愚者という名のフレグランスを熱く語る
値上げラッシュがとうとう香水にも来てしまい。
数か月悩んで ル・マット を購入しました。
大阪のnoseshopではラスト一個だったようです。
待っててくれたのね()
温かみのあるスパイス、ローズ、ゼラニウム。
まず最初にクローブがそのあとロサ・ケンティフォリア(ローズ)やゼラニウムが追いかけます。
香りに包まれながら記事を書いていきましょう。
ファーストノート ルマットについて
ル・マットはエキストレイドパルファムです。
最近の言葉のように思うのですが、こちらでは「パルファム」と
表現されているものです。
エキストレイド・パルファムは、実際高いんですけども、高いだけの理由があるというか、香り立ちが実はとても柔らかなものが多いです。私もたくさん香ったわけではありませんが、過去にシャネルのガーデニアを少し分けていただいたことがあり、オーデパルファムとは別物であるくらい穏やかで素晴らしい香りでした。
占い好きさんにはこのブランド、メンデットローサをお勧めします。ラインナップを見ていただくと、おすすめの理由がわかるかと。特に心理占星術や、心理学的なタロットの解釈をされる方にはふさわしい香りがたくさん並んでおります。お値段はもちろん素敵なお洋服が買えるくらいのものですが、私はお洋服よりこちらを強くお勧めします。香水には流行はないからです(言い切った)長く愛せる香りたちだと思います。
ミドルノート 愚者について考える
ミドルがスパイスの利いたお菓子のような香りに変化してきました。
ル・マットにはマルセイユ版の愚者のカードが付いてきます。
香水瓶にも愚者の鈴がつけられています。
カードの裏の文言が素敵でした。
Leave everything behind and follow your true self.
全てを捨て、真の汝に従え。
真の自分などはない、という言説もあります。
その場その場で考えは変わるから。どんな自分も自分である。それは確かにそう。
ただセルフ、という言葉を少なくとも自分はあまり理解できていません。個人のありかたとか思想を表すのであれば、この文章は「汝が目指すべきものに従え」くらいに翻案してもいいのかもしれませんね。
大アルカナ22枚を「愚者の旅」としてとらえる考えもあります。この本がオススメ。
(おまけ)タロットカードの愚者の解釈
宮廷の道化、愚かさの象徴、忌むべきもので周縁の存在だった彼らはエソテリックなタロットリーディングの中で、「物事の慣習的な秩序の外部からやってきて、即座にその地位を脅かし、そのままでは達することの不可能な洞察をそこに提供する」(生命の木p474)と変化します。「社会通念や分別にとらわれない純粋な存在」(タロットの美術史 愚者・魔術師p8)といわれます。生命の木ではケテルとコクマーのパスにあたります。対応する古代ヘブライ文字はアレフ。雄牛を表します。
タロット事典によるとメイザーズ(1888)愚かな男/愚行/贖罪/揺れる心
ウェイト(1911)愚行/熱狂/無節制/錯乱/秘密の暴露
クロウリー/黄金の夜明け団 日常生活の世俗的な場面で愚かなふるまいをする人間。そこでの愚行、奇行は愚者こそが高レベルの理想家であることが原因となっている。とのこと。
タロット大全P541では、以下のように書かれています。
ータロットの「愚者」のイメージにはおそらくまじめで常識的な日々の生活のパターンから逸脱し解放されることをやまない人々の願望と重なり合うところがあるのだろう。だからこそいつの時代も「愚者」のカードは日常の社会生活に結びつく身分、財産、地位、職業などを一切持たない「放浪者」の姿として描き続けられてきたのに違いないー
ラストノート ルマットと私
この記事を数時間、延々書き連ねている間に、香りはミドルからラストに変化してきました。スパイスとパチョリにかすかに残るケンティフォリア。
奥のほうに残るグリーンはカシミヤウッドかしら。
ムエットでも、前に試したときも出てこなかった。冬だったからかもしれません。
賢くあれ、という教養偏重主義に長く晒されてきた身としては、なかなか
到達しえないけれども。タロットリーディングをより深めていくには愚者の視点は大事。
一度得た知識を手放してみて見えるものもあるのかもしれない。
もともとは数がついていない愚者です。
大アルカナに影響を与えないものとしてのリーディングもあり。
何物にもとらわれないで生きるのはとてもとても難しいけれど、せめて一人の時間くらいは、そうありたい。
ル・マットはその時に寄り添ってくれるフレグランスになりそうです。
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