るともはやホームを感じる

•イクラはやっぱりSuper Sam

スーパーサムは東欧系?の品揃えのスーパーでわたしは片栗粉といくらを買いに来ている。野菜はほとんど死んでいるが、この前金曜日に行ったら新鮮だったので、野菜は木曜日に届くらしい。ここではもちろんいくらを購入。1瓶2.9ポンドくらいなので悪くない。このいくらを丁寧に洗って醤油につけ直すと、日本の瓶詰めのいくらと遜色ない味になる。

このヨーグルトがおいしいらしいよ!など豆知識を教わりながら。

こうしていろんなものを買ってさてあと足りないものは卵と鮭とサラダと生クリームと…となった時。わたしは「待った!!」と叫んだ。手元の計算機がこう言っている。計画を見直せと。

私たちにとってはボランティア、ドネーションでも、組織にとっては予算の決められた事業なのだ。作りたいものを作りたいからドネーションでもいい。をやり出したら次が続かなくなる。

キッコーマンを諦めなければならなくなった

あのさ、お米を私たちが持ち寄るところまではドネーションとして相手も受け入れられると思うの。だって、ないからね?握れるお米その辺には。おにぎりも小さいサイズだし。でもさ、それ以外はなるべく予算内で収めよう。と2人で話し合った。そして私たちはサラダを諦め、おにぎりの具の鮭を諦め、生クリームを諦めた挙句キッコーマンを捨てた。これは、涙の別れだった。キッコーマンは180ccで3.7ポンドほど。しかし、どこの馬の骨かどうかもわからないダークソイソースは59ペンス。

わたしは、仕事でもスタッフによく言っている。飲食業なんてみんな安いものだと思ってるからちんたらやってたら赤字だよ。あと、予算かけて時間かけて美味しいもの作るのは素人でもでもできるんだよ。早くやるから、予算内にやるから、だからプロなんだよと。

プロのマインドでボランティアもやらないと、ここで真剣に働いてる人に失礼だ。

(ちなみにイギリスではちんたらする分の時給がしっかり食事の値段にのってるとしか思えないくらい外食は高いです。)

そうして私たちの買い出しが終わった。いよいよ仕込みと、提供。相手が難民だからこそ、一生に一回の日本食になるかもしれないからこそ。絶対に美味しいものを食べさせたいチャレンジが走り出した。

つづく

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