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お金について思うこと

株で18万稼いだ夢を見た。嬉しかったけど特に興奮していたわけでもない。
夢だからと言うことでもなくて、現実に株で儲かってもわりと「へぇ」という感じで、大負けしててもやっぱり同じ。
お金が出たり入ったりするのを、さいきんは川の流れを眺めるように淡々と受け止めている。
家計簿はもう何年もつけていないから、家の収支はよく把握していない。
でも今日食べるものがあって、寝る場所と家族の健康がれば、それでいい。

いっときは、お財布から1000円札が1枚出ていくたびに、身を切られるような思いがしていた。何も浪費しているわけじゃなく、生活に必要な出費だったのに、お札が一枚出ていくたびに不安と罪悪感が胸のあたりからじわじわ広がり身体中をめぐった。

新卒で入った旅行会社を5年で退職し、当時没頭していた心理学のベンチャーに飛び込んだ。心理カウンセリングと企業研修、心理カウンセラー養成スクールの運営を女3人でやっていたが、なかなかうまく回っていかず、自分の持ち出しもかさんだ。

生まれて数ヶ月の子を無認可保育園に預けすぐに復職したけれど、子どもが気管支炎で入院したり、何より高い保育料と交通費の持ち出しができなくなって、辞めた。
私自身も無理が重なり、虫垂炎で入院した。
自分がやりたくて飛び込んだけど、家計は細るいっぽう、子供の体調は優れない、なんだか申し訳なくて罪悪感ばかりがどうしようもなく膨れた。
辞めたほんとうの理由は、金銭的なものもあるけど、この罪悪感の塊に押しつぶされてしまったことにあったと思う。

お財布から、一枚お札が出ていくたびに罪悪感。
子どもが体調を崩すたびに罪悪感。
家庭を犠牲にしている罪悪感。

心理学を一生の仕事にするんだと意地になって執着していた。営業電話をかけまくり異業種交流会に行きまくった。なぞのNPOを立ち上げた。助成金の申請のために、こじつけとしか言いようのない書類を作りまくりそのための仕事を作りだした。
200万以上つぎこんできた心理学で、なにかを成そうと意地になっていた。
でも、「なにか」はとてもあいまいだった。
たぶんそこで「なにか」を成せると、シナリオとして格好がつくから、それを完結させることに執着していたのだと思う。

こうやって「執着」している時はとても苦しい。
何も実らないしもちろんお金も貯まらない。
何もかもが滞り、流れていかない。

今思えば、あのときジリ貧で不安と罪悪感に耐えられなくなったことが、私がこの執着から醒めるためのトリガーになってくれたのだと思う。

さて、お金ってなんだろう?と言うことを考えるとき、私が思い浮かべる「ストローク」の概念だ。
ストローク=投げかけ。
野球でピッチャーが球を投げる、ワンストローク。
心理学ではこの「ストローク=投げかけ」は、「あなたがそこにいることを知っているよ」と言うことを相手に伝えるサインのことを指す。
もっと簡単に言うと、「刺激」。

ストロークにはあいさつやほほえみ、語りかけ、スキンシップと言った肯定的な刺激もあれば、にらむ、しかる、悪口を言う、暴力など否定的な刺激もある。

ストロークには法則がある。

  • 人はストロークがないと生きていけない。

  • 人は肯定的なストロークを欲しがるが、肯定的ストロークが手に入らなければ否定的ストロークでも欲しがる。

飢えて死にそうな人が、腐ったものでも口にしようとするのと同じで、人は気持ち良い刺激が受けられなければ、気持ちの良くない刺激でも欲しがる、というのがストロークの法則だ。
人は「ストロークゼロ=無視」されることが、暴力より何より辛い。

肯定的ストロークについて、一番シンプルな言い換えが、「愛」なんじゃないかな。
肯定的ストロークは枯渇することがない。与えても与えても、自分の中から湧き出てきて、さらにそれがプラスのスパイラルになってめぐる。
同じく、否定的ストロークも負のスパイラルを作る。どうせ生み出すなら、やっぱり気持ちよくて幸せな方を選びたい。


「それがなくては生きられない。」
「まっとうな手段で得られなければ歪んだ手段でも得たくなる。」
これって、お金ととても似ている。

ということは。お金とストロークが似ているとすると、お金もほんとうは枯渇することはないんじゃないのかな。
というか、お金はストロークに付随するなにか…?
きっとそうだ。お金はストロークに付随して流れてくるものなんじゃないかな。
きっとお金は枯渇することはないのに、「枯渇してしまうかもしれない」という思い込みによって、人は苦しくなってしまうのではないか、、。

でもきっと、お金も枯渇はしない。お金に関して言えば、たぶん私達はもっと楽観的でいればいいのかもしれない。お金のことで悩む暇があれば、いかに気持ちの良いストロークを循環させるか?自分にあったやり方はなんだろう?そのことを考える方がうんと楽しいし、きっと結果的にお金もめぐるんじゃないのかな。ストロークもお金も貯めるものではなく、循環させるものなんだ。

さいきんは、そんな風に考えている。


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