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コートカードのクイーンたちを考えてみた

コートカードのクイーンは何を表しますかと日本のタロットリーダーに聞いてみるとおそらく80パーセントまで「母性」という表現をすると思います。私は「母性」という表現は好きでないです。

物理的に母親になれない人たちでも「母性」に代表される感情はあるからです。また日本では「母性」をあまりにも「出産した女性」を筆頭に、ケアをする役割の女性たちに押し付けてきた過去があります。

こちらの記事もご参考までに。

なのでここでは「母性」という言葉を使わず、クイーンのことを説明していきますね。

1.母性の代わりの言葉

ケアをする、ほかの人を慈しむ、面倒を見る、世話を焼く。
思いやりを持つ、はぐくむ、と仮定します。(支配する、飲み込む、感情的というネガティブな側面もあります)現代の日本社会では女性のほうが
多く期待される役割、生まれ持って獲得しているであろう素養と思われがちです。でもここではあえて誰にでも備わっているとします。

2.クイーンの特徴

黄金の夜明け団からの考え方となります。
ワンドは火(直観力、行動力、力強さ、創造性)
ペンタクルスは地(智慧、忍耐、強固さ、スキル)
ソードは風(勇気、力、正義、組織化)
カップは水(精神性、愛情、想像力、ケア)
これらエレメントの特性に水が加わることで、クイーンになります。
カップ以外でも、感情面での機微がわかる、ということかな。
ちなみに1のキーワードは水エレメントから拾ってきたものでもあります。

3.クイーンの違い

A.ポーズ
ワンド(火)は堂々と手と足を広げています。欧米ではこのような姿勢はオープンマインドで自信があるとされます。レイチェルポラックによるとセクシャルなエネルギーの強調とのこと。(タロットの書p.217)

ペンタクルス(地)はうつむいて足を閉じ両手もペンタクルスを持つために閉じています。消極的に見られますが自分の中の魔術的力や源である強さをはっきりと認識している(タロットの書p300)という解釈もあります。

ソード(風)は完全に右を向いて手を出しています。足を開いているかはわからないですが、おそらく目線をしっかり合わせているように感じます。剣で切り分けるのか、斬りつけるのか。発言を促しているようにも見えます。
※ソードのクイーンのポーズの元ネタは「ヘルゲランのヴァイキングたち」
内の「女王ヒョルディス」(シークレットオブザタロットP233)

カップ(水)は足をやはり閉じています。うつむいているというより、手元のカップを凝視しています。この世には自分とカップだけしかいない。これはペイジの魚とペイジの関係にも似ていますがより閉じたものに見えます。
ちなみにクイーンの椅子に天使と魚のモチーフがあります。ナイトで手放した魚がここに帰ってきてますね。
元ネタはソラ・ブスカ・デッキの中の絵(シークレットオブザタロットP216)持っているカップは独創性・空想力の象徴(タロット解釈実践事典)とのこと。

B.クイーンの居場所
ワンドは盤石な石の台座で皇帝を思わせます。椅子には獅子が彫られているようです。似たような台座に座っているのは大アルカナの正義と皇帝なのも
クイーンとの共通点はあるのかも(座り方も似てる)後ろのライオンが向かい合ってる紋章はハプスブルグ家を連想します。伝統的な紋章だとは思うのですが。

ペンタクルスは草の上に置かれた椅子に座っています。大アルカナだと女帝が小麦の前に座っているのに近い気がします。山羊の頭のついた椅子に腰かけていますね。女帝は堂々としているのに対し、こちらは控えめです。

ソードは山の上にいるのでしょうか?同じようなポーズや椅子、場所にいる大アルカナはなかったです。ソードのコートカードはペイジ以外全て蝶のモチーフがあります。(蝶は絵を描いたパメラコールマンスミスにとって個人的な思い入れがあるとのこと(シークレットオブザタロットP233)

カップは水辺にいます。海辺かもしれないし、湖かもしれない。
砂地ぽいんですよね。でも大アルカナは草むらと湖ないし池みたいなところしかありません。どれも違う感じですね‥‥。(節制はカップを持っていますし、星もまあ瓶だけど容器は持ってはいますが)

C.お花とクイーン

ワンドはひまわりです。これは大アルカナの太陽にも描かれていますね。
ひまわりは生命力の象徴でもあります。
またワンドに葉がついているのはこの棒が生きていることを表すそうです。

ペンタクルスはつる薔薇。こちらは魔術師にもあります。
ポラックによると魔術師がこの世界の中の隠れた力を操作するのに対して、
ペンタクルスのクイーンは自分自身をその力と結びつけ、そして自分自身を通して、その力を日常生活の中へ流していく。とのこと(タロットの書P301)

D.動物とクイーン
ワンドのモデルはパメラの友人の女優エディ・グレイグと猫のスナッフルズです(シークレットオブザタロットp202)黒猫は気まぐれや好奇心(タロットリーティングブック)カバリストの精神性を表す(タロット解釈実践事典)という解釈もあります。

ペンタクルスのうさぎは 豊穣と多産のシンボルであり茶色は地に足の着いた生活や衣食住の豊かさ、トリックスターの一面もあり(タロットリーディングブック)自分を取り込む世界の中でそれ自身のリズムに目覚めた生命が持つ霊的な豊かさを表す(タロットの書)活発な合理性(タロット解釈実践事典)とのこと。

4.自分の中の様々なクイーンに気づく

コートカードは人格や行動様式を表すとすれば、自分はどんなクイーンを内に秘めているのでしょう。生活の中でいろんな役割を人は持っていますが、それに当てはめてみるのもカードの理解が深まりそうです。

チーム内で、仲間内で、積極的に他者を引っ張っているとき→ワンド
経験からアドバイスをしているとき→ペンタクルス
冷静に合理的な判断を求められたので答えているとき→ソード
辛い目にあった人の話を共感的に聞いているとき→カップ
あるいは他者をケアする場合の姿勢として、一緒に泣く、おいしいものを食べに連れ出す、熱く語る、一歩引いて冷静に考えられるようにサポートするなどを考えられるのかもしれません。

クイーンのカードに描かれているのは女性に見える絵、ではありますが一歩踏み込んだ解釈をするときにこのnoteが少しだけでもお役に立てれば幸いです。

最後に、レイチェル・ポラックの言葉を。

「この性質(クイーン)を女性だけに当てはめる必要はありません(中略)その象徴的な性質をあてはめて考えるなら、どのコートカードも、女性と男性の両方を意味する可能性があるのです」
初版は1997年「タロットの書 叡智の78段階」より。

2024年ならなおのこと、だと思います。

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