バッハロ短調ミサより「Qui tollis peccata mundi」和声分析
さて、今回はヨハン・セバスティアン・バッハのロ短調ミサの中の一曲「Qui tollis peccata mundi」の和声分析です。
この曲はポリフォニックに作られているので、和声だけで曲分析するのはあまりにも不十分ですが、そこまで書くと記事が長くなるので今回は割愛させて頂きます。
分析はIMSLPにある楽用いて行いましたが、この楽譜には所々間違いがあるので、ご注意ください。(私の書き間違いにもご注意を)
まず、この曲は大きく四つの部分に分けられます。
第1~12(13)小節
第14~27小節
第28~42小節
第43~50小節
ひとつづつやっていきます。
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第1~13小節
「」が一小節です。
in Key G=Em
「Ⅲm」「Ⅵm」「Ⅱm」「Ⅲ」 <in Key D=Bm(完全五度上)「Ⅱdim」「Ⅲ」
in Key D=Bm
「Ⅵm」「Ⅳ」「Ⅱm」「Ⅲ」 <in Key A=F♯m(完全五度上)「Ⅱdim」「Ⅲ」
「Ⅵm」
ここはマイナーのドミナントⅢに行きつくフレーズの後、転調先の「Ⅱdim」「Ⅲ」をつけて完全五度上に転調……それが二つ、そしてⅥmを一小節つけておしまいです。
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第14~27小節
「Ⅱ/Ⅳ」→「♭Ⅶ」→「♭Ⅲ」→「Ⅰdim転回」→「Ⅰdim」→「Ⅵ7 <Ⅲ7 in Key in D=Bm(完全四度上)」
『Ⅵ保続「Ⅵm」→「Ⅱm/Ⅳ」→「Ⅲ7/Ⅵ」→「Ⅵm→Ⅵ」→「Ⅱm/Ⅵ→Ⅰdim』→Ⅴaug」→「Ⅰdim→Ⅲm」→「Ⅰdim→Ⅶ7<Ⅲ7 in Key A=F♯m(完全五度上)」→「Ⅵm→Ⅲ7」→Ⅵm
前半と後半に分けます。
前半はまたdimコードを使って、今度は完全四度上に転調。
後半ではⅥの保続音上でⅢまでたどり着くとまたしてもdimを使って、転回形を使いながら完全五度上の調へ。ここで見ておくべきなのはバス(最低音)の動き。同音を使ってⅢmの根音へ、ドミナントモーションでⅢ7へ、というふうに、分かりやすい声部進行です。dimをはじめとして、不安定な音を続ける時に最低声部が分かりやすい(調性感が強いと言いかえてもいいかも)進行をしている事で、安定感が生まれます。
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第28~42小節
「Ⅵm」→「Ⅳ」→「♭Ⅶ」→「Ⅶdim転回」→「Ⅶdim」→「Ⅲ7」→
『Ⅵ保続「Ⅵm」→「Ⅱm/Ⅳ」→「Ⅲ7/Ⅵ」→「Ⅵm→Ⅵ」→「Ⅱm/Ⅵ→Ⅰdim』→Ⅴaug」→「Ⅰdim→Ⅲm」→「Ⅰdim→Ⅶ7<Ⅲ7 in Key E=C♯m(完全五度上)」→「Ⅵm→Ⅲ7」→Ⅵm
ここも前半後半に。
前半はやはりdimを使っていますが、転調はしません。
後半は第20~28小節と同じです。(もちろん移調してますが)
つまり、第14~27小節と第28~42小節は対になっています。
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第43~50小節
「Ⅵm」→「Ⅱ7 <Ⅲ7 in Key D=Bm (長二度下)」→「Ⅵm」→「Ⅶdim <Ⅶdim in Key A=F♯m(完全五度上)」→「Ⅵm」→「Ⅱm」→「Ⅲ→Ⅱm/Ⅳ」→「Ⅱm」→「Ⅲ」→「Ⅵ」
最後の部分です。
短い間に二回転調します。この部分でこの曲に登場した全てのKey=調を通って、最後はF♯にピカルディ終止。
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