お彼岸
私は幼い頃、曾祖母が大好きでした。
曾祖母が元気だった頃、
今思えば
お盆やお彼岸などだったのでしょう。
数ヶ月に一度くらいのペースで、お寺から住職さんが来られ仏壇にお経をあげられていました。
独特の抑揚と呪文のような…
歌のような…
ロウソクの炎とお線香の匂い…
小さな私と妹も、一丁前に正座で手を合わせて目を閉じていました。
体感で20〜30分程の、心を静かに保つ時間でした。
不思議と嫌ではなかったように記憶しています。
私が小1になった年に、曾祖母は90歳の老衰で亡くなりました。
生まれて初めて、人の死に触れた瞬間でした。
私は、なかなか涙が止まりませんでした。
それでも、どんどん式は進んでいき
いつもの住職が、いつもの仏壇に
いつものようにお経をあげ始めました。
しかし、私には全く別のものを聞いている感覚があり住職の低い声が頭の中をグルグル渦巻いているようでした。
そこには、いつもの静かな心はどこにもありません。
お経を聞いている私の心がいつもと違うと、
こんなにも違うものに感じるんだなと思いました。
あの日のお経は、とても悲しい歌のように私の記憶の中に残っています。
私は、今でも曾祖母を思い出す事があります。
よく一緒に食べたお菓子を見た時などです。
明日、あのお菓子を買ってきて食べようかなと思っています。
ひいばあちゃんには、外孫もたくさんいたから私の所に来てくれるかは分からないけど…
今年は来るから、こんな気持ちになっているのかなぁ。
皆さんは、どんなお彼岸を過ごされますか?