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コロナ禍で未経験から海外でエンジニアとして就職するまでの全記録〜概要・戦略編〜

このブログはコロナ禍でエンジニア未経験の状態からカナダ・バンクーバーでフロントエンドエンジニアとして就職するまでの記録を綴ったものです。こちらの記事は3部構成の1部目です。大変長い記事ですので、目次を利用して拾い読みしたりして、興味のあるところからお読みいただければと思います。


はじめに

こんにちは、カナダ・バンクーバーでフロントエンドエンジニアとして働いているMarieです。

今回は私がエンジニア未経験からどのように海外就職を果たしたのか、その過程をシェアしようと思います。
2019年5月にカナダ・バンクーバーへ渡航し、専門学校に入学。1年間のカリキュラムを終える少し前の2020年3月頃、エンジニアになるために就職活動をスタートしました。しかし、その直後に新型コロナウィルスが蔓延し、就活に大打撃を受けることに。その後1年弱の就活期間を経て、2021年1月にやっとの思いでFront-end developerとしてオファーをもらいました。日本での準備期間も含めると、「バンクーバーでエンジニアになる」という目標を立ててから、すでに足掛け3年が経っていました。

オファーをもらうまで数え切れないほどの壁にぶちあたり、さまざまな方のお世話になりました。自分のこの経験がこれから海外でエンジニア就職を目指す方の役に立つかもしれないと思い、やってきたことを記録しておこうと思います。もし役に立ちそうなものがあれば、どうぞご自由に使ってください。

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この資料が役に立つかもしれない人

・現在エンジニア未経験で、いつか海外就職をしたいと思っている方(私はカナダ・バンクーバーで就職したので、他の国・地域ではもしかしたら役に立たない情報もあるかもしれません)
・フロントエンドエンジニアを目指している方(主にJavaScript, Reactを学習したい方)
・ エンジニアを目指しているけれどUIデザインにも興味がある方
・海外エンジニア就活に役立ちそうな戦略やTipsを知りたい方

大前提として、海外就職するには語学力ビザ必要不可欠な要素ですが、この記事ではこの2つのトピックについて基本的には触れません。さらっと私のバックグラウンドをお伝えすると、学生時代は(学業に励まないダメ学生でしたが)英文科だったので、英語の基礎的な知識はありました。英会話についてはまるでダメで、渡航前の1年間、DMM英会話を毎日やっていました。ビザについては、学生ビザ(Co-opという就労期間を含めて)2年と、ワーキングホリデービザ1年を使って計3年間滞在する予定で来ました。

未経験で海外エンジニア就職は可能か

(2022年9月27日時点:追記あり)
挑戦する人の背中を押したいので書くか迷いましたが、「本当に未経験で渡航する必要があるのか?」はよく考えて欲しいと思うので、未経験で海外に飛び出すことに対して自分の思うことを書いておきます。

結論から言うと、個人的には、未経験からいきなり海外就職することはおすすめしません。おすすめしない理由は主に2つあります。日本で経験を積む、または、日本である程度勉強をしてから渡航することをお勧めします。

ただし、当然人によって様々ケースがあり、正解がある問題ではないので、ご自身の状況を踏まえて、持っているリソースを最大限利用できるように戦略を練ることが大事だと思います。
具体的には、考える上で重要な指標になりそうなことをFrogさんの動画でシェアしました。他の方がおっしゃっている事も大変参考になると思うので、良かったらシリーズを通して見てみてください

ちなみに、私が日本での経験または勉強してから渡航するのをお勧めする理由の1つは、カナダでは日本のような新卒・第二新卒の文化はなく、即戦力が求められるため、未経験からの就職は日本以上に厳しいと思うからです。

日本でも未経験からのエンジニア就職は厳しい道ですが、いきなり海外就職よりは少しハードルが低いはずです。私はワーキングホリデーを使えるギリギリの年齢だったので、未経験での渡航に踏み切りました。渡航のタイミングについては後悔はありませんが、準備期間の1年の間に、せめて日本でのエンジニア就職にチャレンジはしてみればよかったという後悔があります。(チャレンジしてダメなら納得がいくので)

 もう1点加えると、永住権を持っていない限り、ビザには有効期限があり、その限られた時間を有効に使うには、日本で準備をしておくことに越したことはないからです。もし日本でエンジニアとして働けなかったとしても、勉強をしてから来ることはできるのではないかと思います。何も準備せずに、いきなり未経験で海外就職に挑戦すると言うのは避けた方が賢明かなと個人的には思います。

もう1つは、カナダ政府がBCPNPと呼ばれる永住権申請プログラムを永続的に採用することに決めたことが挙げられます。

海外で働くためにはビザが必要ですが、多くの会社はビザサポートをしたがらない傾向にあります。会社側からすれば余計なコストを払うことなるからです。永住権があれば、会社のサポートは必要がないので、より自由に職場を選ぶことができます。

めちゃくちゃ簡単にこのプログラムのポイントを挙げると、申し込みに、過去10年以内に2年以上のフルタイム相当の就労経験(同職種)が必要

そのため、今後わざわざ未経験の状態でカナダに来る理由は薄くなるのではないかと思っています。日本でエンジニアの経験が2年以上あれば、永住権への道のりがグッと楽になるからです。

2022年9月27日に追記: 
2022年3月にBCPNPの制度変更があり、同職種でなくても日本での就労経験の加算が可能になりました。ビザ情報は頻繁にアップデートされるので、必ず最新の一次情報を取得することをお勧めします。


最後に、外国人として海外で働く以上、何よりも大事になるのがビザです。
制度が頻繁に変わるので悩ましいのですが、場合によっては計画の根本が覆るほど大事な要素なので、政府の制度などもよく調べた上で渡航のタイミングを決めると良いのではないかと思います。

BC PNP Skills Immigration:政府による公式の情報https://www.welcomebc.ca/Immigrate-to-B-C/BC-PNP-Skills-Immigration/Skilled-Worker


私の経歴

・ 派遣社員としてWebデザイナーの経験1年あり(HTML、CSS、Photoshop等。全て独学で身につけたのと、業務内容は既存サイトのHTMLの修正などは非常に簡単なものだったので習熟レベルはあまり高くなかったです。)

・それ以前は職を転々としていました。新卒でシステムエンジニア→スタートアップの営業→ニート→秘書→Webデザイナー

・前述の通り留学を決める前からHTML、CSSの知識はありました。(LPを組んだりするレベル。)JSに関しては、jQueryのネットに落ちてるコードをコピペする程度。JSの勉強には割と早めにトライしてましたが、エラー文を見るだけでパニックになり泣き出すほど苦手で(よくエンジニアになろうと思ったな)、克服までかなり時間がかかりました。

・エンジニアとしての職歴はなかったので、「未経験」の部類に入るとは思います。

・エンジニア・デザイナーの海外就職をサポートするFrogさんにお世話になって、2019年5月〜2020年4月までカナダ・バンクーバーにあるカレッジCICCCのWeb & Mobile App Developmentを受講していました。

・内定をもらったポジションはFront-end developerです。保育園の先生と保護者のコミュニケーションを取るアプリを作っていて、ログイン、レポートの編集、写真のアップロード、カレンダーでイベントを登録する機能などを作ってきました。プロジェクトはゼロから作り上げるもので、入社後3週間ほどでもう一人のエンジニアが突如退職してエンジニアが私一人になってしまったため、フロントエンドの実装の全てを担当していました。(2021年7月時点で転職したので、現在はこの会社には在籍していません。)


渡航から就職までの大まかなスケジュール

2018年3月:渡航の約1年前。留学を決心する。すぐにJavaScriptの基礎固めを開始。当時は派遣社員としてWebデザイナー(という名のHTMLとCSSをちょこっといじるだけの人)だったのですが、業務をできるだけ早く終わらせて、業務中にも勉強をしていました。
2019年5月:バンクーバーへ渡航。専門学校の授業開始。Reactの勉強を開始。
2019年7月:ポートフォリオに制作に着手。
2019年8月〜2019年2月:ポートフォリオに載せる作品作り、ブラッシュアップ。
2020年3月:授業終了の2ヶ月前に就活スタート。(その後コロナにより就活に大苦戦する。フリーランスのお仕事をいただきどうにか食い繋ぐ。)
2021年1月:Front-end developerとして内定をもらう。


就職活動の結果

活動期間:  2020年3月〜2021年1月(約11ヶ月)
応募件数:                         163件
Phone interviewまで進んだ件数:                  11件
2次面接以上まで進んだ件数:            5件
内定:                                1件

数字で就活の結果を見てみましょう。私が就活を始めた2020年3月頃、ちょうどコロナが猛威をふるい、街ではロックダウンが行われるなど状況が劇的に変わりました。私は一番最初に受けた面接が3次まで進んでいたのですが、コロナの影響で採用凍結となってしまい、それを皮切りに長い長い就活の始まりとなりました。

途中フリーランスのお仕事をいただいて期間はあまり応募していなかったので、活動期間の割には応募件数は多くないかもしれません。(自分の周りで同時期に内定を得た人は200件、300件応募した人もいました。)特にジュニアの求人は激減し、少ない椅子をものすごい数で争っていたと思います。あくまでもコロナ禍での就活というレアなケースなので多くの方の参考になるかはわからないですが。

応募件数をシェアしておいて何ですが、実は最終的に内定をもらったポジションはLinkedInで企業側から連絡があって面接までこぎつけたものでした。「君のプロフィールを見たら、このポジションにぴったりじゃないかと思って連絡したよ。興味があったら連絡してね〜!」と連絡があった後、面接を受けて内定をいただくことができました。自分から企業を探しにいくことももちろん必要ですが、自分を見つけてもらえる状態にしておくことがかなり重要だと身をもって体験しました。この件についての詳しい内容は「自分を売り込む」を見てもらえればと思います。

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 基本的な戦略

この項目では、就職が決まるまで、どういう考えに基づいて行動していたかをシェアしておきます。挑戦する道のりは決断の連続なので、指針になるものを持っておくと判断に迷い辛くなると思います。

目標は早く、明確に決める

もともと私のWeb業界への興味の入り口はWebデザインだったので、目標は「デザインの知識も備えたフロントエンドエンジニアとして就職する」ということに決めていました。当初は明文化まではできていなかったですが、少なくとも「フロントエンドエンジニアになる」と留学前に決めていたことはその後の学習の効率を上げることにつながりました。もし漠然と「エンジニアになりたいな〜」と思っているだけだったとしたら学習範囲を定めるのが難しく、無駄が多く発生していたと思います。自分の興味、業界の動向などを参考にして、早く、明確な目標を決めることをおすすめします。

いつまでにどういったエンジニアになりたいのか(フロントエンド?バックエンド?フルスタック?その他?)、全く何もイメージが湧かない場合は、判断する情報が足りていないと思うので、すでにエンジニアになった人に話を聞いてみたり、自分の好きなサービスなどから興味が持てる分野を探ってみたり、または少し勉強に手をつけてみたりすると良いかもしれません。いずれにせよ、早く、明確な目標を作れるに越したことはないと思います。

早く失敗して、早く失敗から学ぶ

就活に関して必要だとわかっていることについては、「できるだけ早く手をつけて、失敗から学ぶ」ということを意識していました。新しいことを学ぶ時にわからないことばかりで失敗するのは当然なので、「何がわからないのかを早く把握して、克服すること時間をかける」という方針をとっていました。

私の場合は、バンクーバーの専門学校に通うことに決めていて、1年間の座学を終えてから就職するという流れは予め把握していたので、就職のタイミングから逆算して動いていました。そのおかげで、実際に早め早めに行動できたと思います。(スケジュールに関しては前述の通り)
自分が最初からうまくやれないことを前提に早め早めにやるべきことに着手することで、何か失敗をしてもリカバーに多く時間を割くことができますし、気持ちにも余裕が生まれるので、自分としては早めに行動してとてもよかったです。

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就職に必要不可欠な3つのスキルのどこに課題があるのかを突き止める

就活中は、「戦略を練る→戦略に沿って行動する→行動の結果に応じてまた戦略を練り直す→行動する...」というサイクル(いわゆるPDCA )をかなりの頻度で回していたと思います。

戦略といってもたいそうなものではなく、渡航前に参加したFrogさんの説明会で聞いていた「海外就職に必要不可欠なスキル」を伸ばすことを前提にどんな行動をすべきか考えていました。
必要不可欠なスキルとは、1.英語力、2.技術力、3.自分を売り込む力(説明会ではコミュニケーション力と言われていたと思いますが、私はもう少しだけ具体的に定義し直しました)です。
この3つのうちどれかが著しく欠けると、厳しい戦いになるということは常に頭にありました。例えば、「最近コーディングしかしてないな」と気づけば、「それを自分を売り込めるような形に変換できないかな?...やったことを英語でブログを書けば アピール材料になるし、英語表現の勉強にもなるかも」などと、3つの軸のバランスがとれるように常に微調整していました。とにかく時間がないので、「その戦略は一石二鳥、もしくは一石三鳥になるか?」ということも意識していました。

もし「自分のどこに課題があるのかわからない」状態なのであれば、大まかにこの3つのスキルのうちどこを伸ばせばいいのか考えてみるといいと思います。どのスキルが足りないのか確認するためにオススメなのは、今すぐ求人に応募することです。個人的には、今まだ就活を始めていなくても、スキルに自信がなくても、むしろ渡航前でも、今すぐ求人に応募してみるといいのではないかなと思います。今すぐ内定が出なくて当たり前で、そこは全く問題ではありません。採用プロセスのどこで振り落とされるかで、おおまかな課題を把握することが狙いです。

何通送っても返事さえこない 
→ レジュメ(3.自分を売り込む力)、経験内容(2.技術力)がイマイチ

いつも電話面接で落とされる 
→ 1.英語力、自分の経験をわかりやすく効果的に伝える力(3.自分を売り込む力)がイマイチ

2次や3次で落とされる 
→ 2.技術力がイマイチ

こんなふうに何件も応募していくうちに自分の課題が見えてくると思うので、ぜひ早いうちに求人に応募してみると良いと思います。

メンターを見つける

私は渡航後に学校のクラスメイトで日本で既に4年のエンジニア経験があったTaishiと一緒に勉強していて、困った時は助けてもらっていました。Frogメンバーの方に直接連絡をとって助けていただいたこともあり、本当にサポートしてくださった方には感謝の気持ちでいっぱいです。

他にも有料でMENTA(学びたい人と教えたい人のマッチングサービス)を使って、面接の課題でわからないところを助けてもらったり、質問したりしていました。サービスの質はメンターの方の質に依存すると思いますが、個人的には利用してよかったです。お金を払っている受講者から講師が評価されるシステムのため、講師の人気度がわかり、レベルの高い方に出会いやすいと思います。周りに相談できる方がいない方にはとてもオススメです。

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2021年12月6日追記:
MENTAでメンター探しをしたけど、自分に合うメンターさんと出会えなかったというケースを何件か耳にしました。他のサービスもあるようなので、もしよければこちらも検討してみてください。

sister
日本語で女性のメンターを探せるサービス
https://www.sisterwith.com/

Coding coach
無料でコーチを探せるサービス
https://codingcoach.io/

Girl code
イギリスをベースとする女性エンジニアのコミュニティ。メンターを探すサービスではないですが、コネクションを作ってメンターをお願いしてみるのもありかもしれないです。
https://www.girl-code.co.uk/
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メンターを探す際は、ブログやポートフォリオなどで自分がやってきたことがわかるような状態だと、アドバイスをもらいやすくなると思います。
また、相手の厚意で無料でアドバイスをしてもらう場合は、少なくとも「相手の貴重な時間をいただいている」という意識は持った方がいいと思います。give&takeでいうと、明らかにtakeすることが多くなると思うので、自分が何かgiveできることがないか考えたり、最低限相手の時間を奪いすぎないような質問の仕方を心得るといいと思います。就職して業務が始まった後も質問をする機会は山ほどあるので、質問の仕方を学んでおくことは就職後も役立つはずです。間違っても「教えてもらって当たり前」とは思わないでください。

人と同じ道は茨の道

これは就活に限った話ではありませんが、人と同じことをすると埋もれてしまい、より厳しい戦いを強いられることになります。奇を衒う必要はないですが、自分を選んでもらう理由を作るために、何か人とは違う工夫ができないか考えると良いと思います。詳しくは、自己PR・面接編に書きましたので、そちらを読んでもらええればと思います。

自分から負けにいかない

私の場合は就活と同時にコロナが直撃してしまったので、過去の正攻法が役に立つとは限らず、何を頼りにしていいのか全くわからない状況が長く続きました。その時に意識していたのは、勝つことよりも負けないことを考えるということです。負けないことというのは、「自分から勝つ可能性を狭めないこと」です。

例えば、

・「今はまだ準備が整ってないから」「もっと勉強してからにしよう」と求人への応募をやめてしまう
・Juniorと肩書きのない求人には一切応募しない
・自暴自棄になって勉強を完全にやめてしまう
・せっかく面接までこぎつけたのに「まだ経験が浅いので...」などと枕詞をつけて自信のない態度をとってしまう
・頑張りすぎて体調を崩してしまう

等々。
みんな最初から自信なんてないと思うんですが、それを理由に行動をやめてしまったり、自己卑下してしまうと、自ら就職の可能性を狭めてしまいます。挑戦している身なのだから、たくさん失敗して当たり前です。失敗は全く恥ずかしいことではないので、ぜひトライの数を増やしてみてください。

そして、見落とされがちですが、頑張りすぎてバーンアウトしてしまうのも同じく自ら可能性を狭める行為です。就職するまでは多くの人が長い戦いになるはずなので、自分のペースで長く走れるように調整してみてください。あなたのペースはあなたにしかわかりません。

ちなみに、私が最終的に内定をもらったポジションは経験年数4年以上を求めるものでしたが、幸運にも雇っていただきました。
私のスキルレベルが高かったというよりも、あきらめずに行動して、タイミングよく、相性の良いポジションに出会えたというほうがしっくりきます。幸運を呼び込むためにも、どうか自分から負けにいかないでください。

さて、序盤から長くなってしまいましたが、今回は就活に至るまでの概要・自分の行動の核となっていた就職に至るまでの経緯や戦略を主にシェアしました。何か参考になるところがあれば幸いです。

引き続き、第2章、技術力編へと続きます。




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Marie
バンクーバーでFront-end developperになるために日々勉強しています。サポートは、プログラミング、デザイン、英語の勉強に使わせていただきます!