ヘッダーx2

ナポリ戦の試合レビュー ( SerieA 2018-2019シーズン 第2節 )

ジェノア戦が崩落事故の影響で延期し、実質の開幕戦となった第2節ナポリ戦。いきなりの強豪とのマッチでなおかつチャルハノールが昨シーズンのペナルティの影響で出場不可というなかなかに難しい状況下でのシーズン緒戦となった。

目次

1. 得点シーンと失点シーン
2. ミランの攻撃とナポリのハイプレス
3. ミランの守備ブロック
4. ナポリの攻撃
5. 総評


スタメン

ナポリは第1節と同様にハムシクがアンカーを務めるカタチ。対するミランは新戦力はイグアインのみでチャルハノールのポジションにはボリーニを起用。これまで積み上げてきた連携を重視する意図があるようだ。


1. 得点シーンと失点シーン

まずは得点と失点のシーンから振り返っていきたい。


得点シーン
この試合ミランは2得点を挙げるがどちらもサイドチェンジを伴うものだった。

1点目のシーン

1点目はビリアがスソにロングボールを供給するところから始まる。ボールを受けたスソは、深い位置に走り込むボリーニに向けて逆サイドに大きくサイドチェンジ。ボリーニは、プレスで前に出ていたMF陣とボリーニに対応し押し下げられたラインの間に頭で落としそこにジャックが走り込みダイレクトボレー。ゴラッソが決まる。

2点目のシーン

2点目はイグアインがポストで降りてきて、ボリーニに楔のフライパスを通しプレスを突破した後、ビリアまで下げ攻撃をつくり直すところから始まる。ビリアは右サイドの深い位置に走るスソにサイドチェンジのフライパス。スソは走りこんでくるカラブリアにボールを落とし、カラブリアはそれをダイレクトシュート。インシーニェはカラブリアのマークを外しており間に合わず。

共通した得点のカタチ
ミランの得点シーンはどちらもプレスをフライパスでかわした後、素早いサイドチェンジをするところから生まれる。どちらも深いサイドの位置へのパスで、ナポリのラインを押し下げ、プレスから戻りきっていないナポリの選手と守備ラインの間のスペースにサイドチェンジのボールを落とし、それを後ろから上がってきた選手が、ダイレクトでシュートするカタチから得点が生まれている。


失点シーン
失点シーンもミランの得点シーンと同じようにサイドの深い位置への侵入を許した後に2点生まれている。それとセットプレーから。

1失点目のシーン

1失点目はショートカウンターの餌食になって生まれた。ビルドアップし直すシーンでムサッキオからビリアへのパスをミリクがプレスをかける。こぼれたところをジェリンスキが拾い、カジェホンにパス。カジェホンはハムシクに預け自らは上がっていたRRが空けた裏のスペースに走る。ハムシクは裏に走るカジェホンに戻す。この時点で3対4の数的不利局面を作られる。カジェホンはペナルティーアーク付近のジェリンスキにパスを出す。ジェリンスキは左に流れながらシュートを打ちそれが決まる。

2失点目のシーン

2失点目はCKの流れから。放り込まれたボールをバカヨコクリアするもクリアボールがジェリンスキの目の前にこぼれ、ジェリンスキはダイレクトボレーでシュートをうちそれが決まる。ジェリンスキはドッピエッタ。

3失点目のシーン

ナポリがクリアボールを拾い攻撃をつくり直すところから。ディアワラが拾いサイドのヒサイに預けそれがディアワラに戻ってくる。そのタイミングでアランがRRの裏のスペースに抜ける動きを見せ、そこにディアワラが合わパスを出す。裏に抜けたアランにはロマニョーリが対応するも、大外でどフリーになっているメルテンスにパス。メルテンスは難なくシュートを決める。


2. ミランの攻撃とナポリのハイプレス

正直、2得点したもののミランは攻撃をうまく組み立てられていなかった。ナポリが前線からハイプレスをかけてきておりそれを上手くかわす術を持ち合わせていなかった。中盤で上手くボールをつなげずに下がってきたWGやそれこそ中盤がボールを狩られるポイントになっていた。プレスを避けるため高い位置にいるWGにフライパスが通ればどうにか攻撃に繋げるが、そこも繋がる確率は高くなくそこもボールロストのポイントであった。得点シーンは数少ないプレスをうまくかわせたシーンから生まれている。だいぶラッキーだった。試合を通して、ミランはショートカウンターから散々危ないシーンを作られた。

ナポリのプレスは基本的には、CBとSBに対してはミリク、カジェホン、インシーニェの3枚で、ビリア、ケシエ、ジャックに対してはハムシク、ジェリンスキ、アランの3枚で、WGに対してはマリオ・ルイとヒサイが対応していた。ボールホルダーにチェックに行きつつ、パスが出た相手のトラップ際、トラップ前でボール奪取を狙っていた。


3. ミランの守備ブロック

ミランはこの試合もいつも通りの451の守備ブロックを敷いていた。両ウィングが下がり、CBやCMFがボールを持った際にはケシエ、ジャックがボールチェックに行きイグアインがゆるく中央に残る選手へのパスコースを切るカタチ。ヒサイやマリオ・ルイのSBがボールを持った際にはWGがチェックに行きケシエかジャックがサポートに行くというもの。

ちなみにナポリもハイプレスを突破された後は451の守備ブロックを敷き似たカタチでボールチェックしている。


4. ナポリの攻撃

ナポリのメインの攻撃はハイプレスからのショートカウンターであったが、遅攻気味になった場合もサイドの深い位置を利用するサイドからの攻撃が目立った。ハムシクから精度の高いパスでその位置にボールを供給し、カジェホンやインシーニェがミランのラインを押し下げ、もしくはサイドからの突破で同様にラインを押し下げ、空いたペナルティーアーク付近のスペースを後ろから上がってきた選手が使うというカタチがよく見られた。特にバカヨコが途中から入ってきた後にはこのスペースが、特に空きがちになり危険な場面を多く作られた。

例えば62分の決定機

アルビオルがサイドに張るヒサイにパス。ヒサイはカジェホンに渡し、カジェホアンはサイドを縦に侵入していく。ラインを押し下げRRが出てきたタイミングで中央ペナルティアークにできたスペースに走りこむジェリンスキにパスを出す。ジェリンスキのシュートは幸運にも枠を外れ失点を免れるが決まってても全くおかしくない決定機であった。



5. 総評

この試合チームの地力も試合内容も負けてはいたが試合展開的には勝てる試合だっただけに、なんとも悔しい敗戦となった。試合を通して相手のハイプレスを突破する術を見つけられず、幸運にも2得点したものの効果的な攻めのカタチは見つけられなかった。守備でもサイドを深い位置まで使われた後に、スペースのできたペナルティーアーク付近でに後ろから侵入されシュートされるパターンを最後まで修正できてもいなかった。ナポリ強い。他にもナポリの攻撃時のSBとWGのポジションの取り方だったり、MFとSBのポジションの取り方、ハムシク→メルテンス交代後の変化など言及したい点は尽きないが長くなりすぎるし、相手チームの話だしというところで今回は割愛した。ミランのこの試合の収穫としては、ラクサールが使えることがわかったことくらいだろう。ELのトーナメント進出後などナポリのように精度の高いハイプレスを仕掛けてくるチームもあるだろうから、シーズン前半中の余裕のある時期にこのようなチームへの対策も行っていて欲しいと思う。

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