可愛いままでオタク街道まっしぐら~100人インタビュー19人目 川上くみちゃん
4月は別れと出会いの季節。100人インタビューを通して、その人が新しい自分と出会ってくれたら本望だ。
人は自分を知りたい生き物なのだ。同時に人のことも知りたい生き物である。そうやって知らない者同士がちょっとずつ人生を教え合って、分け合っていけたらいいなと思う。
だからもっとあなたの話を聞かせてほしい。まだ100人インタビューは始まったばかりだ。
#019
可愛いままでオタク街道まっしぐら~川上くみちゃん
19人目のインタビュー相手は有名IT企業に勤めるWeb・グラフィックデザイナー川上くみちゃん。通称くみっきー。
インタビューはこんな会話から始まった。
わたし長い間、見た目のコンプレックスがあったんだよね。自分のことずっと可愛くないと思ってた。
言うてもくみっきーは可愛い。普通に美人。それがなぜ?
小学校の時いじめられてたんだよね。仲間外れにされたり、無視されたり。時にはブスとか、キモイとか言われたり。高校生で肌荒れがひどかったときに「感染(うつ)る」ってバカにされたり。
学生時代は見た目に自信が持てなくなる出来事が色濃く記憶に残ってる。
思春期には同級生が皆そうであるように、くみっきーもまたオシャレに興味をもつ。でもどこか根底では「自分はもともとの素材が良くないから頑張っても無駄」という自分を卑下する気持ちがあった。
自分に自信の持てない学生時代ではあったが、くみっきーには夢中になれるものがあった。それが今のWeb・グラフィックデザイナーという仕事にもつながる。
趣味をマネタイズ
絵を描くことが好きだったんだよね。中学生のころには同人誌を作ってた。そこからはどっぷり!!オタク街道まっしぐら(笑)
コミケも毎シーズン網羅してた。
同人誌即売会、コミックマーケット。通称コミケ。
オタク世界の知識がまったくない私でもそれくらいは知っている。自分の好きな作品をつくって、オタク話を余すことなくできる仲間と集って、商品として作品を売る。話を聞いてみると何やら、とても楽しそうな世界だ。
私も同人誌界で売れっ子の作家になりたい!って思った時期もあった。
でもだんだんと興味が変わってきて、自分の絵を載せるためのホームページを作ったりするようになったんだよね。
んんん?!ホームページを作る??いろいろと疑問が追い付かない(笑)
そ、そ、それは、同人誌界隈ではスタンダードなことなの??
うん。オタク界隈ではすごいナチュラルなことだと思う。
私はデザイン専攻ができる高校に進んでるんだけど。パソコンを買ってホームページ作ってるときに、「これってバイトになるんじゃない?」って気付いちゃったんだよね(笑)
うん、なりそう。
専門知識が必要な仕事だから普通のアルバイトより時給も高いし、バイト中に知識が増えたらオタク活動にも役立つし。デザイナーが使うソフトをオタク活動で使ってたから、仕事の呑み込みも早くって(笑)
オタクを侮る事なかれ。オタクを極めた結果、彼女はトップIT企業でWebデザイナー兼グラフィックデザイナーとして活躍し続けている。
得意は増やせる
彼女は業界内で何度か転職をしている。どの会社も有名なIT系企業で、どこに行っても楽しくやりがいのある仕事ができた。時には着信メロディの運用ページをつくったり、ゲームを作ったり、アプリを作ったり、、、。
今の仕事もすごく楽しい。でも、もうひと超えしたいなって思ってて。マンネリしてきちゃうとダメだよね(笑)今度、デザイナーの採用や広報をしている部署に異動させてもらうんだ。
そのきっかけはチームで後輩の育成を任されたことだったという。
はじめて後輩のマネジメントをさせてもらって、たまたま相性が良かっただけかもしれないけど、その仕事が楽しかったんだよね。アプリを作るのはもちろん好きなんだけど、別の得意なことも増やしていきたいなって。
考え方、いいな。そう、得意は増やせる。
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「プロフェッショナル~仕事の流儀」のオマージュとして、この100人インタビューでも毎回同じ質問をして締める。
あなたにとってあなたとは?
全然フツーの人だなって思ってる。突出した成功体験もなれなければ、大きな失敗談もない。まあそれも平和でいいんだけどね。
それから、自分が既にもっているものに事ごとく気付いてなかったなって。自分が持っているものが特別なものかって分からないよね。
周りにいた先輩たちはIT業界内でも頂点に輝くような先鋭ばかり。比べる相手が凄すぎて、自分には大したセンスもスキルもないんだと思っていた。
でも自分が自分の持っているものを認め始めたら、周りも認めてくれることが多くなった気がする。
この前、「後輩が川上さんみたいになりたいって言ってた」と人から聞いてすごい嬉しかった。仕事も美活も引き続き頑張りたいな♪
キレイで楽しそうに仕事をする憧れの先輩。かつてイジメられ、見た目にコンプレックスを抱いていた彼女は、オタクを貫き才能を開花させた。彼女の物語はまだ始まったばかりだ。
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